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イギリス留学日記#5 British Girlみたいに話したい!


人も言語も時間も、真っ白なパレットに向き合ったとき、私は何を描き出せるだろうか。そんな問いを軸に、未来へと時間を消費するのではなく、現在へと関心を向けるための日記をゆったりと書き綴ることにしました。
-更新頻度も言語も気まぐれですが、お付き合いください-



-イギリス到着5日目~9日目の過ごし方

今週はまだ授業は始まらず、新入生に向けた授業ガイダンスとサークル新歓の予定が詰まっている。五感で感じ取る毎日の情報量は目まぐるしいほどに多く、言語化が追いつかなくなっている。そこで今回は一気にまとめてガイダンスの1週間の様子とそこで考えたあれこれをお届けしたい。

5日間のスケジュール

-「生きる」ことの難しさ:( 

イギリスに来てからというもの、私の生活リズムは随分と調子が良い。日本では朝方3:00に就寝7:00に起床という自称ショートスリーパーを名乗って生きていた私が、ここでは12時就寝8:00起床という理想的な生活を送っている。これは、私が「生きること」に関心を向けられるようになってきた兆候のような気がする。これまで実家でぬくぬく育てられた私は、リビングに行けばいつ何時も祖母が作ってくれる美味しいご飯があり、お風呂に入れば自動的に洗濯物が片付けられているような生活を送っていた。「生きること」にまるで無頓着で、仕事や活動を1日に過剰に詰め込み、寝る時間も食べる物も気にすることがなかった。そしてそれが良い事と信じて疑うこともなかった。改めて文字に起こしてみると大変怠慢に思うが、ひとりでの生活を始めたことでようやく私は「生きること」を意識し始めたらしい。

それを象徴する出来事が、ある日のお昼ご飯のときのこと。私は何気なくお昼に食べるものを考えていた。そして考え始めてから1時間、何を食べれば良いかわからず私は途方に暮れてしまった。もちろんキャンパス内にはStudent UnionやDining Hallと呼ばれるお店や学食はあるため、好きなものを選べば良いだけだ。しかし私にとっての問題は、いかに持続的に健康に、人間らしく「生きる」かであった。過去に過剰にダイエットを経験したこともある私は、過度な偏食がよくないことは重々分かっている。かと言って、欲望のままに食べていては栄養バランスが保たれない。それが私を思い悩ませていた。

人間が「生きる」ということは、連続する情報処理と意思決定の総体だ。朝起きて何を着るのか、毎食何を食べるのかなど、何の変哲のない日常を「生きる」だけで私たちは大量の認知負荷(Congnitive Load)を負う。この負荷を回避するには、毎日同じ服を着て同じ食事を食べるなど、制度化した日常のルーティーンを持つ事が有用だ。ルーティーンを持つことで人々は、いくらか認知的負荷を回避し無意識のうちに行動様式を決定することができるからだ。たとえば、スティーブ・ジョブズが毎朝の服の選択を省くために戦略的に同じ黒のタートルネックとジーンズを何着も持っていた話は有名な話だろう。

日本での私の食事のルーティーンは、常に家族のケアによって作り上げられていた。家にいれば必ず美味しい健康的な食事が提供されることが私の中で無意識的に体制化されていた。しかし、家族を離れて食文化の異なるイギリスで生活を始めた今、食をめぐる選択は大きな認知的負荷として私にのし掛かる。1週間全体の健康バランス、食べたいものと食べておいた方がよいものとの折り合いなど、健康的に人間らしく生活することのバランス感覚が上手く取れない。いかに「生きる」術を身につけるか、はこの1年間の留学を通しての私の大きな課題であり続けるだろう。

sweet potatoと野菜で健康的に☺︎


(2024年9月22日 日記より)

-留学中に英語力を磨く術(日常会話編)

ある夜のJazz Partyでのこと。英語力をどう磨くか考えていたこともあり、今回はいつも一緒にいるメンバーではなく、イギリス出身・在住のflat mateに頼み、友人のグループの話の輪に入れてもらった。当然のことながら、どの国の学生も同胞同士で固まることが多く、彼女についていくとそこにいるのは全員イギリス人。皆お酒が入っていて普段より一層早口になっているかつ、生粋のBritish Accent。10名ほどの大きなグループの中で飛び交う会話の70%は理解が追いつかず、ただ笑っているしかない状況に追い込まれてしまった。しかし、こうしたことは想定以内。留学先でこうした疎外感をもろに感じているその状況がむしろ自分を奮い立たせてくれる。そこで、今回は以後の生活でも継続するよう自戒の意味も込めて、普段私が意識している英語力を磨く術を記述してみる。

