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老朽化マンションについて

前にも書いたが、少子高齢化を迎えて、空き家であったり、所有者不明の土地がじわじわと確実に増加しつつある。高度成長期に建築したマンションの老朽化も同様に無視できない。

日経の記事によれば、「国土交通省の推計によると21年末のマンション686万戸のうち築40年以上は116万戸。41年に425万戸になる見込みだ。1970年代の高度成長期に多く建設され、古い耐震基準のものもある。倒壊の危険性があり売却も難しくなるため対策が急務になる。」という。

一軒家と比べても権利関係の複雑な区分所有建物、分譲マンションの方が厄介である。

古い分譲マンションというものは、転売によるオーナーの入れ替わりはあるものの、基本的には住人も権利者も高齢化している。相続が発生すると権利関係はよりややこしくなる。

ただでさえ、大規模な改修や建て替えのための区分所有者の合意形成には時間や手間がかかる。政府案にあるように、リノベや建て替えの条件を緩和するのは当然であるし、場合によってはさらに緩和することも検討すべきであろう。

リノベにせよ建て替えにせよ、先立つものは資金である。住人が高齢化すると、懐具合が乏しい区分所有者は資金負担が難しい。それどころか、「国交省によると共用部分のための修繕積立金ですら、計画通りに積み立てないマンションが全体の35%に上る。」とある。

大規模なマンションだと区分所有者の人数も多い。相続が発生していると、相続人を調査するのにも手間がかかる。意見調整を図った上で、どのように対処するか、具体的には、「①建物を解体して新しく建て直す「建て替え」②骨格を変えず内外装や設備、間取りなどを変える大規模改修③敷地を含めて売却し所有者に資金を分配して再生」のいずれを選択するか、意思決定を行ない、実際にプロジェクトを遂行するというのは、高度なノウハウが必要な領域であろう。

でも、こういうことに取り組んでいかないことには、あと20年か30年経ったら、倒壊しそうな老朽化マンションというか、リアル「ホーンテッド・マンション」が日本国中のあちこちを覆いつくすことになる。

これは私案であるが、これからは、「ホワイトな地上げ屋」が活躍することが期待されるのではないだろうか。

「地上げ屋」というと聞こえが悪いが、老朽化した、あるいは所有者も定かではないマンションや空き家に改めて付加価値を与えるミッションを負う、いわば正義の味方の地上げ屋である。仕事のネタはこれからいくらでもあるはずである。

権利関係を整理したり、売却を希望する権利者から区分所有権を買い取ったりするには資金が必要になる。政府系の金融機関でも使って「地上げ用」の制度融資枠でも設ければよい。

高速道路やトンネルや原子力発電所と同様に、マンションもかつての景気の良い時代に次々に作った社会インフラの1つだと思えば、このまま朽ち果てるままに放置するのではなく、新たな生命を吹き込むビジネスは社会的にも意義があるし、たぶんビジネスとしても旨味はあると思うのがいかがであろうか。


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