禁煙セラピーという本にまんまとハメられた
以前、一日2箱、20年以上のヘビースモーカーだった知り合いの人が煙草を辞めた。
そして薦めてきたのが、アレン・カー著書「読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー」という本だった。
知人は、読了せずとも最初の3日くらいは吸いたくなることもあったが、そこさえ過ぎれば楽にやめられた。
この本は自己催眠、洗脳のようなものだと言っていた。
すすめられた当時、禁煙がしたいと言うよりは
どんな風に洗脳されるのか気になり、二回ほど読み切ったのだが
洗脳されるどころか内容もしっくりこず、禁煙にも全く効果がなかった。
そこから数年経ち、最近また読みなおしてみた。
そうしたら、なんだなんだこれ・・・冒頭からふつふつとムカついてくる・・・。
「私のやり方は、従来の禁煙法とは違います。
従来の禁煙法はまずタバコの欠点を挙げ連ね、
一定期間やり過ごすことで欲は消え、拘束されることなく人生を楽しめる」と謳っています。
と書いておきながら、そのあと最後の30ページくらいになるまで
ひたすらタバコがいかに汚らわしく、馬鹿げたもので、害悪なものかを書き綴っているじゃないか
それ以外にも、節々で言ってることが矛盾していて、
何だこの著者は自分の煙草あるいは喫煙者に対する嫌悪と見下しを吐き出したかったのか?この著者の性格に問題があるんじゃないの?と思うまでにだ。
本の内容にあれこれ意見や文句を言いながら読むことを、個人的に本とケンカをすると呼んでるのだが
久しぶりにケンカをした本だった。もうこんなのは捨ててやる。と思った。
その時、視点の変換が訪れた。
知人が言ったこの本は洗脳ってどういうことだ?
本の中では、喫煙者は洗脳されている、それを解く必要があるとも書いてる
どこに洗脳があって、どこで洗脳を解いてくれるものがあったんだ?
矛盾していたように見えていたものが繋がる
これは伊坂幸太郎もびっくりの巧妙な罠だ・・・!
まんまと踊らされていたんだ
あの100ページ近いタバコ批判、怒りが湧いたこと
それらが既に手のひらの上だった
そのことに気づいた時、この著者がとても優しく、この本が宝物になった。