日本人にとっての前と後ろ
これは随分と「前」にも書いた事ですが、日本人にとっての前と後ろは実に、興味深いものです。そこには確かな身体感覚がある、と感じられます。
例えば、「前に書いた」という言葉ですが、これは「過去」を表す言葉です。
また、「この後の事はわからない」という言葉は「未来」を表します。
こんな事から考えると、日本人は未来に対して「背」を向けている、と思えます。
もちろん、この肉体そのものが背を向けているわけではありません。私たちだって、普通に前へと歩きます。
しかし、肉体とは違う身体感覚を見てみれば、未来をよ~く見ているというよりも、過去に目を向けて過ごしているように思えます。
未来に対して背を向けている、そんな事を考えて今の日本を見てみると、西洋社会との違いも仕方がない、と思えてきます。そもそもの土台、姿勢が違うのですから、ただ真似をしてもどこかに無理が来て、続けられなくなるのも当然かもしれません。
さて、前回、脚を後ろへと踏み出せば足は前へと進む、と書きました。
大切なのは「後ろ」なのです。ただ、その「後ろ」は身体感覚からすれば「前」であり、気持ちは後ろの方へと進む方が楽なのがわかります。
この時、骨盤を立て、仙骨から始まる背骨がしっかりとS字を作って胸が張られると、重心は自然と胸に上がります。
胸に上がった重心はどうしても現実的前へと行きがちです。後ろへ意識を向けようとも、ついてきてくれる身体はありません。
重心が腰にあるからこそ、股関節の働きとして、後ろへと脚が踏み出しやすくなるわけです。おおよそ理解のしにくいこの前と後ろの言葉も体感をしてしまえば、もう、これ以外の歩き方は遠慮したくなります。
今、日本は随分と西洋化されて、昔の習慣、文化はどんどんと捨てられるようになりました。それは合理的であり、頭はこれも当然、となるかもしれませんが、重心が腹にある身体のままでは、前へ前へと行き過ぎればちょっと勢いがつきすぎ、転んでしまうリスクが高まります。
多くの人が「予定」を立て、生活をします。
ノルマを課され、成績が残るように仕事をします。スピリチュアルな業界の人であっても、夢や願望を現実にするためにはそれを予定にしてしまえ、と言ったりします。現実をいかに得るか、それに心は惹かれています。
まぁ、気持ちはわかります。
若く、元気で健康なうちなら前へと意識を伸ばして、現実を豊かにすれば楽しく、遊べます。
しかし、遊ぶのだって体力を使うのです。もう動きたくない、と思うくらいになる事だっていつかやってきます。いつまでも若い時のように徹夜は出来ません(笑)。皆、知ってますよね。
でも、だからと言って、何をどう対策すればいいのかわからなくなってしまったのです。
多くの指導者は未来に得る力を約束させます。そのための訓練をさせてくれて力を与えてくれます。
しかし、それではさらに、未来を忙しくする事ばかりになりかねません。大切なのは、すでに自分が切り開いてきたこれまでの道、過去をみる余裕です。
過去を見た時、エネルギーは自分の内部で動き始めます。その時持っていた思い出は外へは出ずに、内面をぐるりと動き始めます。これが「勢い」を生むようです。
若いうちにはこの元気は勝手に生まれます。朝起きれば元気いっぱいです。そして夜が近づくにつれ、また元気が溢れてきます。しかし、歳を重ねたら違いますよね。
朝起きるのも辛ければ、夜になれば眠くなる。それが人の身体です。
後ろを見て、後ろに脚を踏み出した時、身体に勢いが生まれている事がわかってきました。ただ歩きやすい、というだけではなく、歩きやすい理由があったのです。
とにかく、前ではなく、後ろを意識する。これにつきます。
そして、その後ろは、ちょっと仏壇に手を合わせる、とか、歴史ある場所に行くとか、思い出深い愛着のあるものと一緒にいるとか、そんな事でいいようです。
時代の流れは早く、つい、未来ばかりをみさせられます。インターネットが生活の主役になり、情報は常に新しく、また、生み出されています。
未来を見るのは簡単です。ただ、その未来はさらに未来を見ている人の力に巻き込まれ自由のない未来かもしれません。
これまで過ごしてきた過去は自分だけのものです。その過去から勢いをもらい、その上で今を生きる。勢いを得て、そして未来を創る。そんな生き方が出来るのが日本人ではないかな、と思います。
日本人には日本語がよく似合います。日本語に秘められた身体を生かす働きをもっともっと探ってみたいと思います。
「つくば稽古」
稽古日時:2024/10/6(日)13:00-20:00(入退室自由)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 ←クリックでマップが開きます。
参加費:10000円
「東京ロングヒーリング」
稽古日時:2024/10/8(火)10:00-17:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員6名
「東京夜稽古」
稽古日時:2024/10/8(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
定員はありません
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円