掌編小説『恋の始まりは晴れたり曇ったりの四月のようだ』
不倫なんてまっぴらごめんだ。今だってまだ、そう思っている。
けれども、好きになってしまったのだから仕方がない。燃え始めた恋の火を消す方法なんて、ワタシは知らない。障害が大きいほどに強く燃え上がるのが、恋の炎というものらしい。パッサパサに乾いていたワタシの恋心はきっと、音を立てて盛大に燃え上がることだろう。
仕事から帰り、ジャケットも脱がずにベッドに倒れ込む。前のオトコと暮らしていた時は手狭に感じていた部屋も、独りになってしまえば何とも広く感じる。
バッグからスマート