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17.語彙力増加は1日3.2語を目安にしよう

 英語多読で必ずぶつかる問題は、語彙力の問題です。実際、Twitterで次のようなアンケートをとったことがあります。

児童書や大人向け洋書を読めるようになるまでに一番苦労したことは、、、
文法知識:7%
単語力:58%
大量の英文を処理すること:29%
英文を楽しく読めないこと:15%
※回答者数156名

 洋書を読むという分野では、圧倒的に単語で苦労された方が多いことがわかります。洋書には教科書には出てこない単語が次から次へと顔を出してきます。大学受験で英語学習そこそこがんばった人で3000語前後知っているくらいだと思いますが、大人向けの洋書を読むのに10000語以上の語彙力が必要だと考えると、ぜんぜん足りませんね。この足りない語彙力をどうやって身につけていくべきか、気になるところだと思います。

 英語多読による語彙力の増加は緩やかであるとされており、単語帳による語彙力増強を始める人も少なくありません。自分の経験では、1冊の本(あるいは一回の読書)で3語が覚えられました。一方、単語帳による暗記はどうでしょうか?自分の経験では、1日1〜2時間、1ヶ月間単語帳と向き合って1000語暗記できました。こうしてみると、単語帳を使ったほうが効果的な結果にみえます。

 ここで発想を変えてみて、ネイティブの人の語彙力を年齢別にみたらどのくらいなのかが掲載されているWEBサイトを検索したら、↓の良記事がありました。
ebookfunclubネイティブを追いこす語彙数を目指せ!
このサイトによると、

年齢別 英語ネイティブスピーカーの語彙数(中央値)
6歳:7,161語
12歳:14,375語
15歳:19,531語
18歳:22,046語
22歳:23,974語

ebookfunclubネイティブを追いこす語彙数を目指せ!より

という数値が記載されています。では、この数値からネイティブスピーカーの人が1日に何語ずつ語彙数が増えているかを計算してみると、、、?その結果が、3.2語なのです。え?英語漬けの環境なのに、こんなに少ないの?と思われるのではないでしょうか。

 もう一度、単語帳を使った1か月(31日)で1000語を思い返して見ましょう。1日あたり32.3語覚えた計算になります。異常な量だと思われませんか?じつはここには数字のマジックが潜んでいます。基本的に単語帳を暗記する際には、忘れてゆく単語数は計上できないのです。単語の記憶というのはあくまで一時的なものなので、単語帳から離れたり、別の範囲を学習していたら、当然、単語は忘れていきます。一方、実際に英語ばかり使っているネイティブの人は常に『新たに覚えた単語数−忘れた単語数=3.2語』なのです。繰り返しますが、日々単語を忘れつつも、毎日3.2語ずつ語彙力が増えていくのです。

 英語多読での語彙力増強についてもう一度考えて見ましょう。先ほど、『自分の経験では、1冊の本(あるいは一回の読書)で3語が覚えられました。』と書きました。これは、『ネイティブは一日3.2語、語彙力が増加する』という話に似ていませんか?すでに記憶にある単語が並んだ文も読んでいるから、単語も忘れにくいです。自分自身の経験で、4年で1000万語の洋書をよんだのですが、ebookfunclubネイティブを追いこす語彙数を目指せ!で紹介されていた語彙力を測定するのに使用されたサービスを利用してみたところ、語彙力は11000語程度でした。スタート地点が3000語からだったとすると、自分は一日に5.5語のペースで語彙力が増えている計算になります。(注:分からない単語は電子辞書の英英辞典で調べています)

 こうしてみると、一か月に500語も1000語も増やす努力って、かなり目標が高いと思いませんか?一日3.2語ペースだと、一か月で約100語の計算になります。受験対策では単語帳が必要になるかもしれませんが、単語帳を使った語彙数増強は理想が高いゆえに苦労が伴うのだおもいます。この辺、単語帳を使う前に説明をした方が良いところだと思います。いつも単語帳に頼るのではなく、『新たに覚えた単語数−忘れた単語数=3.2語』ということを心の片隅に置いて、気長にだけど、たくさんの英文を毎日読んでいきましょう!

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