FC町田ゼルビアについて
昨シーズンまで、J2に在籍していた「FC町田ゼルビア」が、J1で大活躍している。本日現在で、1位をキープしている。開幕当初、ここまで頑張るとは、おそらく誰も予想していなかったに違いない。
スタイルはシンプルであり迷いがない。典型的な堅守速攻スタイルである。しぶとく守って、数少ないチャンスに素早く攻める。パスを細かくつなぐようなプレーはしない。逆にクロスは多い。ボールを保持せず、激しいボディコンタクトでボールを奪いに行く。
従来、「巧い」と言われるチームは、パスをつなぎ、格好良いサッカーをやろうとする。ボールを保持して、相手から離れてプレーをしたがるから、ボディコンタクトは嫌う。
真逆である。だが、愚直であり、迷いがない。J1では新参者であり、個々人の技術や、チーム戦術の成熟度では、ビッグクラブには勝てないと割り切っている。自分たちの立ち位置をよくわかったいると言える。
こういうスタイルを、「弱者のサッカー」と呼ぶと、軽く見ているように聞こえるが、これはこれで正しい。
W杯に出場した際の、日本代表チームがうまく機能している時の戦い方に似ている。前回W杯でのドイツ、スペイン相手に金星を挙げた時の試合を思い起こせば良い。逆に中途半端な戦い方をした結果、苦杯をなめたコスタリカ戦も思い出した方が良い。サッカーというスポーツは、戦術に迷いがあると勝てなくなるのだ。
町田の戦い方を非難する声が少なくないという。「アンチフットボールだ」とさえ言われているが、ホントに強いのであれば、この前までJ2だったチームの守備くらい、こじ開けるべきなのだ。それをできずに、いくら文句を言ったところで虚しいだけである。
もちろん、このままの勢いで、町田が今シーズンを首位キープできるほど、甘くはないし、もしそんなことになったら、他の歴史も予算もあるクラブチームは一体何をやっているんだという話になるだろう。
僕は、前から何度も記事を書いているように、浦和レッズのサポであるが、近年の何をやりたいのかよくわからない浦和の戦術にはあまり感心しない。監督がコロコロと代わり、チームとして何をめざしているのか、ハッキリとしていないように思われるのだ。
泥臭く守る覚悟があるのか、格好よく攻めたいのか、今のままでは、どちらも中途半端である。
リーグ屈指の予算規模と観客動員力を誇るビッグクラブであるだけに、もっと奮起してもらいたいのだ。これは、たぶん現場の監督・コーチや選手だけの問題ではない。むしろ、クラブ全体の問題、経営陣の覚悟、企業としての経営戦略の問題ではないかと思う。
親会社の天下り社長の下で、現状のポジションに満足してしまって、現場のことは、監督以下に丸投げというのでは、何も変わらないだろう。
ジャンルは異なるが、今の浦和レッズを見ていると、ダメな頃の、阪神タイガースを思い出してしまうのだ。