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ルポ 初めての自費出版と初めての同人即売会 文学フリマ広島7

2025年2月9日 私は初めて作った小説を抱えて文学フリマ7に赴いた。同人即売会に出るのは初のことであった。


以下に文学フリマ7の準備から当日までに私が考えたことなどを書き連ねてゆく。

また、文学フリマにて作品を売るために重要なポイントのまとめや、初めて文学フリマに出店するにあたって役に立った買い物のまとめも記載する。

作品を売るための重要なポイントまとめは小見出しの売り上げ効果があったもの、効果があるように感じること効果がなかったもの
文学フリマの出店する日当たって役に立った買い物まとめは小見出しの初めて文学フリマに出店するにあたって買ってよかったもの
をタッチまたはクリックしていただけると、移動することが出来る。その部分のみを見たい人は下記の目次から該当部分にジャンプしてほしい。


文学フリマ広島7準備~執筆から入稿まで~

筆が進まない日々と初めの一歩

私は小説を書くのが好きなのだが、どうも筆が乗らない日々が続いていた。

頭の中になんとなく書きたいことは浮かんでくるが、具体的には文字には起こせない。だが、私は楽観的だった。いつか、脳内に漂っているアイディアがそのうち出力できるだろうと高をくくっていた。だが、その「いつか」はいつまでたっても来なかった。

私はこの脳内にたまったアイディアを使い、公募に応募しようとしていた。だがそれはアイディアが形になればの話である。

だが、先述のようにその「いつか」はいつまでたっても来なかった。脳内でアイディアをただ転がしているうちに、月日は流れ気づけば2024年になっていた。その小説を書こうとプロットを書き始めたのが2021年。いつか書こうと思っていたら三年の月日が経ち、三年も公募のチャンスを逃していた。その間、私の生活も変わり、住む場所すら大きく変わってしまった。

私は仕事の都合で私にとってなじみのない土地に引っ越すことになった。当然知り合いは誰もいない。私が引っ越した土地は田舎なので孤独を紛らわすために遊びに出たりなどもできない。私にとって孤独な土地であった。

かといって、その土地から抜け出すために転職をしようと言っても、私にはスキルがない。仕事は全然できない方で、情熱も持ち合わせていない。

2024年、二十代も後半に差し掛かるこの年、私の心にうっすらと恐怖の感情が芽生え始めた。このままこの孤独な地で今までと変わらぬ暮らしを積み重ねていては、何一つ得ることも達成することもできず、塵芥の如く人生を終えてしまうのではないか、と。その暗い予感は職場とアパートを行き来する日々を繰り返せば繰り返すほど、明確になっていった。

誰にも顧みられぬまま、塵芥の如く終わっていく人生。私はそんなのはごめんだった。

だから、新しいことをやらねばと思った。そうしないと、今の日々に風穴を開けることはできぬ。では、一体何を始めればいいのか。何をしたいのか。その答えは私の心の中にすでにあった。

小説を書くのだ。

私の脳内にはアイディアがふわふわと行き場もなく漂っている。そのアイディアを形にして小説を世に送り出す。

浮足立った話であるが、実際私が何かを始めるにはそれしかないと思っていた。私の年齢はもう二十代半ば。仕事に生かせるスキルは何もないし、大学で特に工業や経済などを学んでいるわけではない。だから転職もできなさそう。転職したとしてもまた今の私のような閉塞感に襲われてしまうのだろうと考えられる。

私が輝く方法は文章を書く事以外にないのではないかと私は考えたのだ。これなら仕事をやしながらでも続けられるし、ワンチャンも狙える。自分に自信が持てる。

だが、小説を書くことを今後の生きる喜びないしは生活の基盤ししていくにあたって、一つ無視できぬ大きな疑問が私の中に横たわっていた

それは「私のアイディアは果たしてほかの人から見ても面白いのか?」ということである。

 そんな不安を抱えながらも、2024年の秋に公募用の小説を書き上げた。この直後に、私は文学フリマ広島7にて発売した『マジカル・パワー・プリンセス・セイコ』を書き始めた。

