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ドラマ・映画感想文(48)新春スペシャルドラマ『スロウ トレイン』

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/slowtrain/

満足度:7点(/10点)

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※若干ネタバレあり(結末に関するネタバレはありません)

主演・松たか子さんと鎌倉の瀟洒な一軒家を掛け合わせた時点で、雰囲気は100点。

そして、老害に片足を突っ込んだ作家役のリリー・フランキーさんが、オーセンティックなバーカウンターで愚痴をこぼす絵面で、120点。

そこにさらに、のんびりした江ノ電、ハートウォーミングで悪人が一人もいない温かい世界感、主演級が揃ったキャスト、それらキャスト名と同等かそれ以上に最近名前が前面に出てくる信頼のヒットメーカー野木亜紀子さん(脚本)のクレジット…等々、ハズレ要素は全く無く、鎌倉&韓国ロケが多用されていることからも分かるとおり、気合いも十分。

たしかに良い内容だったし、盆石というアートは初めて知って勉強になった。

それに、井浦新さんがいつもと声を少し変えているように聞こえ、新鮮で良かった。出演時間は短かったが、強く印象に残った。

でも何個か引っ掛かる箇所があったので、それを記しておこうと思う。

①妹(多部未華子)の店を訪れた姉(松たか子)は、妹が既にそこにいないことくらい、考えるまでもなく予測できたはず

ドラマ冒頭で、姉(松)は妹(多部)から、韓国で暮らすことになった旨を知らされていた。それなら当然、妹(多部)が店を既に辞めているかもしれないことくらい想像できたはずだが、店に赴いて初めてそれを知って意外そうにしていることに違和感を覚えた。

妹(多部)も妹で、自分が店を辞めたことが姉(松)にバレたと察知して姉からのスマホ着信をスルーするシーンが出てくるが、韓国行きを告げた冒頭シーンの時点で当然そう察知されてもおかしくないのになぜ今の今まで察知されずに済んでいたと思っていたのか、これも疑問に感じた。

この一連のシーンが、冒頭シーンとの整合性という点で不可解で仕方なかった。「もしかして時系列的には、冒頭のシーンがこれらのシーンより後のことなのか」と一瞬疑ったけど、どうもそうではなさそうで、尚更疑問が強まった。この不可解さが引っ掛かって、しばらくストーリーに集中できなかった。

②若手作家(星野源)の着ていたSlipknotのバンドTシャツが、このキャラクターと似つかわしくない

「いかにもドラマに登場しそうなおしゃれでハイソな新進気鋭の若手作家」然とした百目鬼(星野)が、自身の元編集担当(松)の突然の来訪を受けた際、それまでのファッションや佇まいと180度逆のテイストであるSlipknotのバンドTシャツを着ていて不思議だった。おしゃれな羽織を上にかけていたけど、それにしても、この人物のキャラクターにも部屋の内装にもそぐわない。

そういう設定と言われればそれまでだし、自宅で独りで過ごす前提の恰好ではあったのだろうけど、それを割り引いてもあえてSlipknotにする必要性は無いように思えた。他にロック趣味を感じさせるものが身の周りにあれば別だが、それも見当たらず。

強引に心理状況を推量すれば、ある悲しい出来事を経験した後という設定なので、その思いに打ち克ちたいという反骨心からロックバンドのTシャツを着たと解釈できなくもないが、これはこれで無理筋か。

私はSlipknotは嫌いじゃないし、むしろ、フロントマンのコリィ・テイラーによる別バンド=Stone Sourのアルバムをスマホに入れているくらいなので、へんな親近感を覚えたくらいではあるけれど、でも、このドラマのこのキャラクターには合わないでしょう。遊び心? うーん、普通に違和感だけが際立っている気が。

③「日曜」のテロップは、おしゃれな雰囲気漂うこのドラマの中では無粋に感じた

④「滑らか」=「すべらか」という読み方は辞書的には間違っていないけどあまり一般的でない気が。普通に「なめらか」ではダメだった?

上記4点は結構気になった。ただ総合的には新春らしい良いドラマだったと思う。

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トップの写真は、スロウ トレインと真逆の東海道新幹線の車窓から見えた虹。「しまむら」の看板が絶妙な位置。

*「ドラマ・映画 感想文」シリーズ*

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