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散りばめられていた出来事を物語にする。 〜私がインタビューで大切にしていること〜

言葉で自分を再発見。
散りばめられていた出来事を物語にする

インタビューライターのカリアゲしょうこです。

前回に引き続き、私のインタビュー活動におけるテーマについて書いています。前の記事では、テーマのひとつ、ブリコラージュについてお伝えしましたが、今回は2つ目のテーマ、コンステレーションについてご紹介します。
ブリコラージュに続いて、また聞きなれない言葉だな…と思われた方、ちゃんとご説明しますので、ご安心ください。

コンステレーションとは

コンステレーション(constellation:英語)とは
元来、占星術において、出来事や人の運命を左右する星の位置を意味するものであり、後に星座を表す言葉となった。
臨床心理学の分野においては、個人の精神が困難な状態に直面したり、発達の過程において重要な局面に出逢ったとき、個人の心の内的世界における問題のありようと、ちょうど対応するように、外的世界の事物や事象が、ある特定の配置を持って現れてくることを表す。共時性の一つの現れであると考えられる。

引用:臨床心理学用語辞典

星座は誰でも知っていて、単なる言葉の意味としてはとてもシンプルです。しかし、問題は臨床心理学の分野における使われ方。「事物や事象が、ある特定の配置…」とか、共時性とか言われても、なんのこっちゃ、ですね。
共時性というのは、英語だとシンクロニシティ(synchronicity)で、この場合は、日本語よりも英語の方が馴染みがあるかもしれません。偶然の一致や、関連性のなさそうなことが同時に起こったり、ばらばらに思えていたことがひとつに繋がって意味を持つようになったりすること、と私は解釈しています。

無意識にやっていた関係妄想

私は臨床心理学を学んだことはありませんが(ちなみに、父は臨床心理士でしたが)、河合隼雄さんの著書を何冊か読んだことがあり、その中にこのコンステレーションという言葉を見つけました。
その時、なんの疑いもなくその概念を受け止め、すっと腑に落ちたことを、はっきりと覚えています。
それは、コンステレーションという言葉や概念を知る前から、私自身が無意識にそういうことをずっとしてきたから。

というのも、私は以前から「関係妄想家」を自称しています。ある出来事ともうひとつ(もしくは複数)の出来事の間に、自分なりの解釈で関係性を持たせたり、「あの人とあの人が繋がったら、きっとおもしろいことが起きるだろうな」などということを、いつも妄想(想像?)していました。

友人とコンステレーションについて語り合う

例えば、コンステレーションという言葉を知ったときのこと。
私がその言葉に出会った翌日は、日本にいる友人と「zoomで話そう」と前から約束していた日。新しく知ったばかりの言葉について、私はその友人に熱く語りました。彼女は占星術(星読み)の勉強をしていたので、コンステレーションという言葉に興味津々。彼女自身の占星術の学びの中にも通ずるものがあったのかもしれません。
私がコンステレーションという言葉を知ったことと、友人とzoomで話そうと約束していたこと、それ自体には何の関係もありません。しかし、その言葉を知ったのが、彼女との約束の前日だった。つまりそれは、彼女とコンステレーションという言葉や概念について語り合うために、そのタイミングで出会ったのだ、と私は解釈したのです。

小学生の頃に読んだマンガの中の人に、YouTubeで再会

また、ある時、よく見ているYouTubeチャンネル『Toland Vlog』を見ていたら、谷崎テトラさんという人がゲストとして出演していました。私は「なんかこの人気になるな」と思って、その方のことを調べてみることに。すると、谷崎さんは、30年以上前に私が気になっていたジョン・C・リリーという海洋学者についてのドキュメンタリー番組を制作した人でした。
そのドキュメンタリー番組自体を見たことはないのですが、小学生の頃に一番好きだった『瞳のなかの王国』という漫画の中に、ジョン博士の名前があったのです。一度出てきただけなのですが、妙に気になっていたことを覚えています。
そしてそれを思い出した私は、何十年振りかに『瞳のなかの王国』を読み返しました。小学生の時にたくさん買った漫画の中で、今でも手元に置いてある唯一の漫画本です。一気に読み、懐かしさでいっぱいになりました。
小学生の頃に読んだ漫画と、大人になって見たYouTubeが、思いがけない形で繋がり、不思議な気持ちになるとともに、私が気になるものは、あの頃も今も大して変わっていないんだな、ということに気がつきました。

出来事を繋ぐものを見つける瞬間が好き

星は、それ自身は個々の、別々のものとして存在しています。しかし、大昔の人々は、夜空にある無数の星を、想像力という見えない線で繋ぐことで関連性を持たせ、1つの星座として物語、神話を紡いできました。私たちの日々の暮らし、人生においても、一見関係のなさそうな複数の事象が、自分の考え方や捉え方次第では、ある関連性を持って繋がってくることがあります。
すべての事象をこじつけする必要はありませんが、「何か関係があるのかも」と想像することで、急に見えてくるものがあったり、世界が広がったように(逆に狭くなったように)感じられることがあったりします。そのときの「見つけた!」という感覚が、私はとても好きなんです。星座を作った人もきっと、無数の星々を繋ぐ線を見つけた時には、その感覚を味わったのではないかと勝手に想像しています。これもまた、昔の人と今の自分に繋がりを見つけようとする、関係妄想のひとつかもしれません。

散りばめられていた出来事を物語にする

コンステレーションを、私の言葉で表現するならば、「散りばめられていた出来事を物語にする」ということ。インタビューをしている間は、インタビュイー(取材を受けてくださる方)が話してくださる人生における様々な出来事は、ばらばらなものであるように感じます。しかし、私がインタビュー原稿を起こすときになって、それらの出来事が見えない糸で繋がってくることがあります。そしていつしか、その人だけの物語になっていく。無理矢理にストーリーを見つけようとしなくても、自然と立ち昇ってくる物語があるのです。

自分の物語に気づくきっかけにしてほしい

誰もが、自分自身の物語を持っているけれど、それに気がついていない。ただ機会がないのだと思います。私のインタビューが、インタビュイーの方が自分の物語に気づくきっかけになればいいな、と思って「あの人の物語、聞いてみよう。」のインタビュー記事を書いています。

前回と今回、2回にわたって私のインタビューテーマについてお伝えしました。このテーマに共感し、インタビューを受けてみたいな、と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、DMにてお問い合わせください。近日中に、インタビュー依頼方法についての記事も掲載予定です。
あなたの物語を綴るお手伝いができたら、嬉しいです。