元々、マジカル・パワー・プリンセス・セイコは自費出版するつもりはなかった。Twitter及びnoteで連載しようと思っていたからだ。実際に初めはそのつもりで小説を執筆していた。それでしばらくした後、あることに気付いた。

原稿が進まないのである。

そう、アイディアはたくさんあるのに手が止まってしまうのだ。一か月で完成させようとしていた話が二か月に延びた。このままではマジカル・パワー・プリンセス・セイコは世に出せなくなってしまうと私は思った。

このいつまでも完成予定が伸びていく感覚は身に覚えがあった。そう、それに襲われたのは、公募用の小説を書いている時だ。2024年に完成させた公募用の小説も元々は半年で完成させるつもりだったのに、完成予定がどんどん伸びてしまっていた。このままではマジカル・パワー・プリンセス・セイコも同じ道をたどると私は思った。

そこで、今度は逃げられない締め切りを用意することにした。その締め切りが文学フリマ広島7と言うわけである。

文学フリマ広島7に応募しようとしたときは迷った。締め切りを設けてちゃんと作品を完成させることは重要。だが、イベントに間に合わない可能性もある。文学フリマ広島7に応募しようと思い立った日は文学フリマ広島7の応募締め切り約一週間前であり、文学フリマ広島7の開催まで約2か月のタイミングであった。マジカル・パワー・プリンセス・セイコの進捗は芳しくなく、この時点で出品できそうな物など何一つなかった。

だが、それでも私は出店することにした。そうしないと前に進めないと思ったからだ。

書けなかった原因を探れ

ここで、今回文学フリマ広島7に出品した作品の紹介を少しだけさせていただきたい。

マジカル・パワー・プリンセス・セイコ

主人公セイコが悪い魔人達をやっつける短編集だ。

アウェイキング・ザ・ファイティングパワー、
ザ・スリーシスターズ・イン・マーダーホテル、
アイ・ウォントゥ―・ビー・ユアフレンド、
ミーンワイル・ザ・クイーン、
ランナウェイ・フロム・デスパレード
の5話を時系列バラバラで収録している。詳しいストーリーの説明は下の記事で読むことが出来る。

さて、実はマジカル・パワー・プリンセス・セイコは元々アウェイキング・ザ・ファイティング・パワーとランナウェイ・フロム・デスパレードの二話を収録し、出品する予定だった。

だが、それではなんだかしまりが悪く、物足りない感じになってしまうと私は思った。それで、急遽五話掲載することにした。

書くペースが遅く、それを解消するために文学フリマに申し込んだのに、和数を増やしたのだ。だが、自分はそれでもできるだろうと考えていた。

自分ならできると考えた原因は以下の四点が原因である。

  1. 締め切りがあればやる気パワーでなんかいつもより筆が進むと思ったから

  2. そもそも公募用小説の長編を書き上げた後だったので、なんだかんだで自分は成長したと思い込んだから

  3. マジカル・パワー・プリンセス・セイコは話の攻勢がシンプルな短編集だから

  4. 文学フリマ広島7に応募したタイミングで一話だけは完成していたから


 これらの四点により、一話二週間ちょっとで書き上げられるだろうと私は高をくくっていた。しかし、実際のところ私は公募用の小説を三年かかって書く遅筆。それが、いきなり変わることなどありえない。

年末年始の休みが終わるころには五話分全部完成しているだろうというのが当初の予定であった。だが、年末年始が終わってみても完成したストーリーは、いまだ二話のみという状況であった。

二話目に書いたランナウェイ・フロム・デスパレードが想像以上に長く、ハードな話になってしまったためだ。

したがって、私は残りの三話を三週間で完成させる必要が出てきた。一月中に原稿を完成させないと、印刷が間に合わず文学フリマ広島当日に間に合わないのだ。

執筆が大きく遅れたのは確かだが、プラスの一面もあった。執筆が大幅に遅れる原因の一つがぼんやりとわかったからである。私は良くない書き方をしていたのだ。

私は、テーマも決めず、プロットも作らずに小説を書いていた。散歩や仕事中に思いついたビビッと来たシーンをかき集めてそれを小説にするというのが今までの流れだった。これが良くなかった。

