今クール大本命!抑えきれぬ情熱に突き動かされる人の魅力をお腹いっぱい楽しむ「みかづき」第一話

やっと来ました大本命!長らく待たされました。最高にエンターテイメントな教育ドラマでNHKがキメてきましたよ。

静かな夜、暗闇に浮かぶ三日月。そのイメージから、穏やかで淡々とした人間の中にじっと燃える静かな教育への信念。みたいなものを想像していたのですが、全然違いましたあ!!

まあ最初から最後まで騒々しい騒々しい。「あ!」とか「ま!」とかやたらと音を出しては何かを思いつき、思いついては熱く熱く語りだし、熱く語り出したかと思えばズンズカと怒り出す。「注意力散漫なのはお前では」と思いたくなるほどあっちゃこっちゃに忙しい主人公が赤坂千明。演者は永作博美。

たまにいますよね、「見てて飽きない」人。そういう人の人生を、画面を通してずっと見ていられるのがとにかく楽しい。千明はまさに、暑苦しいほどの情熱がほとばしるギラギラ人間。「現実にはいないよ」とか「みんなそんな風にはなれない」とか「等身大じゃないから」とかそういうの、やっぱどうでもいいんだよな、と思わせてくれるのが千明です。情熱的な人ってやっぱりどうやったって魅力的なのだ。輝いてるのだ。

そして相手役となる大阪五郎もまたプラスのパワーに変なものを混ぜて濁らせた、妙に魅力的な野郎である。そのシャツのはだけ方は一体どういうつもりなのか、とこちらの邪念を引き出した直後に分かる破廉恥男子っぷり。「おいお前、やっぱりか」と言いたくなる。主体性はなし、女性からのアプローチを断れず、小学校の校舎内で何してんだ一体と、まったくのクズ野郎。そしてクズであることへの罪悪感もないと来ている。しかし一体何故でしょう、その爽やかさに一糸の乱れもなし。『最高の離婚』の綾野剛をふと思い出したのだけど、高橋一生も綾野剛も、ふんわり爽やかクズの空気感を醸すことにおいてまじで天才。

しかし第一話でここまで深い人物描写をしきる脚本も演者も完璧すぎ。特に千明(永作博美)とその母、頼子(風吹ジュン)のシーンが素晴らしい。何が素晴らしいって、作品開始から30分程度しか経っていないはずなのに「こいつらまじで母娘だな」「血争えねえw」と思わせてしまうところ。これまで娘についていた家庭の嘘を告白、という家族史においてはなかなか緊張感のある場面であるはずが、「あー、それもウソウソ」とこともなげに口の端で喋る風吹ジュンが最高。そして手切れ金としてきっちり大金をせしめるストロングウーマンっぷりは完全に娘のそれと同じ。「持ってけドロボー!」から間髪入れずに五郎(高橋一生)の暴力的引き抜きに手を染めるさまもまた娘。

千明と五郎のやりとりは、「君たちに会話の間という概念はないのか」と言いたくなるほどのハイテンションハイテンポで、こちらとしては一生懸命ついていくしか方法がないのだけど、がっつり視聴者を置いて二人だけの世界をヒートアップさせてく会話もまた良いものだなと。情熱に対する憧れをうわーっと募らせながら楽しむ作品。

あと大事なのは、「ラブストーリー」は二人が結ばれたところから始まるのだ、ってことでしょうか。

「5話じゃ足りない」という声もあるけれど、短い作品ならではの最良のテンポを楽しんだらいいじゃないか!「朝ドラにするべし」という声もあるれど、色っぽいあれこれをお茶を濁さず見られるのは夜ドラマならではじゃないか!この時間、この尺、この俳優、全ての組み合わせが最高なのだと信じて最後まで一緒に走りきります!

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