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アレクサンダー・テクニックとの出会い

学生ビザでアメリカに入国したインターナショナルの学生が
アメリカ国内で働くことは基本禁止されているが
通っている学校内で働くことは許可されている。
私もバークリー音楽院在学中は、
就労許可証を取って図書館でアルバイトをしていた。

バークリーでは、歌を専攻していて
最終学期で取った声楽論などを学ぶクラスのリサーチ課題で
アレクサンダー・テクニックをはじめ、
スピーチレベルシンギングやロルフィングなど
声や体に関する様々なテクニックの存在を知った。

片っ端から気になったテクニックのワークショップやレッスンを受けた。
アレクサンダー・テクニックも
近所のコミュニティーセンターで入門ワークショップをしていたので
申し込み、その講師のプライベートレッスンも受けてみたのだが
なんだかふわっとしていて正直よく分からなかった。
それでも何か心に引っかかり、深く掘り下げて調べてみたいと思った。
図書館でのアルバイト中、時間を見つけては
アレクサンダー・テクニックに関する本を読み漁った。

ある時、図書館で同じように働いていた友達が
私が読んでいる本のタイトルを見て
「アレクサンダー・テクニックに興味あるの?
だったら、世界で一番の先生がいるから
その先生のレッスンを受けるべきだよ」
と勧めてくれた。

紹介してもらってすぐに、電話をかけ
プライベートレッスンのアポを取った。
最初のレッスン。
とにかく衝撃だった。
これは歌がうまくなるとかそんなことよりも、
人として習得しておかなくてはいけないことじゃないか
と直感的にか、身体がそう訴えて来た。

それが、私のアレクサンダー・テクニックの先生である
ルース・キルロイとの出会いである。

23歳の時にぎっくり腰になって以来、腰痛は当たり前で、
バークリー時代、特にリサイタルの日が近づくと必ずぎっくり腰になり
痛み止めのプレドニンとボルタレンを飲みながら、
荷物を持つこともできないから大量の楽譜はコロコロカバンで運び
ひどい時はベットから転げ落ちてトイレまで匍匐(ほふく)前進で行かなくてはいけなかった
そんな私のことを何年もの間知っていたのに
本を読んでいる私の姿を見て初めて
アレクサンダー・テクニックの先生を教えてくれた友達に
なんでもっと早く教えてくれなかったんだと
今となっては文句のひとつも言いたいところだが、
その友達のおかげで最高の先生に出会えたのは
感謝しても感謝しきれない。

※注釈※
アレクサンダー・テクニックは痛みの緩和が目的ではないが、
腰痛などの慢性痛にとても効果があるのは事実であり、
例にももれず、私もレッスンを受け始めてからかなり早い段階で
腰痛はすっかり改善され、
2人の子供妊娠出産の際にもかなりの方が悩まされるという
腰の痛みなく絶好調に過ごすことができた。

ちなみに紹介してくれた友達は
バークリー音楽院と並行して、
ルースがディレクターを勤める
アレクサンダー・テクニック教師養成コースにも通っていた。

ルースとの最初のレッスン終了後
「ちゃんと学ぶのであれば教師養成コースに来なさい」と言われたが
その通りだろうなと思えたので、
教師になるかはさておき、入学への迷いはなかった。
本来ならコースに入るために、
プライベートレッスンをあるレベルに達するぐらいまで
受けていなければならなかったのだが、
コースがスタートするまでの2ヶ月間、
集中レッスンを受け、特例で飛び込み入学をさせてもらった。

写真は、ニュートン(マサチューセッツ州ボストンの西に隣接する都市)にある
アレクサンダー・テクニック・トレーニング・センターの入り口。
2005年に撮ったもの。さすがに解像度が低いですね(笑)。

ここから、アレクサンダー・テクニック習得への長い道のりが始まった。

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