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スキルス胃がん高齢者の食欲のなぞ

母は88歳、スキルス胃がん。スキルスは目視できるようになると、もうかなり進行していると言われる。母は緩和ケアを望んでいるので、抗がん剤もないし、薬もない。ただ自然にまかせているので、当然食べられる量はだんだん減って来ている。2月上旬は「子犬くらい」食べたが、3月上旬は「猫くらい」になり、最近は「ねずみくらい」になったりしている。

しかし。好きなものなら「猫くらい」になる不思議。昨日も、母の好きな「明太フランス」を買って来たら「わー!おいしそう!」と珍しく明るい声を出し、いそいそパクパク食べ始めた。2切れで「おなかいっぱい」というけれど、その2切れの食べっぷりは健常者くらいのスピードで、一瞬「治ってきてる?」と錯覚してしまうほどだ。
阿川佐和子さんの本で「高齢者、好物はのどにつまらない」ってあったけど、本当だと思う。

「じゃ、これも一口食べようか」と、体に良さげな野菜とか魚とか、健康食品ぽいのを出すと、たちまち席を立ち、すすすす・・・と後ずさって、マッサージチェアにどっこいしょと座る。

「ん、もうおなかいっぱい」。

母は見事にがんになりそうなものだけが好物。天ぷら、フライ、明太子、ラーメン、お好み焼き、焼きそば、うどん、チャーハン、中華・・・
体に良さそうなめかぶとかぬるぬる系については「そんなもの食べるくらいなら死ぬ方がマシ」とか言う。(しゃれにならない)

「ねずみくらい」の量の中で、少しでも体に良さそうなものをバランス良く食べて欲しいのだけど、好きなものしか食べないし、好きなものは「むぐむぐ」早いスピードで食べてしまうので、んーーー、もう食べてくれるだけマシと思うしかない。

「ねずみ」や「猫」くらいの量になって3週間くらい。足はフラフラしているが、首から上が元気なので「車いす?介護ベッド?そんなのまだまだ」という。
人間の生きる力って強いのね。

「今夜は何食べたい?」
「たまにはカキフライもいいね」
まるでたくさん食べるような言い方。1個食べたら「おなかいっぱい」言うんだけど。

この数年、糖尿で食事制限させていたから、今回がんで余命がみえて医者に「好きなもの食べなさい」と言われて、そこはうれしそう。

でもなんかやっぱり健康に良いもの入れてほしくて、毎日、マヌカハニーと梅干しの黒焼きと糖鎖は3ミリ食べさせている。

「今日は『ザワつく!金曜日』だ」と朝からワクワクする母。
高嶋ちさ子さん、長島一茂さんとかダウンタウンさんとか、パンチが効いた人が好きっぽい。(だから暴れん坊のダンナと結婚したんだな。)

姉はスキルス胃がんとわかった瞬間からハードな治療の日々だったので、毎日不思議な感じ。同じ病名でも、いろいろな風景がありますなぁ。

私の心臓だけが毎日心配でびびっております。