身体感覚の形あれこれ 試されて出来上がる立体
点から線、面にまでやってきました。
線という世界は思考の世界。頭の中にあるのは大きなホワイトボードです。
私たち現代人は多くの「理屈」を知る事が出来ました。口が達者になったのです(笑)。
ならば次にすべきはその達者な口を確かにする事です。
面というのは一枚の紙です。
その一枚の紙が積み重なり、本を作ります。
本は立体、塊です。
その立体を感じられる本がなくなり、デジタルデータとなりました。
デジタルデータとなった事でさらに多くの情報を手に入れる事が出来るようになりましたが、その多くは経験の出来ない事が多く、「確かな自信」を作る機会がありません。
いかに私の中に「塊」を得るのか、それが現代のテーマなのかもしれません。
頭の中には経験という塊を得る事が難しくなりました。
ただ、その分、「モノ」としての塊を人は求めています。
より多くのお金、より確かな地位、より多くの人気、外から測れるような指標をそれぞれが求めています。
その指標は外にあるのですから、当然、それは取り合いになります。
取り合いをした時、行われるのは勝負。ガキン、ガキンとぶつかり合い、この身を削りあって、戦い、その中で強さを得ています。
勝負に勝てるのなら幸せです。ただし、勝負の果てに生き残るのはただ一人です。多くの人は負けを経験し、それまで得ていた思考、理屈までも手放す事になり、点を生むところからのやり直しとなります。
まずは塊を自分の中に見つける事、これが始まりです。
私はちゃんと、塊を持っている。それを自覚し、始まりにしたいものです。
さて、ではその塊はどこにあるのか?
身体そのものはすでに立体であり、塊です。ただ、平和な世の中を生き、便利な機械に助けられるようになると、身体の強さを経験する事なく、大人になってしまいます。
現代には現代流の身体の見方が必要です。
骨はどうでしょう。内臓に比べたなら固く、頑丈で、塊のように見えます。
しかし、その骨はガキン、と固いものと出会うと、強烈な痛みを生み出し、心を追ってきます。骨だけではちょっと「強い塊」を感じるのには足りません。
ならば筋肉ならどうか?
現代は筋トレブーム。筋トレをしている人ならそこに塊を見つける事も出来るでしょう。
ただ、その頑丈な筋肉を維持するのは大変です。トレーニングは欠かせませんし、そのための栄養補給も大変です。
何より、胴体の筋肉に力を入れ続けた時、それを維持できる時間はちょっとしかありません。筋肉だけでも足りません。
塊を見つけるのに最適なのは手です。手は骨と筋肉と皮膚のバランスの取れた部分だからです。
手を握り、ゲンコツを作ります。他人のゲンコツとを比べると、自分のゲンコツなんかは、とがっかりする事もありますが、自分の中での比較をします。
ギュッと手のひらに力を集めれば、誰のゲンコツもちゃんと強くなります。
もしゲンコツを握るのが苦手なら、5本の指をしっかりと開けば、その平たい手もちゃんと固くなるものです。
握ったり、開いたり、それを何度か確かめていけば、それはちゃんと「経験」となり、強いゲンコツが出来ていき、強い手のひらが出来ていきます。胴体の成長は時間がかかりますが、手の成長はもうちょっと早いものです。
もし、手を見てもダメなら、「爪」を試します。
ゲンコツの強さをどうしても感じられない、というなら、爪そのものを見て、その爪の固さを見てみてください。
普段気にしない爪でしょうから、手がかりがなくては大変ですが、気にしようが、気にしまいが、「ちゃんと強いのが爪」です。
努力しなくても、ちゃんと強い塊を私は持っているのだ、とわかればいいんです。
立体という強さを求めた時、それまで嫌だな、と思った「衝突」がチャンスに見えてきます。
ぶつかればぶつかるほど、私は強くなる、そんな事がわかります。
立派な理屈などなくても、案外と無謀に見えようが、頑丈さがあればなんとかなるものです。
まず、「何とかなる」という安心を得れば、その中で、「ちょっと丁寧に」という工夫が出来るからです。
考えてみると、便利でなかったこれまでの時代は、身体に任せなくてはいけない時代でした。その身体は使っていくうちに自然と強さを得ていきました。
何とかなる、それを皆が頼りにしていたのかもしれません。
今、私たちは「脳」という身体ばかり使います。
脳だって身体です。脳を使えばさらにその脳は生かされ、強くなります。
ただ、その脳を支えるための土台である身体がどれだけ頑丈かが大切になってきます。
多くの人は首から下の身体を気にしなくなりました。
気にしなくても、強い人は強いです。生まれ持った体にも違いがありますし、育ってきた環境も違います。
社会にでて勝負が始まった時、どんな身体を持っているか、そこに成功のカギはありそうです。
私はずっと、身体を探って生きてきました。
新しい身体感覚を見つけるたびに、あぁ、これが子供の頃にあったらなぁ、と思います。
自分が何を苦手にして、何を嫌っているのかは身体が決めていたのだ、とわかるからです。
今、50を過ぎて、これまでで一番楽しい時間を過ごしています。まだまだ知らない自分がたくさんあるようだ、と感じるからです。
最初、そんな可能性を自分に見つけるのは淡い淡い期待でしかありませんでした。
しかし、身体の各部分に意味を見つけ、心を動かす働きがある事を知っていくうちに、人の持つ可能性を感じざるを得なくなったのです。
人には無限の可能性がある。
これは私が子供の頃からずっと、教わってきた事です。
その教えがどうやら、確かだ、とわかってくるのです。楽しくないわけがありません。
自信を感じたいなら、時々、ゲンコツを握り、5指を張って手を開く。
こんな事で自分が持つ手という存在と働きを知る事が出来ます。
noteで伝えられるのはこんな程度ですが、その上で稽古に来ていただければ、さらに、そのゲンコツや手のひらの働きの奥深さに感激してもらえるはず。
まぁ、気が向いた時に、グーパーしてみてください。
関東稽古があります。
「つくば稽古」
稽古日時:2024/12/1(日)13:00-18:00(入退室自由)
※稽古後、おさらい稽古もあります。個別に聞きたい事があれば、ぜひ聞いてください。
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 ←クリックでマップが開きます。
参加費:10000円
「東京ロングヒーリング」
稽古日時:2024/12/3(火)10:00-17:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員6名
「東京夜稽古」
稽古日時:2024/12/3(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
定員はありません
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円
「甲野善紀先生の浜松稽古」
稽古日時:2024/12/21(土) PM3:00~PM6:00
稽古場所:浜松市 蒲協働センター 和室(カバキョウドウセンター)
会場住所:浜松市中央区子安町309番地の1
参加費:8000円
参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/