2022年W杯について⑩
フランス - アルゼンチンの決勝戦は、予想を覆して、アルゼンチンが勝って、36年ぶりの優勝という結果であった。
正直なところ、前半戦が終わった時点では、後半以降の展開はまるで予想できず、このままあっさりとアルゼンチンが試合を終わらせるものだと思っていた。それくらいに前半のフランスは精彩を欠いていた。モロッコ戦から中3日の影響なのか、カラダが重たそうだし、ミスも多かった。
一方のアルゼンチンは、何かしでかしそうな雰囲気満々で、試合の主導権を取り続けていた。グリーズマン、エムバペに執拗なマークを張りつかせていたのも、フランスの得意な展開を封じるという狙いがうまくハマっていた。
1点目のディ・マリアがPKをもらったシーンも南米のチームという感じである。あれはPKではないと思うが、ディ・マリアが上手に「もらいにいった」技術が審判を上回ったということであろう。「マリーシア」という言葉がぴったり当てはまる。南米の選手は、ペナルティーエリア内であれば、指1本でも倒れるんだろうな。そう言えば、前回大会では、「劇団ネイマール」なんて言葉がバズッていたな。
2点目のゴールが決まったところで、もう勝負ありかなと思ったのであるが、そこから後半以降のフランスは、まさに「エムバペ劇場」であった。個人技で試合展開を変えてしまう辺り、まさに怪物であるし、まだ23歳という年齢を考えると末恐ろしい。怪我さえなければ、次も、その次も、そのまた次の大会も活躍しそうな気がする。
終わってみれば、メッシに念願のW杯優勝をもたらした大会ということで総括されそうであるが、決勝トーナメント以降の試合はどれも見どころがあって、なかなか楽しめた。もちろん、グループリーグも日本の予想外の善戦もあったし、逆にドイツ、ウルグアイ、ベルギーといった強豪国の敗退もありで、サッカーはやはり偶然性に多分に左右さゲームなのだと改めて認識させられた。まあ、そういうところがあるから賭博の対象になるのであろう。
日本代表の監督は、森保監督が続行しそうな感じであるが、僕はそういうのはあまり良くないと思っている。いかにも「結果オーライ」というか、反省も検証もない。
ドイツ戦、スペイン戦だって、勝ったから良かったねというのではなくて、うまくいったところ、いかなかったところの分析をするべきだし、今のままだと10回やって5回勝てる相手だとは思わない。コスタリカ戦については、引いて守られて、ボールを持たされたら、実は日本代表の戦術のオプションがショボいということが露呈した試合であり、こういう戦術の「引き出し」の乏しさが解消されない限り、次のステージに進むことは難しいだろう。
そういう意味で、もっと上をめざせる監督を招聘するべきだと思うのだが、いかがなものか。