COSMOS たましいの楽園 大天使ミカエルとの10年間の記録 1992年~2002年 14歳~24歳 ⑩
セリカルとの会話
「セリカル王子!」
カレンは絡み合った糸を解く目つきで宙を見た。そして、そう叫ぶことしか許されていなかったことにやっと気づいた。
「本当に思い出したんだね、カレン」セリカルは優しく輝いた。
カレンは前世や来世や、そういった言葉の表す意味を知らなかった。
けれどカレンはこの人とずっと一緒に繋がれていたし、これからも途切れることはない。カレンはそのことを細胞で理解した。
「カレン、僕らは夢を見ている間に会っている。僕は現実の世界で暮らすひとりの人間に過ぎない。両親がいて、兄弟がいて、友人がいる。僕だって生まれた時から君の存在を確認できたわけじゃない。けれど会えなくても、見たことがなくても、君のことが手に取るように理解できたんだ。そのいきさつを話すと長くなるけれど。僕は君に助けられてここまで来た。だから今度は僕が君を救う番だ。この夢の中で君は一切の記憶を取り戻す。たとえ現実の世界に戻った時、その記憶が表面から消えてしまったとしても。君はこのことを信じてくれるかい?」
「ええ」
カレンはこの人の側に寄り添っているだけで安心と幸福を感じることができた。そして自分の感情を止めなくてもこんなに落ち着いていられる自分を奇跡だと思った。
こんなにもただ自分でいることが素晴らしいのかと感じた。
「カレン、僕は君に1つのキーワードを与える、それはコスモスだよ。英語で宇宙、調和、秩序といった意味をもつ言葉だが、カレンはこのキーワードを実感しなくてはならない。それが今のカレンに一番必要だからだ。カレン、君が自分の世界を築いていく上で、コスモスは君の魂の奥に息づいていることが分かるだろう。そしてそこには全てが用意されているんだよ」
「自分の世界って?」
「空想や現実を遥かに超えた、1つの空間であり状態のことだ。形も感情も束縛もない。そこをコスモスと呼ぶんだよ」
今までのカレンには肝心な何かが欠けていた。それを知りながら生活してきたのもカレン自身だった。カレンにはセリカルが言いたいことが分かっていた。だからこそ自分を限界まで追い詰めることを可能にしてしまった。
「カレン、焦らないでいいよ、現実の世界のペースにのまれてしまって、自分を見失いそうになっても心配しないでいい。僕も自分の世界、コスモスを築くまでには本当に多くの苦しみを体験しなればならなかったんだ。カレン、君も必ずコスモスを築くことができるんだよ。自分の世界を築くことは人との接触を避けたり、孤独なふりをすることじゃない。自分の心の中に幸せな空間を見出してやることなんだ。それでは、君はあらゆるものとコミュニケーションできる。今まで内側だけで行われてきた一切の事柄がひっくり返って外側の世界と一致する。その時カレンは本当の宇宙の意味を悟るんだ」
カレンをもしもこのまま放っておいたらカレンは自滅してしまう。セリカルはその危機を感じていた。
カレンはあまりにも魂が透明すぎた。
カレンは世界という組織さえ自分を破壊するものとして捉えていた。
カレンは自分がここにいることによって宇宙や地球を転換期に追い込んでしまうことを何よりも恐れた。
自分とのいう存在がここにあるだけで、何か人類の罪のようなものを背負わなくてはならないと思っていた。
それは罪や悪という言葉より遥かに重い深刻なものだった。カレンには自分だけの神が必要だった。
カレンにとって神とは、誰にも見せることのない美しい内面の世界のことだった。カレンは内面の世界はあまりに美しいことに気づいたので、内面の世界を必死に守ろうとした。
「この美しい世界を誰にも奪われたくない」そう思った。
「カレン、僕の現実の世界に戻っても、意識、魂はずっとコスモスにある。だからコスモスからカレンを見守っているよ。これからもずっと君にメッセージを送り続けるよ。もう一人で嘆き悲しまないでいい。僕の光といつも共にあるのだから」
「セリカル、本当にありがとう」
哀しみも苦しみも愛に溶けていく。
カレンにとってただの暗闇だった宇宙が、光に満ちた空間に変わっていく。セリカルはカレンの心の奥にいる。カレンはセリカルを愛おしいと思う時、同時に自分自身も愛おしいと感じてしまう。
永遠の宇宙でセリカルと出会えてよかった。カレンはあの星に祈りを込めて感謝した。
神聖な光、セリカル。
私がこの「セリカル」が大天使ミカエルで、聖ミカエルのことだったと知るまでに約10年間かかった。
14歳の時から私の魂はミカエルと出会い、対話を続けていた。この体験は私の宝物になった。
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