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13.スランプを受け入れよう

 英語多読を続けていると、『もう英語嫌だ!読みたくない!』という考えに支配されることがあります。100万語を通過してしばらくしてからスランプが来る人が多いようです。ちなみに、スランプには①能力の伸び悩み②気分的な不調の二種類があります。

 まずは①能力の伸び悩みについてです。英語多読という分野に限定していえば、能力の伸び悩みのスランプはあまり経験しないと考えられます。もし、能力が伸び悩んでいると感じても、読書記録をみると、日を、月を、年を追うごとに難しい本に挑戦で来ているのは間違いないからです。もし、感じるとすれば[A]読書速度wpmの伸び悩み[B]TOEIC、英検などの点数の伸び悩みです。[A]は"11.こどもに戻った気分で読もう"の記事でも書いた通り、wpmが上がるのには年単位のスパンが必要になりますし、読む本が難しくなれば、読む速度は自然に遅くなります。一見読む速度が上がっていないように見えても、確実に進歩していることは忘れないようにしましょう。[B]TOEIC、英検などの点数の伸び悩みについてはどうでしょうか?TOEICを受験した経験を振り返ってみると

TOEICに求められる能力
・文法知識:中学英文法+α
・リスニング:180wpmで正確に聞ける
・リーディング:200wpmで正確に読める
・英単語:10000語くらい(YL6以上の大人向け小説や啓発書・ビジネス書で出る単語をカバーしたら『金のフレーズ』掲載の単語を90%カバーするくらいのイメージ)

です。もともと受験などで英語の勉強に明け暮れていた人はすぐにスコアが伸びる傾向があります。しかし、英語の成績がいつも赤点ギリギリだった自身の経験では、300万語(YL6の本に挑戦し始めた頃)で685点という結果でした。TOEICの試験の難易度は、一朝一夕で上がるものではないものだと認識する必要があるでしょう。(3か月で600点→800点の人は、毎日6時間以上TOEIC特化の勉強している場合がほとんどです😓)

 次は、②気分的な不調についてです。冒頭でも書きましたが、100万語をこえてしばらくしたくらいで、『洋書を読むのが苦痛』になる傾向があるようです。自身のスランプ体験を紹介したいと思います。英語多読を始めてGraded Readerを低いレベルから順番に読んでいき、YL2.8~3.2のもの(MacmillanでLevel3、Oxford BookwormでLevel2に相当)に差し掛かったころです(総語数100万語前後)。このころから、英文を読んでいると頭痛と吐き気が襲ってくるようになりました。この症状は読めば読むほどひどくなり、ついには英語多読を続ける事が困難になりました。限界が来たのは総語数260万語ころのことです。そこで、Twitterに”もうよめない!つらい!”と泣き言を書き込んだんですね。そうしたら、洋書クラスタの方々からメッセージをいただけました(本当に助かりました!ありがとうございます)。そのときの助言の内容はだいたい二つ。

①英語からいったん離れる。
②英語多読は中断する。しかし、英語は継続する。

自分が選択したのは”②英語多読は中断する。しかし、英語は継続する。”でした。その当時、自分はリスニングまったくできない初心者でした。気分転換にリスニングの練習をしようと思い立ったわけです。Cengage Pageturnersの音源をスマホにダウンロードして聞いたり、PodcastのAll Ears Englishを同じくスマホにダウンロードして聞いていました(しかも、同じ音声を聞き込まず、いつも違う音声を聞いていました)。スクリプトはなしで、普段はゆるーく聞いて、ときどき集中して聞いていました(リスニングについては脇話があるので〇付録としてこの記事の最後に記載します)。もう自分は英語が読めない体になったのではないかという恐怖感を抱えていましたが、リスニングしながら居眠りするなどの経験を重ねてだんだん気分がほぐれていきました。約二か月間、この生活を続けたあと、多読に舞い戻ったら頭痛も吐き気も嘘のようになくなりました!そして、行きついた結論は、

『英語以外の事を始めてもいいし、英語を続けても大丈夫!スランプは英語に触れていても触れていなくてもいずれ去っていく!自分が今できる事を無理なくすればいい!そして、英語多読の能力は数か月離れたくらいでは失われない!』

でした!スランプは必ず去っていきます。安心して読みましょう!

 なお、スランプに似た症状で『燃え尽き』『オーバートレーニング』があります。これはまた別の機会に記事にさせて頂きます。


〇付録 リスニング能力と高音難聴

 自分が英語多読からいったん離れて、一か月くらいスクリプト無しのリスニングを続けたら、英語のリズムが分かるようになってきて、リスニング能力は向上しました。自転車の乗り方を覚えたように、主語と述語が聞き取れて動作が分かるようになり、リスニング能力が向上するに伴って、形容詞や前置詞の後も聞きとれるようになりました。

 リスニングの特訓を始めた時、多くの人が思うのは『自分は耳が悪いのではないか?自分はリスニング能力は伸びないのではないか?』です。しかし、安心してください。実は、自分は『騒音性難聴』と診断されていて、本当に耳が悪いです。小学生のころからなのですが、4000Hz以上の音がほとんど聞こえません。『英語の音には、日本語の音には含まれない高周波の音が含まれている』とよく言われますので、ほんのちょっとだけ『自分にリスニングは難しいのではないか?』という不安はありました。しかし、TOEIC685点を取得した時のスコアの内約は(L:360、R325)でした。全然普通ですよね(;^ω^)。

 人は年齢を重ねると、誰でも高い音からだんだん聞こえなくなります。じゃあ、英語圏の人は、歳をとると日本人よりも耳が遠いことが重大な問題になるはずですよね?でもそんな話は聞いたことがない。それに、英語に高周波が含まれているというのは、『発声の方法や部位が違う』ことを意味しますが、『高周波の部分を聞きとらないと英語として理解できない』と解釈するには飛躍があるのではないでしょうか?実際『スペクトルアナライザ』というアプリをスマホに入れて身近な音の周波数を計測してみると、机など硬いものを爪でコツコツと叩く音は、0~10000Hzまで音が満遍なく含まれています。あれ?日常生活に高周波の音ってありふれているんですが(;^ω^)?

 TOEICのリスニングは、速いし、いろんな国の発音があるし、内容も複雑だしで、聞きとりにくくなっています。自分も最初はいきなりTOEICのリスニングの問題に手を出して、聞き取れないことで自信を無くしてしまいました。受験勉強でゴリゴリに英語を勉強した経験が無いのであれば、のんびり簡単で興味のある音源を探してのんびり聞いていれば、きっと誰でもリスニングはできるようになります!安心してください!


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