魂と表情の不思議な関係 その4

表情について、と書き出してみましたが、これは今、私が現在進行形で研究している事そのものです。稽古をするたび、新しい発見があり、それまでの考え方とすり合わせ、より納得できる考え方を探しています。

私のやり方は、言葉にしたものが最後、というわけではありません。より納得できる考えが見つかれば躊躇なく、考えを変える、ずっとそうしてきました。
このやり方は組織を作ったなら反発も招くでしょう。お前を信じて長年時間とお金を費やしたのに!!と文句が出るかもしれません。指導員資格など別料金を取り技術の伝授をした場合、それによって出る苦情、被害を考えたならおいそれと土台となる考え方を変えたりは出来ません。

しかし私の流儀は一人稽古(笑)。頻度高く、集まってくれる常連さんはいても、それぞれがそれぞれの感覚に従い、より精妙な術理を探しています。そんな集まりです。
私だけではなく、その日稽古に参加する誰かが、これまで見た事もない動きをしたならば、心高揚し、躊躇なく、新しい術を追い求める人ばかりです。
これが甲野先生に教わった稽古法。

表情の話を続けていますが、言葉が多くなると難しく感じるかもしれません。
しかし、それこそ、表情が理解されていない証拠。現代は表情を意識しなくても、生きていけます。しかし、生まれた時にはその「表情しかない」状態だったと考えます。

おギャーと生まれて突然、水の世界から、空気の世界に放り出されます。
呼吸が肺呼吸に変わります。脳も未熟、目は開かず、言葉は理解できません。首も座らず、手足だって動けません。ただ寝ているだけです。
赤ちゃんにとっての表現は表情だけが頼りです。そしてその表情が周りの大人たちを魅了して、世話をさせてしまうのです(笑)。

まぁ、正しい事はわかりません。しかし、正しさはどうでもいいのです。
自分の中に自分の持つ表情の力に信頼と納得が得られる考え方を得る、それが欲しいのです。

私は身体に「層」を見ています。
魂から始まって、表情を得て、感情が動きます。そして手足を動かす自由をしり、欲しいものを手に入れる。簡単に言えばこんな感じ。
成長と共に様々なもの、力を手に入れていきます。そして、それは身体の成長とつながるのではないか、と思うようになりました。

今、私はすっかり、おっさんです。
手に入れているものもあれば、手からすり落ち、手放してしまったものもあります。
色々と悩むのはここ、何を手にして、何を手放したか。大人は結果に捉われます。
しかし、その前では手に入れるための方法を考えるはず、作戦を考え行動に移す準備をします。
また、その前段階では楽しむことを覚えます。嫌なものならやりたくはなりません。感情が高まる事、そこに興味が動き、人生という道が拓いて行きます。

どうやら、表情はかなり早い段階で過ぎてしまっていたようです。
表情を動かせなくても、感情が動けば何とかなります。親は子供の「好き」を見つけ、応援したりするはず。また、気の利く子なら、親の「好き」をみつけ、喜ばせようとするかもしれません。

今は道具の時代、サービスの時代。答えを「検索」する力の方が大切だったりします。
さらに、自分の中の力を問う機会は減ってしまうかもしれません。

目指すは赤ちゃんの表情。
それ以外に武器を持たない、と思う事が大切になります。色々と研究をしてわかってきました。
この術理も子供の方が簡単にやります。そして、長年、身に着けた技がある人ほど、難しいみたい。自分が力を入れている事、技を使おうとする事に気づけないのです。

ただ、表情は誰もが通った道。必ず使えるものです。
今、「使えるもの」と書いてしまいましたが、使おうとする前に、「力んでいる」事に気づけるかどうか、それがカギになります。

今、お店の接客も難しい時代です。下手にコミュニケーションをとれば、客の機嫌を損ねたり、ストーカー化する事もあります。
ならば、無表情、叱られない程度の無機質な笑顔で過ごす事が「自己防衛」になったりします。難しいですよねぇ・・・。

稽古はたんたんと毎日を遊べます。
水引の力を借りて簡単に違いが分かってきます。私は3日ほど、機会あるたびにくわえていました(笑)。その後、さすがに面倒で、マスクチャームで作ってもらったり、水引を直に耳裏などに張り付けたりしています。

そういう涙ぐましい稽古の末(笑)、自覚をした顔の力み、表情の強張り、今はもう、以前の表情には戻れません。
それまで自分が感じていた人との距離は自分自身が作り出していた、と確信してしまったからです。

身体は可能性の塊です。
様々な知識、技、メソッド、それらを学び練習するのも大切だし、楽しいです。それでうまくいく人なら、すでに表情を柔らかくさせる才能があったのでしょう。
表情は形としてほとんど見えません。それぞれが自覚をしている事もすくないでしょう。だからこそ、伝えられる機会がないのです。
もし、水引で一瞬でそれまでの人生を変えられるのだったらどうでしょう。最初に感じる「みっともなさ」、それさえ乗り越えれば、またさらに、身体を知りたくなるはず。好循環が始まります。

次回は笑顔とそれ以外について話すつもりです。表情について考える時、間違えやすいところです。

【稽古予定】参加受付中
11/27(土)川崎稽古会、新会場!
12/19(日)甲野先生の浜松稽古会
1/16(日)つくば稽古会

11/24(水) 名古屋
11/26(金) 東山
11/28(日) 浜松

詳細はウェブサイトで。
カラダラボ ウェブサイト


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