独白
・音楽のきっかけ
いつも父が運転する車の中で音楽が流れていた。カーステレオから流行りの音楽が聞こえ、後ろの席で口遊む。
母が運転する時はいつも尾崎豊が流れていた。15の夜を覚えたのは幼稚園の時だった。
家では24時間、消えることなくテレビが点いている。
情報番組よりもバラエティ番組よりもアニメやドラマよりも好きだったのは音楽番組だった。
アイドルがテレビの向こうで輝いていて、幼かったわたしは素直に憧れた。
ただ、その後に登場したシンガーソングライターはたった1人でそのステージに立っていた。もっと心が震えた。
多分あれが始まりだった。
・音楽を始めたきっかけ
わたしには自信がなかった。
容姿も歌声も歌詞もメロディーもギターの実力も全部、
全てにおいて自信がなかった。小学生の頃に聞かれた将来の夢は大抵「良い人になる」とかその場凌ぎではぐらかしていた。
前にnoteで書いた通り、姉に「あんた歌下手だね」とへし折られた自信は今でも消えちゃくれない。それなのに音楽を始めてしまったのはやはり心のどこかで承認欲求が疼いて仕方がなかったからだ。
そうだろう、18歳のわたし。
自分が自分を愛さないから、
愛せないから、
誰かに愛してもらえれば生まれ変われるとか思っていたのだろう。
知っていると思うけど、無理だよ
音楽で食ってくなんて夢物語だよ
あの頃はいろいろあって生死を彷徨っていたからね。どうせ死ぬならやりたいことやって死にたいってほぼ自暴自棄だったもんね。
でもあんた結局生きながらえてんのよ。
音楽やってみたけど結果自分愛せないことに気づいたから未来のわたしはやめたよ。
こんなこと言えば闇路線まっしぐらって思うかもしれないけど、未来のわたしは別に自分を愛せなくてもなんとかなるって知ったから、あんたよりちょっと強くなったよ。
音楽とちゃんと向き合っていたのはたったの5年だったけれどわたしの糧になっているんだ。
✳︎
苦しかったよ
わたしには才能がなかったって突きつけられた5年だからね
でも始めたことに悔いはないよ
むしろよくやったって褒めてやりたい
自信のないわたしが勇気を出して夢の世界へ飛び込んだんだ
結局自信は持てずじまいだったけれど。
今はどこにでもいるただの平社員だ
でもね、未練がましくさ、まだアコギと、
正確に言えばハードケースと毎朝睨めっこしている
でもね、でもさ、でも、うん
どうやらわたしはまだ歌いたいみたいで。