私のフルート人生(1)
フルートとの出会い~偶然?必然?
小さい頃から音楽に憧れを持っていた私でした。 当時は習い事といえばピアノ、一家に一台ピアノがあった時代です。近所の友達はみんな幼稚園の頃からピアノを習っていて、とてもうらやましかったのです。
小学一年生くらいのとき、私の家にも足踏みオルガンがもらわれて来ました。叔母のお古のバイエルを見て自分でドレミを覚え、ガタガタ弾いていました。それが私の音楽の原風景です。
初めてフルートを見たのは、小学校の音楽室でした。音楽クラブに所属しているクラスメートが、ビブラートをかけて鮮やかにスケールを吹き、私も周りのみんな同様、ただびっくりしていました。その時はとりたててフルートを吹きたいとは思いませんでした。
その頃、私はSちゃんというお友達に憧れていました。サルの様におてんばな私とは違い、優しくて女の子らしくて、大人びていました。私は、何かをやり始めると他の事は忘れて没頭してしまう子で、毎日のように門限を忘れて遊んで帰っては、家を閉め出されて泣いている様な子でしたが、Sちゃんはとてもしつけがしっかりしていて、帰る時間を忘れる事はありません。私の母は「まあ、なんてしっかりした良い子だろう」と驚き褒めそやしたものです。私は彼女のやる事はなんでもやりたがりました。その一つが、フルートだったのです。
ある時「私も音楽クラブに入りたい」とSちゃんに打ち明けました。私は普通の登校時間にすら毎朝のように遅刻していたので、Sちゃんに「きっと遅刻するから止めた方がいいよ」と止められて、あきらめていました。音楽クラブは朝の遅刻の罰がとても厳しかったのです。
中学生になり、ブラスバンド部に入部しました。顧問の先生はまず最初に新入生を横一列に並ばせ、一人ずつ歯や顔を見ては「お前はクラリネット」「お前はトランペット」と独断で楽器をあてがっていきました。私の場合は、歯を見せろとも言われず、一瞥して「フルート」と決められました。当時、背が低く痩せっぽちだったからかもしれません。
この時の顧問のK先生は、一年後に他の学校に転任になりましたが、のちのちまで私の音楽人生に深く関わる方だったのです。自らの直感と神通力を信ずる方でした。今でもK先生が私のフルート人生にスタートの号令をかけた事に、深い感動を覚えるのです。
◆気づいた事「私もSちゃんみたいに、お母さんに誉められる子になりたかった。」
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