確かに、刺激的なシーンでは筆が進む。だが、刺激的なシーンにたどり着くまでは全く筆が進まない。
今までの私の書き方で小説を書いた場合、刺激的なシーンと刺激的なシーンの境目を書くのは非常に骨が折れる作業だ。
まったく合わないパズルのピースをどうにか無理やりつなげ合わせるような作業が求められる。しかも、キャラクターの性格、そのシーンの状況、舞台設定、話の盛り上がりなどを崩さずパズルとパズルの組み立て作業を行わなければならない。
その上、話のテーマだとかの方向性が決まっていないため、作業の進め方の作戦を立てることもできない。暗中模索、五里霧中で文章を書く必要が出てくるのだ。小説を書いている時と言うのは、書いている最中に何かしらアイディアが思いつくものであるが、無理難題が重なった前では面白い文章を書くというのはなかなか難しい。 

だから、私は小説をなかなか書けないでいた。

その反省を生かし、私は小説を書く際に、まずプロットとテーマを決めて書いてみることにした。

そうして生まれたのが、
ザ・スリーシスターズ・イン・マーダーホテルと
アイ・ウォントゥ―・ビー・ユアフレンドだ。

ザ・スリーシスターズ・イン・マーダーホテルはカスな敵のドタバタ劇というテーマ。
ザ・スリーシスターズ・イン・マーダーホテルはカスのシンデレラ。

二つのそれぞれのテーマをもとに、プロットを書き、そのプロットに従って小説を書いた。おかげで小説を書いている際に、次の流れがわかりやすく、物語の山も以前よりわかって書きやすかった。小説はプロットを作ったおかげもあり、それぞれ約一週間という時間で書くことが出来た。

突発的に思いついた面白そうな場面を並べて作ったランナウェイ・フロム・デスパレードの製作時間の十分の一ほどでそれらの小説は出来上がった。

その後、サクッとミーンワイル・ザ・クイーンを書き、推敲をした。この時点で印刷会社の締め切りは残り一日となっていた。一日で表紙等を完成させないといけない。だが、私には表紙の作り方がわからなかった。

右も左もわからない表紙づくりと入稿

 私は悪戦苦闘しながらイラストアプリをあれこれ触ってみた。うめき声を上げながらレイヤーやら、フォントやらの操作をした。

時間がなかったのに、イラストアプリの使い方がわからない。

文章を縦書きにする方法や、ページの余白設定、書式設定やページ数の入れ方がわからない。

ワードをPDF化するときに、なぜかアドビの有料会員に催促される。なぜかアドビのアプリは英語で表示される。

かっこいいフォントの使い方がわからない。

ほかの人にとっては今私が羅列したトラブルの数々はたわいもないちょっとしたトラブルだったかもしれない。だが、私にとってはここで体験したことのほとんどは私が初体験のトラブルであり、その解決方法がさっぱりわからず、表紙の完成は夢のまた夢のように感じてしまった。

だが、表紙を完成させなければ文学フリマ広島7で売る小説は完成せぬ。半分発狂しながら寝ずに作業した。あれは苦しい時間だった。

問題は入れ子構造のように発生した。それ等一つ一つをインターネットで調べながら解決していった。

ここで、マイクロソフトのAI、Copilotが結構活躍してくれた。正直グーグル検索で問題の解決方法を調べるより、こちらの方が優秀であった。おかげで、何とか表紙は完成し、入稿もなんとか完了した。入稿できたのは締め切りの二分前だった。(誇張なしでマジです)

この、苦労の副産物として、イラストアプリの使い方も、ワードの文章を縦読みにしたり、空白部分のサイズを決めたりする方法も、かっこいいフォントのダウンロードの仕方もわかった。

この経験のおかげで、私はもう小説の表紙の作り方で発狂したりしないだろう。私の中でできることが一つ増えたのだ。できることが増えたということは未知の問題を一つ減らすことに成功したということだ。

私は見たことのない問題や解決法がわからない問題、いわゆる未知の問題を目の前にすると、そこから目をそらして逃げてしまうという癖がある。今回の表紙づくりでは、その見たことのない問題や解決方法がわからない問題が大量に目の前に転がっていた。