➀友達の真似っこ

自分の実践を通して情報を取得することを好む私にとっては、何事も人との会話(パロール)から始めることが最大の学びの入り口となる。

まずはネイティブスピーカーが使う言い回しについて。始めに相手の口癖や頻出する単語を記憶する。そして、スマホなどでこっそり検索をかけて使用方法を確認し、後日別の相手との会話の中であたかも自分がよく使っているかのように1回登場させてみる。(このとき、自分の模倣が文脈的にも発音的にも正しいか毎度びくびくしている・・・)相手に伝わっていることを実感すると、少し嬉しくなってあと2回ほど誇張気味にそれを使っておく。そして、余裕があるときはその日中に自作の単語帳にメモをしておくと、随分と私の記憶に定着される感覚がある。

加えて、発音の練習も友人の真似っこから始める。これはタイミングを間違えると違背実験のようになってしまうため注意が必要だが、ひたすらに英語話者の口元をまじまじと見つめ観察することから始める。口周りをあまり動かさずに発話する日本語を母国語とする私にとって、意識的に唇を大きく使って話すと不自然になってしまう。そこで、ネイティブスピーカーがどう口を動かすのか、その時にどのような発音が聞こえるかを、相手に気づかれないようによく観察する。そして、部屋に帰ってから自分の話し方と比較して真似て喋ってみる。英語力向上への効果は分からないが、こうしたことを意識する時間を作ってみると日常会話のワンシーンを少し違った角度から捉える事ができて面白い。

②1人時間は英語のNetflixとYouTube

イギリスに来て驚いたことの1つに、1人時間が意外にも多いということが挙げられる。私は、高校生の時の2週間ほどの短期留学で、学校の規則上、デジタルデバイスを全て日本に置いて生活した経験がある。そのため、留学といえば四六時中ホストファミリーや現地の友人と話し、1人の時間などほとんど持たないという偏見を強く持っていた。しかし、今回は寮生活の上、年齢も上がり大学生として全ての行動の選択権が自分にある。

そこで私はなるべく1人時間も英語に触れることを目的に、英語音声・英語字幕の動画を部屋で流すよう心がけている。始めのうちは英語字幕を頼りに中身を追っているが、数ヶ月後にはそれなしでも理解できるようになりたい。さらに時間がある時はYouTubeの再生速度機能を使い、イギリス現役大学生のvlogをリピート再生し、シャドーウィングにも挑戦する。普段自分が話すときにはできない表現のインプットや発音の矯正が簡単にできるため英語を勉強するには効率がいい。
(義務感にならないよう遊び感覚でやると長続きしやすい)

➂英語でネットサーフィン

昨今の人々のデバイス平均利用時間は6時間40分を超えると言われている。仕事、課題、人との連絡、検索など全てがデジタルデバイスに集約されている今、私たちが過ごす日常生活の多くの時間がここに割かれている。

そこで、私は留学が決まった1年前から全てのデバイスの言語設定を英語にし、なるべく英語で検索をかけるようにしている。もちろん、言語それ自体は媒介手段であるため、無理に英語縛りにして知識を得られないのでは意味はない。しかし、興味として手始めに英語検索をしてみてざっくりでも英語でインプットする試みを挟むことで、英語で情報を得ることのハードルが徐々に下がっていくような気がする。

④お買い物で英単語集め

私が最近ハマっているのが、現地のスーパーで英語の勉強をすることだ。日本で受ける英語の試験などはアカデミック用の英語実用力が試されるためか、意外にもスーパーで出てくる品物の名前を知らないことが多い。さらに、日本ではあまり見ない果物や野菜も陳列されているため、まずは現物を見て商品名の和名を推測し、スマホで検索をするという一連の流れが非常に面白い。

特に、スーパーを回っているとその土地のその時期の旬の商品が非常に分かりやすい。そして、そこにくる人々が何をよく手にとっているのか、どんなライフスタイルをしているのかを服装や会話の内容、年齢層などあらゆる情報から推測できるのが、スーパーという場である。自炊も捗るため今後もスーパーに通うことを日課としていきたい。

⑤チャットで使われるスラングのメモ

私にとって、ネイティブスピーカーとのtext chatの文面はまるで暗号のようだ。特に大人数が入っているグループチャットで高速に展開される会話は、スラングや省略文字しか出てこない・・・LMAO(Laughing My Ass 0ff:爆笑)やFM(Follow Me),IMK(In My Knowledge),DW(Don't Worry)などなど、日本では習うことのない文字列が次々と押し寄せてくる。1つ1つ「LMAO meaning in text chat」と検索をかけメモをしていく。慣れてきたら少しずつ私もSNSで使用していきたい。

