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カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞の秘密
2017年10月7日 記
本日2017年10月7日、カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞しました。
二年前、イシグロ氏がNHK教育テレビで文学白熱教室と題して彼の作品制作の方法について講義した番組がありました。
私はこの番組で彼を知りました。
イシグロ氏の文学白熱教室は見ようと思って見たのではありません。
何か面白そうな番組はないかとテレビのチャンネルを切り替えていて、たまたまこの番組に出会ったのでした。
しばらく講義を聞いていると、禅と共通する「無限なるもの」が作品のテーマとなっていることが分かり、それからは真剣に聞き、中途からですがビデオをとりました。
イシグロ氏は、私が体得した禅における「無限なるもの」を違った角度からとらえており、難解でしたが、おもしろかったのでビデオは繰り返し見ました。
イシグロ氏は文学者と言うよりある信念を持った思想家のように感じました。彼の自信に満ちた熱弁には不思議な魅力があり今でも心に残っています。
このようなことがあり、今朝、ノーベル賞受賞のテレビ放映を見て、なぜかすぐに納得できました。
受賞の理由はテレビ等で紹介されていると思いますがまだ見ていません。
ノーベル賞の選考委員が選考理由をどのように表現しているのかを見るのが楽しみです。
これから、イシグロ氏の講義から感じた「無限なるもの」に迫り、受賞の秘密を明らかにしたいと思います。
イシグロ氏が受講者に伝えようとしていたのは間違いなく「無限なるもの」です。
私はこれまで禅を探求し悟りを開いたことで「無限なるもの」を体得しました。
イシグロ氏は彼の両親が日本人であることから日本人的心(禅)を持っており、文学を通して「無限なるもの」を体得したものと思います。
幼いころからずっと外国で暮らしたことで日本人以上に心が日本人的になったのです。
イシグロ氏と私の観ている「無限なるもの」は同じものです。
「無限なるもの」というとわかったようでわからないものと思われるので、何かを述べておきます。
「無限なるもの」とは人の「心」であります。自分の心は自分の顔が自分では見えないように、自分自身では見えないのです。
本来、心はあらゆるものを包括している宇宙大的な「無限なるもの」ですが、自分の体の中にある程度の「有限なもの」としか思っていないと思います。
と言うよりほとんど人は、心の大きさなど考えたこともないと思います。
「無限なるもの」を理解してもらうために一般人と覚者(真理を悟った人)の世の中の捉え方の違いを示すことにします。
① 一般人(衆生)は「この世の中に自分がいる。」と思っています。
詳しく述べますと
・この世は自分の回りにある。
・この世に包括されている。
・この世に支配されている。
・物欲に縛られている。
・心に一物あり。
・心が無限なのを知らない。
ということです。
② 覚者(仏)は「自分の中にこの世がある。」と思っています。
詳しく述べますと、
・この世は自分の心の中にある。
・この世を包括している。
・この世を支配している。
・物欲に縛られていない。(自由・自在)
・心に一物なし。
・心が無限なのを知っている。
ということです。
すべての人は本来、覚者(仏)なのですが一般人(衆生)として生きています。
ほとんど作家は一般人であり一般人(衆生)の生き様を描いています。
イシグロ氏は「無限なるもの」を体得しているから、「無限なる心」を持った人の生き様を描くことができるのです。
作品例としては「日の名残り(ひのなごり)」英国のブッカー賞受賞があります。
今回の受賞の秘密は覚者の目でこの世を見て、覚者(主人公)の生き様を描いたところにあります。
彼が受賞した秘密は彼が「無限なるもの」を体得した覚者であるからなのです。
これで終わると、何かだまされたように思う方もおられると思いますので、もう少し話を進めることにします。
「無限なるもの」は皆さんの心そのものであります。人間としての価値は心にあり、人の心そのものが「威厳・尊厳」なのです。
イシグロ氏は、作品の主人公の生き様の中に人間の威厳・尊厳を表現することで「無限なるもの」を浮き彫りにしたのであります。
「無限なるもの」は人種に関係なくすべての人々が本来持っている「真の心」であります。
現在の人々は情報化社会の中で生きています。
スマホとかに支配されています。
人類として今一番必要なことは、人々が本来の自分「無限なる心」に気付くことであります。
★カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞の秘密(私の考え)
描写が困難と思われる人の心の本体「無限なるもの」を、作品の主人公の生き様(威厳・尊厳)を通して描写したことがノーベル賞の受賞につながったのであります。
【参考】プライドについて
人は霊長類であり生まれながらにして偉大な存在です。
人は自分では偉大な存在とは思っていないかもしれませんがプライド(自尊心)は持っています。
この世の中を強く生きていくためにはプライドが必要なのです。
プライドが傷つけられることは「無限なるもの」が許さないのです。
私はこれまでにプライドのない人を見たことはありません。
皆さん、プライドが傷つけられたとき「無限なるもの」が見えるかもしれません。