だが、今回はそれを解決できた。これで未知の問題から逃げてしまうという悪癖が治ったとは考えられない。だが、今回の小説作成で未知の問題を解決したという実績が生まれた。

今後、仕事でも趣味でもなんでもいいのだが、足がすくむような問題に出会ってしまったら、今回のことを思い出してみようと思う。そうすれば少しだけ目の前に立ちふさがる問題がましになるかもしれない。

文学フリマ広島7準備~入稿後、アイテムの準備と宣伝~

あとは文学フリマ広島7開催を待つだけなのだが、ここで不安がよぎった。一冊も売れないのではないか、と言う不安だ。文学フリマでググってみるとサジェストに売れないという文字。私は文学フリマに出るのは初。そして、周囲に友人もいないため、購入してくれる宛はない。このままいってしまった場合一冊も小説が売れないのではないかと私は不安になった。そこで、ツイッターで小説の宣伝を行った。出店ブースの場所を画像で示したり、小説のあらすじを乗せたりした。ハッシュタグを使ったり、一度ではなく時間を変えて何度も宣伝ツイートをツイートしてみたりした。小説の概要を記したnote記事もアップした。その上、ポスターやチラシを急遽用意した。そのほかに、文学フリマであったら良さそうなものを調べ、購入した。実際に購入してよかったもののアマゾンURLを貼っていく。

初めて文学フリマに出店するにあたって買ってよかったもの

卓上ポスター建 ポスターに小説の値段やコンセプト等を書いておくことで集客が見込める。

テーブルに敷く布。サイズも丁度いい感じ。裁断後の処理はなされていないため、端がビロビロしているが問題はない。

本立て 販売する本のサイズと本立てのサイズが合うかチェックしておくと良い。

小銭入れ。とてもたくさん入る。小さいやつがダイソーに売っているのでそっちの方がいいかも。

おつりを渡すやつ。なんかお店っぽい雰囲気が出る。私は使わなかった。

そのほか、メモ用の付箋、紙などを張り付けるマスキングテープ、ホワイトボード、本立てをダイソーで購入した。ダイソーで購入したものはどれも役に立ってくれた。

宣伝やブースの事前準備をするうちに、自分の作品が面白いのか不安になってきた。それで何度か宣伝の手を止めた。面白くない話を宣伝したところで、それは売上に反映されない。なぜなら、宣伝によって面白くないことが多くの人に知れ渡ってしまうからである。そして、私の中にまたもや懸念が生まれるのである。

売れなかったらどうしよう、と。

こうして、寒波と共に文学フリマ広島7の開催日が近づいていった。

文学フリマ当日

ブース設営ボランティア

文学フリマの一般入場時間は11時~16時。出展者は10時からブースの準備のために入場することが出来る。会場設営のボランティアに参加する場合は8時50分からの入場になる。

私は8時50分に入場した。ボランティアをしようと思ったのだ。

このボランティアの参加は九割下心からであった。

ほかのボランティアの人たちと一緒に作業を行うことで、うまい具合に出展者と知り合いになれるのではないかと期待したのだ。そうすれば創作活動の友人ができるかもしれないし、なんかうまいこと行けば小説の宣伝もできるかもしれない。

しかし、ボランティアの皆さんは会場準備を真面目に黙々と行った。実際私も真面目に仕事を行った。会社の仕事よりこの時はやる気に満ちていて、めんどくさそうな仕事も自ら進んで行うことが出来た。なんか、ここで自分もやればできるのだなと感じた。

ボランティアの写真はこんな感じ

これが
こう!椅子はそのブースの出店者が下ろす

尚、作業中、ほかのボランティアに話しかけることは出来ず友人を作ることはできなかった。そう、交流を得るならだれかに話しかけに行かなくてはならないのだ。

ついに文学フリマ広島7開幕

ボランティアが終わり、設営の時間。ここで、隣のブースの人がやってきたので挨拶をする。それから布を広げ、ポスタースタンドを立てたりして準備を行った。準備ができた後の写真はこんな感じ。