以上が普段何気なく意識している英語力向上の術だ。しかし、どれもタスクのように日々行っているわけではない。頭の片隅に置き、自身のmoodに合わせて色々な方法を試してみている。結局のところ、言語は人々が相互関係のうちに作り上げた1つの体系である。言葉を持たない子供が幼い頃にそうしたように、目の前に広がる真新しい世界に向かって自身の興味のうちに突き進めば、自ずとそこでの言語体系も身についていくのではないだろうか。
まさにこのnoteのコンセプトでもあるように、「真っ白なパレットに向かい」、私が描き出すものに身を委ねて英語を自身の1つのメディアにしていきたい。
(2024年9月22日 日記より)

-「日本人≠シャイ」に驚愕された話

9月24日、この日は私が所属する経営学部が主催するnetworkingイベントが開催された。つながりの輪を広げることを目的として、新入生・在校生合わせて100人以上の学生が集まり会場は大変混雑している。それぞれが小さなハブを作っている中に自ら割り込み会話に入り込んでいく。そして名前を聞き、自己紹介をし合い少し話をしてインスタを交換する。まさに自己呈示戦略を心得ている人が広く浅くつながりを広げていくような空間は、それに耐えられない人も多いに違いない。

私はこれまでの日本での活動の経験上、この場での身のこなし方にある程度慣れていた。そこで、知り合い同士で固まる人々の島から島へとすいすいと渡り歩いていると、ある英国の2人組の女子に出会った。少し話していくと、1人から「あなたはシャイじゃないの?」と聞かれた。掘り下げてみれば、その2人は新入生で唯一高校が同じ者同士身を寄せ合っていたのだという。そこで私は、彼女に、「私ってシャイに見える?」と質問し返してみると、「それはあり得ない笑」と返答された。しかし、彼女の中では日本人はシャイな印象が強くあったようで、その後も私が次から次へと話題を出していくことに驚愕した反応をされた。

実際、その場を次々と渡り歩いていた私からすると、その場にいた100人のうち2人と似たような思いを抱えている人の方が大半だった。見ず知らずの他者に「あなたは何者か」とまなざされる状況において、人々が少しでも存在論的安心を得ようと少しの共通点を持つ人を探り島を作ることはごく自然な傾向だ。しかし、そこで固まっていてはNetworkingの目的は果たされないため、出会った2人を他の島の子達に繋いでから私はまた他のグループの中へと溶け込んでいった。たまにこうした場に参加する分には、人々の行動や会話から色々な気づきがありとても面白い。

networking eventの様子


(2024年9月24日 日記より)

-海外のYouthと「将来の夢」を語る

一期一会とはまさにその通りだ。
1日前に、学食の中で道を聞いてきたあるイギリス出身の女の子と仲とよくなり、後日ランチをすることにした。普段から仲良くしているスイスの友人も誘い、大学の学食の1つであるFounders Dining Hallという場所に向かった。ここ はまるでハリーポッターのような内装で、壁にはたくさんの絵が飾られ縦長に机が並べられている。3人でその1席に着席し、私たちは色々な話をした。すると、会話の方向は深いところに進み互いの将来の話となった。

スイスの友人は英語文学を専攻しイギリスの友人は生物学を専攻している。
まるで学んでいる内容が異なる3人だったが、イギリス出身の彼女は、家族の中で大学に進学したのは彼女が初めてだと話し出した。生物学についての中身の話は強烈なアクセントと専門用語のオンパレードで正確に理解していないためここでは省略するが、ゲノム編集技術に強く関心を抱いているという。彼女の将来の夢はPhDまで取り、WHOで働くことだという。イギリスに来てから話を聞いていると、文理系双方において、1年生の時点からPhDを目指して勉強に取り組んでいる学生が日本と比べて多い印象がある。もちろんその本気度などは人それぞれであるが、共通するのは「研究者」として働くビジョンを明確に持っていることだ。

その背景には大きく2つあるだろう。1つは、高校生の頃から「sociology」「business」など専門領域に特化した授業を選択できることだ。日本の高校ではそうした専門学問は扱わないことを話すと、「日本人はどのように自分の勉強したいことや関心を見つけるのか」と驚いた目で見られる。そしてもう1つは、PhDにいる時点から働いてお金を稼げる機会が豊富であることだ。そもそもイギリスでは多くの場合BAが3年、Masterが1年ということもあるが、こちらの学生は研究者を目指す上でその後に活躍する可能性の場が日本以上に豊富である様子が伺えた。

しかし、このように将来の話をしていると、皆自身のやりたいことを探している道の途中で、試行錯誤していることが分かる。そうした同志とイギリスの地でも出会い語り合えることはとても刺激になる。

Dining Hallの様子


(2024年9月25日 日記より)


本日もご覧いただきありがとうございました。
いよいよ授業が本格的に始まり毎日予習→予習→予習→復習といった生活を送っております。気がつけば時間が過ぎていき、note上では渡航9日目で止まっていることに少し焦り・・・
書きたいことが溜まっているので折り合いをつけながら少しずつ綴っていきます☺︎


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