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ずいぶん前に知人宅へ遊びに行ったときのこと、その家の五歳になる子どもと一緒に愉しく遊んだことがありました。 二人で家中をかくれんぼしながらコソコソと歩き回ったり、二階の廊下に一緒に寝転がって階段の隙間から見える台所のお母さんの様子をこっそりのぞいて、小声で「ママ、気づいてないね…」なんて内緒話をしたりして。 廊下に寝転がりながら顔を付き合わせて内緒話をしていると、何だかまるですごい秘密を共有しているようで、そんなことはまったく知らずに台所でいつも通りにご飯の支度をしている
世阿弥(ぜあみ)といえば、言わずと知れた室町時代の能(猿楽)の大スターですが、彼は後進のために多くの能の伝書を書き残しました。現在でも使われる「初心忘るべからず」とか「秘すれば花」といった言葉も、世阿弥の言葉です。 彼の伝書は、能の稽古について書かれたものですが、そこで説かれていることはあらゆることに通じるとして、現代でもさまざまな芸事や運動の稽古においてよく引用されています。 伝統芸能の世界では、きわめて幼少の頃から稽古をしていくこともあって、伝書の中には小さな子ども
1.手考足思昭和の初めに、ありふれた日用品の中に「用の美」を見出し、その価値を世に問うた「民藝運動」という活動がありました。 その民藝運動の中心となった人物の一人に、河井寛次郎という人がいるのですが、その人の言葉に「手考足思」というものがあります。 「手で考え、足で思う」とは、まさにものづくりを行なっている作家ならではという言葉ですが、シュタイナーもまた「手で判断し、足で帰結する」と似たような言葉を残しています。 一般的には、人間は「頭で考える」と思われていますが、思考
1.イグノーベル賞「イグノーベル賞」というものをご存知でしょうか? 「イグノーベル賞」というのは、かの有名なノーベル賞のいわゆるパロディであり、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績や風変わりな研究」に対して贈られる賞です。 本家のノーベル賞とは何の関係もないそうですが、いわば科学者たちが真面目にふざけたユーモアあふれる賞で、オーソリティ(権威)であるノーベル賞に対して、ちょっと斜に構えておどけながら真似してみせる「もどき芸」のような、そんな立ち位置の賞です。 ちな