春の変動
最近、体調を崩して丸一日寝込んでいた日がありました。(2017年春のこと)
前日の夜、めずらしく新聞のクロスワードなど解いていたら、なんだか胃のあたりにもたれる感じがしてやまない。
それでも一度解き始めたクロスワードを続けようと苦戦していたら、ちょこちょこ手と思考が止まって、だんだん調子が傾いてくるのです。
そこまで来ていい加減「あ、これは吐きたいんだ」と気づいて、トイレに入って戻していたら、一気にからだ中を倦怠感が襲い「ああ、これはアカン…」と横になったのです。
そして次の日はひたすら一日中、温湿布を肝臓やら鳩尾やら背中やらに当てながら、布団の中で寝込んでいました。
私がめずらしくそんな感じで寝込んでいるので、妻のかさねが心配して背中に愉気をしてくれました。
こういうときの愉気ほど、こころとからだに沁み渡るものはありませんね。気持ち良くてありがたくて、じんわりほっこりにっこりしながら身を委ねました。
そうして、私の背中を優しく撫でてくれる手のあたたかい温もりを感じながらほっこりしていたら、妻が突然歌を口ずさみ始めたのです。
「の~び~ろ の~び~ろ だい~すき~なき~♪」
優しく撫でてくれる手の動きと、そのやわらかな歌詞とメロディーが何ともマッチして、ただでさえじんわり沁み渡る手の温もりが、からだにもこころにもさらにじわじわと沁み込んで、涙が出るほど沁み渡ります。
「いいねぇ。歌」
「ん?そう?」
「なんていう歌?」
「アン・サリーさんの“のびろのびろだいすきな木”」
むかし聴いて、うろおぼえながらふと口をついて出てきた歌を歌ってくれたそうですが、何とも手当てと合う歌です。
「歌いながら手当てするっていいね。いつかそんなことも講座でやりたいな」
「いいね。やろうよ」
そんな会話を夫婦にくれた春の変動でした。
いつかやってみたいと思います。
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