「男系男子」について
前に、英国の王位継承順位のことを書いているうちに脱線して、日本の皇室の皇位継承の話について触れることとなった。
その際に、とことん男系男子にこだわるということであれば、皇籍離脱した旧宮家も含めて男系男子としての皇位継承資格を有する人たちにも対象を広げる、具体的には、①戦後、臣籍降下した旧伏見宮系他の11宮家、②明治時代以降に宮家を創立せずに爵位を受けて臣籍降下した旧華族家、③場合によっては記録が信頼できそうな江戸時代以降くらいの臣籍降下まで範囲を広げて、現皇室との血縁の濃淡は別にして、皇統に属するかどうかだけで皇位継承資格者リストを調べ上げれば、今のように皇位継承者が実質2人などというお寒い状況からは脱却できるだろうという意味のことを書いた。
同じようなことを既にちゃんと書いておられる記事を見つけたので、改めてこの件について考察したい。
宇山 卓栄さんによれば、フランス王家は男系男子による王位継承で1,000年以上も「血の継承」が続いているという。
やり方としては、直系子孫にこだわらず、遠縁の男系子孫にも王位継承権を広げたこと、嫡出の男子が途絶えると、代をさかのぼって王家の血を引く遠縁の男系子孫を連れて来たとある。日本の皇室で、第25代武烈天皇が後嗣を残さずして崩御した後、先帝から4親等以上離れて傍系の継体天皇が即位した際と同じパターンである。
カトリックであるフランス王家の場合、王位継承資格者は嫡出子(正妻が生んだ子)に限定されるので、日本よりも厳格である。それでも、上記のようなスキームであれば十分に実用に耐えらえるというのは、ある意味、たいへん心強い。
もちろん、皇統に連なる血統であることは間違いないものの、今まで庶民として生きていた人を皇位に就けることと、女系天皇を容認することと、どちらが国民感情的に多くの賛同を得るのかについては、よくよく議論を尽くすべきである。
どちらの選択肢も、百点満点ではないかもしれない。しかしながら、皇位継承者が実質2人しかいない状況になった以上、あまり贅沢ばかり言っていられない。また、悠仁親王が、将来、「7男2女11人の大家族石田さんチ!」みたいに子だくさんになることを、今から期待して何もしないのはもっと無責任であろう。
男系か女系のどちらかを選択するかという議論は、天皇制を維持することが前提となっているが、そもそも天皇制を将来も維持するべきか否かという議論もあって然るべきである。つまり共和制への移行である。
先日、英国のエリザベス女王が崩御して、チャールズ国王に代替わりしたが、かの国もいつまで立憲君主制を維持できるのか保証の限りではない。
国民の大半が、「もう、いらないじゃない?」と思うようになれば、いつまで現行の体制を維持できるかどうかである。
日本に関しては、僕の見立てでは、今上天皇の代はともかくとして、その次の秋篠宮に代替わりする時が、ひとつの見きわめのポイントではないかと思っている。
理由は、あまり詳しく語る必要はなかろう。
いずれにせよ、あまり現段階で国民の選択肢を狭めすぎることなく、幅広い議論をしておいた方が良いと思う。