リモート二人芝居台本「お薬始めました」
「お薬始めました」 作、吉川ひろあき
A治験の被験者ここでは、男(男でも女でも良い)
B医者ここでは女(男でも女でも良い)
性別によって、語尾は変えてください
A「あ~~」
口を大きく開けている
B「はい、大丈夫そうですね、体調の方はどうですか?」
A「今日で1週間目ですよね、特に最初の時と変わりなくて」
B「特に、体調に変化はなく大丈夫って事ですね、
後1週間、長いですけど、引き続きよろしくお願いしますね」
通話を切ろうとするが、とめられる
A「先生、ホントにこんなんでいいんですかね?」
B「はい?」
A「だって、特に、何も異常ないですし」
B「Aさん、異常があったらダメなんです、治験なんですから、ちゃんと、前段階で体に害はないことが証明されてからの、人体への実験なんです」
A「そうですよね、何だか、こんな簡単な事で
お金もらっちゃっていいのかなって思っちゃって」
B「それでも、もしもって事もありますからね、だから、治験ってあんな金額なんですよ」
A「ホント、助かります!」
B「それはお互い様ですよ。こちらも、助かりますし、辛くないですか?」
A「大丈夫です!」
B「皆さん、この2週間隔離されるって結構苦痛に感じられる方が多いんですよね、外にも出れない、この空間だけにいるって」
A「慣れてますから、それに、これくらいの事なんともないんですよ」
B「そうですか」
A「だって僕、もう、どの金融機関からも断られちゃって」
B「Aさん」
A「はい?」
B「プライベートなことは大丈夫です」
A「すいません!話する友達もいなくなっちゃって、こうやって、電話越しですけど、まともに会話するの久々なんですよ」
B「言ってましたね、僕の事なんて、いなくなっても誰も心配なんてしないんだって」
A「すいません、バイトに来たのに、人生相談なんてしちゃって」
B「良いんですよ、そういうのも、一応、医者なんで」
A「そうでしたね!」
B「はい、ここにいる間は何でも相談してください、それじゃ、、」
通話を切ろうとするが、また、とめられる
A「先生!あの、いつも食後に飲んでるこの薬ってなんの薬なんですか?」
B「整腸剤みたいなものですよ」
A「それと、いつも、問診が、テレビ電話って… 」
B「これも、実験の一環ですよ、この先、こういう、問診も増えてくると一人暮らしのお年寄りのお宅にわざわざ出向かなくても簡単な診察ができるようになる時代が来るんですから」
A「なるほど… 」
B「それじゃあ、、」
通話を切ろうとするがまた止められる
A「便利ですね!いやぁ、そんな時代の最先端を行くってこんなにワクワクするんですね!!」
B「あの!」
A「はい!」
B「他の方の問診もあるので、そろそろ、良いですか?」
A「… あっはっは、そうですよね!はい!いってらっしゃい」
B「はい、では、次はまた夕方になりますので、それまでは、自由にお過ごし下さい」
A「はい」
A、そのまま、画面からいなくなる
B、もそれを確認しいなくなる。飲み物をもって戻ってくるB、この時、顔が映ってないと面白いかもしれません、首から下で、動いてるうちに横顔がカメラに映り込む
B「あ、お疲れ様です。あの、被験者番号503の人、どうなりましたか?え?うちと同じくらいの量ですよね、、、あと1週間ですよ。」
このあたりで、A、カメラ前に戻ってきて、通話がまだ切れていないことに気づく
B「毎日少しづつ、分量は増やしてるんですけど、めだった効果がなくて、はい、特に体調も変わりなくです、、ホント、、いつになったら、死ぬんですかね… 私もう、疲れちゃって… 」
A「え?え?え??」
気づくB
B「あ… 」
急いで電話が切れる。
A少し、呆然とし、後ろを振り返り部屋を見渡す、何かに気づき
A「あ・・・」
終
2つ画面が映っているZoomを使用したような映像を想定したリモート芝居用台本です。少々ブラックな内容ですが、あえてのこの機会にいかがでしょうか?
加筆、アレンジ等して、使って頂いても構いません。
使用の際に、ご連絡いただければ嬉しみです。後、「作、吉川ひろあき」をどこかしらに入れてください
吉川ひろあき 1988年1月14日生/0型/ジャスティスジャパンエンターテイメント所属
「ありふれた日常にほんの少しのスパイスを」をコンセプトに作、演出、役者として活動。
少しのスパイスを加えることにより変貌する日常を描き、少しの変化で楽しくなる、笑える、
泣ける。そんな日常作品を小劇場、カフェ公演を中心におくる。
過去に下北沢、池袋等の小劇場で7作品発表のち
2017年11月には初のファンタジー作品「キミとボクとの壊れた世界」シアターモリエールにて上演。