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安心・安全な社会が子育ての基盤になる【あいおいニッセイ同和損保 小泉泰洋氏・西村将麻氏×カラダノート代表 佐藤】~後編~
この記事は、「CSV×DX」で社会課題の解決をめざす【あいおいニッセイ同和損保 小泉泰洋氏・西村将麻氏×カラダノート代表 佐藤】~前編~の後編です。
子育て環境の改善や少子化問題の解決に向けて当社と業務提携を結んだ、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の小泉泰洋氏と西村将麻氏のインタビューの後編をお届けします。
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DXだけでは少子化を解決できなかった
佐藤:当社では「家族の健康を支え笑顔をふやす」というビジョンを実現するために、妊娠・育児支援アプリの開発や提供といったDXに取り組んできました。プレママ向け情報提供アプリをリリースしたのが2011年のことになるんですが、当時は約106万人だった出生数が昨年は約77万人にまで減り、この約10年でおよそ約3割減になっています。
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妊娠期に寄り添うアプリというそれまでなかったものを作ったことで、陣痛間隔の計測や記録など、できるようになったことは増えましたが、社会課題の解決といった面で見た場合、DXだけだと力不足すぎると強く感じています。
そもそも「便利なツールがあるから子どもを産みたい」と思う人は、あまりいないと思います。「WBCが盛り上がったから野球をやりたい」という子どもは多いと思うんですが、ああいったポジティブな雰囲気をどのようにすれば子育ての領域で作れるのか。それには当社のみで社会課題の解決をめざすのではなく、大きな発信力やCSVの意識をお持ちの企業と、我々のDXで連携していくほうが効果的だと思っています。
このたびの業務提携における取り組みの一つに、御社のテレマティクス自動車保険の「安全運転スコア」と当社の育児支援アプリから取得できる「夫婦間育児共有機能の利用率等のデータ」から交通事故発生リスクと育児シェア率の相関性を検証する取り組みがありますが、御社に「当社のアプリで取れるデータを活用して一緒に取り組めることはないでしょうか」というご提案をさせていただいたのは、このような背景からでした。
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小泉:我々に対するご提案で、いきなり「データを活用しましょう」とおっしゃる会社さんはそれほど多くないんですよ。個人情報ですし、いくら統計加工をしたとしても不安を感じるユーザーの方々もいらっしゃいますから、お互いにユーザー数の減少につながるおそれもあります。
でも、イノベーションを起こすには、そこを乗り越えないといけないというのも事実です。当社の社長も常々、「ゲームチェンジをしていこう」と言っています。その際に社会の信用を失わないようにするには、データという裏付けを持っておくことが重要で、当社では僕たちがフロントランナーとしてやっているという自負はあるので、データを活用しての事業のご提案をいただいたときは個人的に嬉しかったですね。
西村:保険を通じた社会課題・地域課題の解決の一例として、当社ではお客さまが車でどこを走ったときに車が振動したかというデータを活用させていただいています。「このエリアでは車が縦に揺れている」といったデータを自治体等に提供して、道路環境の改良につなげてもらう、地域課題の解決を目的としたデータビジネスです。このように、ビッグデータを活用して社会・地域の課題解決に繋げる「価値の連鎖」をどんどん広げていき、走行データがたまるほど地域の役に立つというような価値をお客様と一緒に創り出していこうという取り組みをしています。
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御社は我々では取得できない育児関係のデータをお持ちですから、それを当社のデータと合わせて活用すれば、交通安全から入って、少子化解決という出口を目指せるかもしれない。そんな希望がありました。
「ワンオペ」という言葉も少子化の一因かもしれない
佐藤:ちょっと違った角度からの質問になりますが、おふたりは日本の少子化をどう捉えていらっしゃいますか。日本では10年前に比べると男性の育児参加は進んでいるにもかかわらず、出生数は減少しています。その要因や解決のために必要な取り組みについてのご意見をお聞かせください。
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西村:僕自身のことをお話しすると、子どもは2人いて、5歳と3歳です。3人目は「もういいか」と話していて、これがなぜかと言うと、2人の育児と家事を頑張ってくれている妻の負担が更に大きくなってしまうというのもありますが、僕は守るべき命が増えるのが大変な気がするんです。
この間、親子で出かけたときに、娘がどこかにつまずいて花壇の角に顔をぶつけて頭をケガしたことがありました。こういうのを3人分、目が離せなくなると大変だなって。そういうところがもしかしたらハードルになっているかもしれないので、「子育ては危なくないよ、安全だよ」という世の中を作りたいですね。
子育て関連の言葉についても思うところがあって、そもそも「ワンオペ育児」の「オペレーション」っていうワードがよくないと思うんですよ。「運用」とか「作業」っていう意味だと、どうしても「つらい」イメージになってしまうというか。名称を変えていく社会運動が必要だと思います。
佐藤:まさにそうだと思いますね。ネガティブな言葉が流行って、そのままずっと根付いてしまっているというか。
西村:もっといいワードを一緒に考えましょう!
