トレードで獲得する選手は“不運な選手”。お金のない球団が強くなる方法
こんにちは。カラガラ(@kara_gara)です。
突然ですが皆さんはお金持ちですか?私はテレビも車も炊飯器も持っていないので、恐らくお金持ちではないです。
さて、私の財布が軽いのは置いておいて、野球においても金持ち球団と貧乏球団があるのはサルでも知っている周知の事実。かくいう私が応援する中日ドラゴンズは、チーム総年俸最下位を千葉ロッテと争っています。
基本的には、お金を持っている球団の方が強いはず…。ですが、貧乏球団が強くなることは100%不可能なのでしょうか?
いやいやそんなことはないはず!そこで今回は、お金のない球団が強くなる方法について考えていきたいと思います。
貧乏球団が強くなる方法
貧乏球団が強くなる方法は、
①割高な選手を放出しお金を稼ぐ
②支配下登録選手を絞りお金を節約する
③分散したドラフトを行う
④余剰資金で割安な選手を獲得する
⑤選手の成長を促進する
の5つです。
①割高な選手を放出しお金を稼ぐ
使えるお金が少ないなら稼げばいいのです。稼ぐためにはどうすればいいのでしょうか?それは、安く獲得した選手を高い値段で放出すればいいのです。安く買って高く売るのは商売の基本ですからね。
割高な選手は多くの場合、実力より目立ってしまった選手です。具体例をあげると
・タイトルを獲得しそう
・オールスターにファン投票で選出される
・例年より明らかにBABIPまたはDERが高い
・CランクのFA権を獲得予定
といった選手ですね。こういった選手は年俸が上振れしやすいので、保有し続けるのが貧乏球団には難しいです。
この「割高」「割安」を判断するためには、球団の年俸の相場を定めることが重要です。どの球団にもそういった査定基準はあると思いますが、日本ハムのベースボール・オペレーション・システム(BOS)のように厳格なものがいいかと思います。
仮に私が、「球団の年俸の相場」を考えるなら
(総年俸-最低年俸)/ チームWAR = 1WARあたりの年俸
で1WARあたりの年俸を計算し、それを基準に割高、割安を判断するかなと思います。
また放出先の球団も重要です。
放出先のお客となる球団は、お金を持っている球団です。金持ち球団が求めているポジションの選手でトレードを打診しましょう。
金持ち球団とは2021年現在ならソフトバンク、楽天、巨人などのことです。困っているポジションは、怪我人が続出しているポジションや、成績が芳しくないポジションですね。
間違っても2021年現在の中日に中継ぎ投手を放出したり、ロッテに外野手を渡してはいけません。そもそもの補強資金が少ないうえに困ってもいないポジションでは、安く買い叩かれるのがオチです。困った金持ちを相手にしましょう。
②支配下登録選手を絞りお金を節約する
支配下登録をした選手には最低でも440万円の年俸を払わなければなりません。つまり、選手が多ければ多いほど補強に使えるお金が減るわけです。
支配下登録は最高で70人登録できます。しかし、一軍の出場選手登録の人数は29人です(感染拡大防止特例の適用により、2020-21年は31人)。ということは、一二軍を運用するとしても、一軍の出場選手登録の倍である58-62人程度で支配下登録選手は十分でしょう。
もちろん手術明けで試合に出られないなどの要因により、特定のポジションの選手が足りなくなる可能性はあります。そういった可能性があらかじめ分かっていればドラフトで育成選手を獲得しておけばいいですし、急遽人数が足りなくなった場合は、選手のコンバートなどで柔軟に対応すればいい話です。
③分散したドラフトを行う
支配下登録を少なくするためには、ドラフトで球団内の選手のポジションや年齢を分散することが大切です。どの選手が活躍するのかは誰にもわかりませんからね。偏った編成ではトレードなどの動きもしづらいですし。
年齢を分散するには、毎年決まった年代の選手を獲るのも一考です。毎年高卒の選手を獲得していれば、球団内の年齢は自然と分散されます。大卒でもそうですね。投手は20代前半、野手は20代後半に選手としてのピークを迎えるとの話もありますから、新人~20代後半までは選手層に大きな年齢の偏りがない方がいいでしょう。
また、「高卒か大学・社会人を指名するか問題」もあるとは思いますが、育成に自信があれば高卒中心の方が年俸も抑えられるかなと思います。
では、その年代・ポジションの中で、どういった選手を獲得すればいいのでしょうか?