どれだけ売れるかドキドキである

準備が完成し、出品小説見本コーナーにマジカル・パワー・プリンセス・セイコの設置も完了した。そこでちょっくら周りの偵察に出てみる。

知り合いと談笑しているブースがあった。彼らのブースはまるで歴戦のサークルと言った趣で、ブースの見せ方がなんかきれいな感じだった。

大きなポスターや大弾幕を張っていたブースもあれば、自作の本棚のようなものに出版物を並べているブースもあった。それらに比べるとなんだか私の展示は地味なように思えた。小説の表紙も地味な感じに見える。やはり、不安が募る。

そうしているうちに、主催者の掛け声とともに、文学フリマ広島7が開幕した。


紙の広告を配り、それを見てもらうことで興味を引くというのが私の作戦であった。

事前のリサーチで、文学フリマに来る人は広告やフリーペーパーを受け取ってもらえる人が多いという個人ブログの記事を見た。また、そのブログでは配布物の有無で売り上げの量に差が出ると書かれていた。売上が多い方は配布物を配っている間である。私は広告を100部用意した。

その上、私が配る広告にはある仕掛けが施されている。QRコードが乗っているのだ。そのQRコードを使えば私の小説、マジカル・パワー・プリンセス・セイコの詳しい紹介文や冒頭を読むことが出来る。広告を受け取ってもらえさえすれば、QRコードでより詳しく小説の内容が知れて、私の小説に興味を持ってもらえる人が増えるのではないかと言う作戦だ。

私は、この作戦を元に、私の前に来る人に声をかけ広告を渡すこととした。

私が広告を渡している間、隣のブースは何冊か小説が売れているようであった。

足を止めてみてくれる人も隣のブースの方が多い。

一方の私の方は広告を受け取ってくれる人はいるものの、足を止めてもらえる人がいないという状況。隣のブースの人は広告を刷っていないのにこの差はなにか? と私は考えた。

隣のブースの人は惹きつけられるキャッチコピーを考えてきていた。そのキャッチコピーをブースの前に立ち寄る人に声をかけ、人々の興味を引いていた。

一方の自分は広告だけでもどうですか、と言いながら広告を配るだけ。広告だけで言いわけない。買って読んでもらわないといけないのに。だが、私はこの時広告を配ることを目的としてしまっていた。

それで、アプローチを変えた。自分も広告を配るだけではなく、惹きつけられるようなコンセプトで声を掛けてみることにした。私が販売する小説、マジカル・パワー・プリンセス・セイコを知ってもらうために文学フリマ広島7の間に考えたコンセプトは以下のとおりである。

「悪いやつをぶっ飛ばす、アクション小説」

時間帯によって多少変えたが、これをベースに人々に話しかけていくことにした。すると、いくらかの来場者たちは興味を持ってくれるようになった。どれ、アクション小説か、と言う感じで。

そして、興味を持ってくれた男性がマジカル・パワー・プリンセス・セイコを手に取ってくれた。その男性は私の小説を買ってくれたのだ。

 かくして私が書いた小説は初めて売れた。


ここで、効果売上に効果があったこと、効果があるように感じることと、効果がなかったことを記す。

売上効果があったもの、効果があるように感じること

  • 目を引くポスター

ポスターにコンセプトや興味がそそられるようなセリフ、設定などが書かれていると手に取られやすいように感じる。表紙イラストや値段だけのポスターは微妙かも

  • かっこいい表紙

 表紙がかっこよければ、手に取ってもらえる可能性は増えると思う。私が今回の文学フリマで買った小説の内一つは表紙買いであった

  • ボリュームの少ない作品

 200ページや300ページ以上ある作品より、ページ数二桁くらいの作品の方が売れている感じがあった。アマチュアの作品であり、質が保証されているわけではないことから、時間を取られる長編の小説より短編の作品の方が良いという心理が働いていると思われる。ちなみに、私が書いた作品であるマジカル・パワー・プリンセス・セイコは大体300ページ。かなり分厚くて不利である。

  • 来場者のニーズに合った作品

当たり前である。ちなみに文学フリマ広島7の来場者は女性がかなり多いように感じられた。続いて多いのは年配の方。若い男性はそんなに多くなかった。ちなみに私が書いた作品であるマジカル・パワー・プリンセス。セイコはコンセプトからもわかる通り男性向けである。やはり不利である。

