引退後のアイデンティティ
新年度が始まりました。
新しい環境に身を置く方、目にする光景に変わりのない方、様々な方がいらっしゃると思います。
今年は桜の開花が若干早かったので少し早めに新しい風を感じられましたね。
今年度も焦らず、ゆっくり目標に近付いていきましょう:)
さて、新年度、長く続けてきた競技から退かれた方も多いことと思うため、今回は「引退後のアイデンティティ」についてのお話をしたいと思います。
私は、”アイデンティティ”とはいわば自分の心の空間にある、自身を構成するための大きな細胞という認識を持っています。世間的には「自我同一性」、分かりやすく嚙み砕くと「自分らしさ」と言われていますね。
常に自分の心の中にあり、ふわふわと一緒に移動しているもの。そんなようなものである気がします。
あまり難しい言葉で話すとこんがらがってしまうので、ここからは「アイデンティティ」のワードを「自分らしさ」に置き換えて話していきますね。
きっと人の多くは青年期を過ぎた頃に、誰しも「自分らしさ」の壁にぶつかると思います。
自分って何がしたいんだろう、自分ってどんな風に見えているのだろう、自分ってどんな才能があるんだろう、自分って何者になれるんだろう。
誰しも口にすることがないものの、そういった「自分」の存在についてとことんまで悩み抜き、穴に落ち、這い上がる時に早かれ遅かれ自分を発掘し、自分が何かを持っている、ということに気付くのです。
競技者の目線から見てみると、競技に無我夢中で取り組んでいるうちは自分らしさ、なんて考えたとしてもあまりそういう事を深堀りはしません。
今、目の前の競技に集中して結果を求めることの方が優先順位としては高いからです。
というより、競技者である時は深堀りする必要がないのです。
なぜなら、無意識下においての大半の競技者にとっての自分らしさとは「競技」であり、競技に打ち込む日々こそが「自身がここにいる!」という自分の在りかになっているからです。
他人の言う”あの人と言えばアレだよね!”の「アレ」が「競技」なのです。
自分でもきっと、その認識は強いはずです。
しかし理由は様々、いつかは引退しなければならない時が来ます。
引退しても、今は指導者やランニングコミュニティなどに参加して競技に携わる選手が多い中、完全に違うルートを歩む選手もまた数多くいます。
後者について、少しだけ想像してみて下さい。
これまで何年間も、はたまた何十年も自分の手の中で燃え盛っていたロウソクがふわっと消えた時。
消えかかっていた人も、突然消えた人もいるでしょう。
競技者は注目されることが多いだけに、引退と同時に周囲の人が引く感覚、どこか必要とされなくなる感覚のようなものを味わった選手もいるのではないかと思います。
また、自分らしさの迷路の中に入ってからは競技年数が長いほど、迷路の出口の模索に体力を要すと考えています。
数ヶ月続く人もいれば、数年かかっても出口を見つけられない選手もいます。(その反面、あまり悩まない選手もいますが...心がとても強いですね☺︎✨)
自分って他に何が出来るんだろう。
これしかやって来なかったけど、どんな事に興味があるんだろう。
引退して間もなくは永遠に見つからない問いかけのように思えますし、自身、引退して2年経過した今でも悩む事が多くあります。
競技だけが自分にとっての誇りだった、
競技がなければ自分は何も出来る事がない。
もう自分を示すものがない。
...こんな風にです。
この記事を見て下さっていたり、悩む方全員の状況が分からないので、一人一人に合わせたアドバイスは出来ませんが、一つ言える事は、
“自分”の才能は一つではなく、競技にそれだけ時間と熱を費やせる心を持っていたならば他にも唯一無二の自分らしさを確立できる、という事です。
競技をしていれば、早いうちから自分を競技と紐づけて確立する事ができます。
しかしそれは、人よりも早い段階で1つの立派な自分らしさを見つけていただけであり、それが「自分」や人生の全てではないのです。
いずれ、日々を過ごしていく中でまた自然と見つかっていきます。
例えば、意識しなくても熱中できることや興味のあること。なんかこれ好きかも、ってこと。
ゲームでも、アクティビティでも、お料理でも、バドミントンでも、イラスト制作でも、カメラでも、動物と触れ合う事でも。
今はまだなかったとしても、競技でも早咲き、遅咲きの選手がいたように、人それぞれ、新しい自分を見つける時期って違います。
たとえ競技が無くなっても、また新しい自分がきっと芽を吹かせます。
人生のプログラムの第二章、と言ったところでしょうか。
色々書きましたが、無理に「自分」を確立しよう、何かを探そう、と力む必要もありません。
そういう時こそ、何も考えずに流れに乗りましょう☺︎🌱
(久しぶりの更新、拙い文章で申し訳ないです、、、また今後の更新については次回書きたいと思います☺︎)