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安心・安全・安定につながる価値をいかに提供できるか
小泉:今は、安心・安全・安定といった言葉の中にある「安」という言葉が世の中から欠如している時代だと思います。
僕が小さかった頃は、祖父母も同居していて、母親は何かあれば「ちょっとごめん、子どもを見ていて」とすぐに頼める環境でした。そういう環境が普通だった時代から核家族が増え、どんな課題が生じるのかの認識がないままライフスタイルだけが変わってしまい、内在していた安心・安全・安定につながる目に見えない関係性みたいなところが実は置き去りにされてしまったんじゃないかなと、すごく感じますね。
その関係性の部分は会社の制度や社会保障ではカバーされていなくて、要するに日本古来のカルチャーだった部分が上手くアップデートできていない。その足りない部分を一つずつ埋めていく必要があると思います。
佐藤:まさに今おっしゃった安心・安全・安定といったところに関して、子どもを持たない理由として多く聞かれるのに「経済的な不安」というのがあります。ただ、その一方で世帯年収は20年前と比べるとかなり増えていて、厚生労働省の調査によると、児童のいる世帯の2020年の平均所得は約813万円なんですよ。なぜ増えたかというと、共働き率が倍くらいになっていて、今、子育て世代では75%以上が共働きなんです。
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共働き率が上がって世帯年収は増えた一方で、核家族化が進む中で家庭における「守り」の部分が変化した。将来に漠然とした不安があるので貯蓄思考になり、その反面、余裕を持ってお金を使えなくなった側面から「経済的な不安」と思い、悩む家庭が増えているのではないでしょうか。
小泉:社会保障のあり方が高齢者への保障にフォーカスしてきた結果、子育て世代では所得が増えても手取りはなかなか増えていない実情があります。確かに高齢者の増加は日本社会にとって喫緊の課題でしたが、せめて高齢社会対策と少子化対策を半々くらいの比重で進めることはできなかったのか、と。高齢者に対してはある程度の保障を整えることができた一方で、実は子どもを育てることの火を消してしまったというのが今の日本の姿なんだと思います。
西村:御社の記事で拝見しましたが、韓国と日本はワンオペ率が高い。そして出生率も低いということは、明確な相関があるわけですよね。
佐藤:そうですね。韓国の出生率は0.78で1を下回っているので、少子化は日本以上に深刻です。日本も人口を維持できるレベルの出生率には達していないので、高齢社会対策と少子化対策を半々にするくらいのつもりで対策していくしかない状況だといえます。
多くのパートナーとともに社会課題の解決をめざしたい
佐藤:今後の展望についてお話しすると、我々としては少子化をはじめとする社会課題を解決するためにDXだけでは足りなかったということを踏まえて、御社との取り組みにより新しい価値を生み出していければと考えています。さらには国や自治体なども含めて、協働の場を広げていきたいですね。
当然、その中で「この表現はネガティブだから変えたほうがいいね」ということや、エビデンスを持って使えるデータを外部に発信していくといったことも活動の一つになると思います。やりたいことは社会課題の解決なので、手段にこだわりを持つわけではありません。今回の御社との業務提携が、いろいろな自治体や公共機関、企業などを広く巻き込んでいくためのきっかけになればと思っています。
西村:我々としてはデータの分析をさせてもらうところからスタートして、「安心・安全な運転をして事故を起こしにくい家族」イコール「しっかり子育てをシェアできている家族」ということがわかれば、逆に「子育てをシェアできている家族」は「安心・安全が保たれやすい家族」という逆の相関もあり得るかなと考えています。そこがwin-winになるのが一番いいですよね。
そうなれば、育児シェアを促すような保険商品をご提供していくという展開もあるでしょうし、「事故が減って安全になる」と「子育てがちゃんとシェアされる」という2つのwinを両社でちゃんと実現できるような分析とサービスづくりを進めていきたいですね。そして、保険や安心・安全というところを入口にして、少子化などの社会課題解決につながる取り組みがもっとできればいいなと思います。
小泉:社会課題の解決を実現するには2社だけではまだ足りないので、もっとパートナーを増やしていきたいですね。日本全国の普遍的な課題となると、それは国で対策すべきことになりますから、我々が目を向けるべきは地域の課題だと考えています。都道府県や基礎自治体をベースに我々2社とさらなるパートナーを加えて、子育てしやすいというだけではなく、子どもをもっと多く持つことができる、そういう安心・安全・安定につながるパートナーシップをめざしていきましょう!
佐藤:現在はスタートを切ったところではありますが、日本の子育て環境の改善に向け共に取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!
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