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特別対応要求、ベテランスタッフへのストーカー来社、接客は難しい

接客業における適切な距離感は難しく、よそよそしくても、馴れ馴れしくてもいけない、そして自社の理念に適した接客を行えても、なお顧客との関係性のバランスには答えは出ません。相手のあることだから。

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コールセンターで働いていた時代、多くの人に愛されるコーヒーチェーン店で勤務経験のある先輩は、彼の古巣のフレンドリーな接客の自社方針が、誤解を招くことを教えてくれました。

「対人関係の距離感で、勘違いしちゃう方も出るんだ」

確かに、若かった私の目から見ても、整った男性だから、納得しました。仕事としてのフレンドリーさ、難しいです。話の合う店員さんがいることが楽しくて、またそのお店に行く理由にもなるのだから。

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私自身も、エスカレーション対応を通じて接客の難しさを経験しました。私が一次対応者から電話を代わり、例えば社長を出せと強く要求される場面でも、代表電話におかけになられても最終的には私が対応することを丁寧にお伝えし、理解を得ることも仕事でした。

結果、全てのエスカレーション対応で、会話を打ち切られることはなく、コールセンター長へエスカレーションすることもなく役割を果たせました。

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しかし、時として顧客との関係が想定外の方向に進むこともあります。私の名前を覚えてご自身の特別対応を要求する顧客や、声の綺麗なベテランスタッフに恋愛感情を抱いて会社に乗り込んでくる顧客など、様々なケースがありました。

稀な例なのですが、一次対応の人が出ても私に代われと指名されるのです。一次対応のスタッフが任される要件だから、どなたにも同じことは出来ず、その方だけ特別扱いすると、私が預かる仕事が止まるので、コールセンターとして機能が下がってしまいます。「このくらいいいだろう」と思われているのですが、全員が同じことをしたらどうなるのか想像できないようです。

声が綺麗なベテランスタッフのケースは、恋人とか友達とかアイドルと誤解したのか、突然、「近くまで来たから」と、会社に乗り込んできました。これは私の上のコールセンター長が対応し、帰っていただき、実害はありませんでした。しかし、顔を覚えられて家までつきまとわれることは恐ろしいので、しばらく旦那さんが車で送り迎えしました。仕事で自分の役割を果ただけなのに、理不尽です。

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接客業では、外見や話し方の訓練は基本的にプラスです。同時にリスクも存在します。他人の興味関心を集めることができることは、原則強みですけれども、自分が望んでない形だけでなく、私のエスカレーション対応の経験みたいに役割とは違うことも起きます。私のケースは、裁量の大きい人間に対応して欲しい気持ちは察するし、リソースが無限ならお応え出来るのですが、限られた人員で組織で働いているため、とても困りました。「自分1人くらいは」という特別扱いの要求は、他のお客様に対して不公正なので、応じられないのです。

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コールセンターでの経験を通じて、接客の難しさと複雑さを学びました。車に例えるなら、自分で安全運転することは努力できるけれど、もらい事故は防げないことと似ています。信頼されすぎたり、勘違いされてしまうことは、相手があることだから自分だけで改善するのは困難です。まして、ごく稀な例であるのなら、改善する必要があるとも限らない。

コールセンターは自社の想定外に人力で対応する部署だから、日常的に予想外のことが起きますが、その中でも、人と人との問題だから、接客の難しさを学びました。どこまで例外に備え、どこまで基本をおさえるかなど。

それでも、圧倒的に常識のあるお客様が多いので、喜んでいただけることはやり甲斐でした。自社サービスが届いた瞬間に立ち会えるのだから。

#仕事での気づき


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