  • 友人や知り合い

足を運んでくれる友人や知り合いは自作の小説を買ってくれるものである。私にはいなかった。やはり不利である。

  • わかりやすいコンセプトや目を引く設定

コンセプトや設定が開示されていることで自分と合う作品なのか一目両然となる。それから派手でわかりやすい物は興味が出やすい。

  • 適切な声かけ

買ってくれなさそうな人に声かけをしたり広告を配るのは意味がない。自分の作品に興味を持ってもらえそうな人に伝わるように声かけをすると効果的に思われる。そもそもブースで座って自分の作品を手に取る人を待っているだけでは厳しい世界ではあった。

効果がなかったもの

  • ツイッターの宣伝

 私が初めて文学フリマに出るからというのもあるだろうが、ツイッターで見ましたと言ってくれる人は一人もいなかった。そもそもどのツイートも文学フリマ開始時点でインプレッションが200いかないくらい。インプレッション200など、宣伝にもなりやしない。インプレッションを稼ぎやすいフォロワー1000人越えの大手であれば効果は出るか。また、ツイッターユーザーが多い東京開催では効果がある可能性もあるかもしれない。

  • note記事

 ツイッターですらインプレッションが稼げないのだからnoteではさらにインプレッションが落ちるので当然である。だが、こちらもツイッター同じく大手であれば宣伝となりうるかもしれない。ただし、いいねはいっぱい来る。記事を読んでいなくても来る。

  • 広告につけたQRコード

 よくよく考えたらわかることである。私は広告に乗ったQRコードを読み取ったことなど一度もない。実際、note記事に誘導するQRコード付きの広告を100枚配ったが、それにより私のnote記事のインプレッション数の伸びは0であった。誰も広告を見なかったのだ。

  • 広告

そもそも広告がいらないまである。広告をもらってもその場で読む人はぼぼいないからだ。逆に、広告を受け取った際じっくり読んでくれる人には広告など読ませずに、実際に本を手に取ってもらった方が良い。それに、家に帰ってじっくり見るという人もいないだろう。そもそも、家に帰った時点でもう広告の意味はなされていないのだから。

うれしかった瞬間

そんなこんなで私がブースで呼びかけをしていると、一人の男性が私のブースに来てくれた。その男性は私のブースに着いた瞬間マジカル・パワー・プリンセス・セイコを手に取ってくれた。その男性は私にこう言ってくれたのだ。


「見本コーナーでこの本読みました。面白かったので買います」


そう、面白かったと言ってくれたのだ。そして、小説の分厚さなども気にせず、その男性はマジカル・パワー・プリンセス・セイコを買ってくれた。自分の書いた小説は微妙だったんじゃないかと思ったし、自分の文章力では自分が書きたいと思ったことを伝えられていなんじゃないかと私は不安に思っていた。だが、一人の読者が確かに面白いと言ってくれたのだ。それがうれしかった。

 それから少年が興味を持ってくれたのはうれしかった。少年は私のブースの前に三回ほど来てくれた。彼は結局私の本は買わなかったが、自分の書いた本が子供に興味を持ってもらえるというのはとてもうれしいことである。

私はこの二点でとてもうれしい気持になり、自分の小説に少しながら自信を持つことが出来た。

かくして私が初めて書いた小説マジカル・パワー・プリンセス・セイコは文学フリマ広島7にて9冊売れた。初めてのイベントでボウズにならなくて済んだのだ。

まとめ


このままではいけないという焦りから申し込んだ文学フリマ広島7。準備は大変だったが、大変だったからこそ、力が付いたし、自信もついた。そして、当日、自分の小説を面白いと思ってくれる人がいると分かった。

 だからこそ、この準備期間で学んだことを活かし、より面白い小説に書きたいと思った。

 故に私は今回の参加で終わらない。今年の文学フリマ香川と文学フリマ九州も参加する。私はそこで、また、イベントの熱気や参加者の「面白い」と言う言葉を聞きたいのだ。

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