FAおよび高額な外国人選手の補強が難しい貧乏球団にとって、ドラフトは唯一と言っても過言ではないほど重要な補強チャネルとなります。ですが①で述べたように将来放出する可能性もあるので、他球団が欲しがり、かつ自球団に必要な選手が理想です。
具体的には
・その年代の選手がいないor少ないポジションで
・長打力、球速など目立つ特徴のある選手
がいいのではないかと思います。
また、もし指名の順番で悩むことがあれば、
優先|内野手or投手
次点|外野手
最後|捕手
という優先順位で指名するのがいいのではないかと思います。
2017~2021年の5年間の年俸ランキングの1~10位までを見てみると、
投手 22人
内野手 23人
外野手 18人
プロ野球データFreakよりデータを集計
という結果になりました。捕手は0人です。
このデータをもとに考えると、捕手を高額で他球団に売りつけることは難しいことがわかります。もしどの球団も捕手を欲しがっているなら、もっと捕手の年俸は高いはずです。球団内のポジション・年代の分散が最優先ですが、もし悩んだ場合は内野手・投手を優先して指名するといいかもしれません。
④余剰資金で割安な選手を獲得する
割高な選手を放出してお金を稼ぎ、無駄な支配下選手を減らしたことで補強資金ができました。このお金でチームの勝利に貢献できる人材を獲得しなければなりません。
補強ポイントは、「チームの一番の弱点」です。なぜなら、弱点となっているポジションへの補強が最もコスパがいいからです。100点満点のテストの成績を、50→60点に上げるのと、90→100点に上げるのでは、同じ+10点でもかかる労力が全く違いますよね。
「チームの一番の弱点」を補強できる、割安で放置されている選手を獲得しましょう。要するにコスパのいい選手です。具体的には
・目立たないが素晴らしい守備力をしている
・不運なだけで実力は申し分ない
→例年よりDERの低い投手
→例年よりBABIPの低い野手
こういった選手です。逆に、派手な守備・剛速球・長打力など誰もが注目する長所のある選手は年俸が高くなりやすいでしょう。
ちなみに、2021年6月に発表された中日とロッテの加藤選手同士のトレードは、中日のチームの一番の弱点である外野と、ロッテの野手の弱点である捕手を補強しあう、Win-Winのトレードでした。
中日の場合、トレード前は加藤匠馬捕手と同じ年齢で同じポジションの山下斐紹選手もいるという状態でした。これが、トレードにより中日にはいない年代の外野手である加藤翔平選手を獲得でき、ポジションと年代の分散という面でみても良いトレードだったと思います。
⑤選手の成長を促進する
「割安な選手を獲得するトレードだけで、金持ち球団との差が埋まると思ってるの?」と思う方もいるかもしれません。もちろん“獲得するだけ”では格差を乗り越えることは難しいでしょう。
選手の成長を促進しなければなりません。選手の成長がペナントの行方を左右します。
では、選手の成長を促進するにはどうすればいいのでしょうか?ペナントの成功を左右する力をどう育んでいけばいいのでしょうか?
選手の成長を促すためには2つの要因が重要です。
1. チームへの帰属意識
2. 正しい教育
この2つがない職場を思い浮かべてみるとわかりやすいかもしれません。
職場への帰属意識を感じさせない会社。部下は上司に嫌われ、「お前は必要ない」と言われ、人として扱われません。
誰でもできるような単純な仕事を永遠とやらされたり、逆に難しすぎて納期に絶対に間に合わない無茶な仕事を、上司から事細かに管理・強制される会社。
こんな会社で新入社員は成長していくでしょうか?私だったら退職します。
選手の成長を促すためには、チームへの帰属意識と、正しい教育が必要です。
チームへの帰属意識を高めるためには、コーチが普段から親身になり、声をかけたり笑いかけたりすることが大切です。
正しい選手教育とは、「やらされている練習」ではなく、選手自身が自分の意志で選び実践する練習によって成り立ちます。そして、正しい目標設定(頑張れば達成できそうなタスク)をコーチ陣が行うことによって、選手に「自分は成長できるのだ」というマインドセットを感じてもらうことが必要です。
要するにコーチングがチームを強くする肝なのです。
そのため、コーチ陣への教育が重要です。正しい教育・知識について学ぶ必要があります。また、正しいコーチングを行える状態にあるかカウンセリングしたりするなど、コーチ陣の心技体を維持・向上するための取り組みも重要でしょう。こういったことには、元MLBの選手を獲るような大金もかかりません。
この観点で考えると、「監督が変わった際にコーチも総入れ替えする」というのはお金のない球団にはオススメできません。コーチへの教育やサポートを行うことにより、コーチングの質を上げ、チームへの帰属意識を感じられ正しい教育のできる体制を整える。この体制を選手が入れ替わろうと維持・向上していくことによって、選手が成長できる球団という他球団へのアドバンテージを得ることができるのです。
まとめ
・割高な選手を放出してお金を稼ぎ
・支配下登録選手を減らしてお金を節約し
・分散した球団編成で万事に備え
・余剰資金で割安な選手を獲得し
・選手が成長できる体制を整える
ことによって、貧乏球団でも強くなれるというお話でした。特に、「コーチ陣の心のケアや教育というのは大事だな」と、このnoteを書きながら感じました。
ちなみに④の項のような内容が好きな方は、『私たちは子どもに何ができるのか』という本がオススメです。今回のnoteを書けたのはこの本のおかげです。
さいごに。noteへのアドバイスをしてくださったYamaKenさん、シュバルベ さん、ロバートさんへの感謝でこのnoteをしめさせていただきます。それでは、さようなら。