シフトアップ
「若さ」にこだわると、先人が残してくれた「年を重ねる智恵」に気がつきません。
ボクがスポーツ空手から沖縄空手に転身したのは35歳ごろ。そのころまでは台頭する若手選手と毎回ガチンコ組手をしてました。いつも接骨院に通ってた。でも「これで80歳まで行けるか?」という疑問もあったんですよね。現役引退して偉そうに指導だけする性分じゃないし。
人間が衰えを感じるのはシフトアップしていないからだと思います。クルマの運転でも2速ギヤのまま、全開で必死で走り続けるのはムリがある。燃費も悪いし、クルマ自体が故障する。だから3速にシフトアップする。3速、4速とシフトアップできれば、より少ないチカラやエネルギーで、より速く走れる。
何の道でも年を重ねる毎に「ギヤ」が増えていき、次のギヤにシフトアップすることで、たとえば今まで100のチカラで行っていた事を70のチカラでできるようになる。運動で言えば、チカラの抜き方を覚える事、身体全体を使う事、バランスを整える事、技を憶える事、他人のチカラを借りる事、などなど。
たとえばクルマで「シフトアップする」ことは、空手では「筋力利用から重力利用に切り替える」こと。「空力特性を良くする」ことは「姿勢を整える」こと。「燃費を良くする」ことは「呼吸を整える」ことに近いかな。
長く続けてきた事を「体力の衰え」だけで諦めるのはもったいないです。考え方、あるいは目的そのものを見直すことで、次のステップが見えてきます。ボクは「半年後に勝つ空手」から「一生 負けない空手」に変えることで、より長期的で、より広い世界を見つけることができたわけです