オーイワトモコ

元ヴィレッジヴァンガード店長/VVMagazineにて3年間百合コラム連載/玄光社「百合の世界入門」寄稿/コミック百合姫2018年12月号、2020年3月号、2021年8月、12月号コラム寄稿/トークイベント出演/依頼はjolynestonefree677@gmail.comまで

オーイワトモコ

元ヴィレッジヴァンガード店長/VVMagazineにて3年間百合コラム連載/玄光社「百合の世界入門」寄稿/コミック百合姫2018年12月号、2020年3月号、2021年8月、12月号コラム寄稿/トークイベント出演/依頼はjolynestonefree677@gmail.comまで

最近の記事

刈り上げた髪を見せに君の家に行くよ。

また今日も朝まで飲んでしまった。 なんの爽やかさもない真っ白い朝日にジリジリと照らされながら、ダルい身体を階段の上まで持ち上げて、眩しい青空を睨みながら新宿駅の改札を通過した。 6時台のガラガラの電車の座席に腰掛け、まだ酔いが抜けないままふわふわして、なんとなく大学の時や高校生の時に聴いていた懐かしい曲を再生して最寄り駅まで向かいながら私は、早く帰って寝なくてはなどと思った。 今日は高校の時からの友人が住んでいる家に行き、集まる日である。 ぐずぐずと身支度をして、普段

    • 私のほしいもの

      本当は去年にプレイしたゲームでこれが面白かったという記事を書きたかったが、年明けからかなり仕事が忙しく、最近では平日は帰って寝るだけで、休みの日に少し出勤することもあり、夜は自分が働いている夢を見るほどだ。 本を読む脳内のリソースもなく、モニタに映る文字をただ目で追う日々である。 人とも全然会えておらず、正直言って何かを楽しむ精神においては全く死んでおり、もはやそれは生きていると胸を張って言えるのか怪しいとすら思っている。 ただひたすら、暴れ出しそうになるのを我慢し額には

      • 2023年読んだ漫画と本と、ゲームの話。【漫画編】

        昨年末までに終わらせる予定だったが、すっかりサボってしまったため年を越してしまったが備忘録として残していく。 これは昨年読んだりプレイした【書籍・漫画・ゲーム】で印象的だった作品を挙げていこうという私が勝手に始めたシリーズであり、先日はこちらを公開した。 今回はその続きの【漫画編】である。紹介するにあたり一応、以下のようなルールを設けてある。 ・漫画は5巻以内のものに限る。 ※好きな作品が多すぎるため、2022年以前に紹介していない作品から選出。 前回同様、記事が長くなり

        • 今年読んだ漫画と本と、ゲームの話。【書籍編】

          早いものでもう2023年が終わろうとしている。 今年は漫画や本、ゲームに昨年以上に触れた一年であったため、良かった作品や伝えたい作品を備忘録として残したいなと思い、ここにその一部を載せていくこととする。 載せるにあたり、ルールを設けた。 ・漫画は5巻以内のものに限る。 ・ゲームと本は今年発売でなくても良い。 一応、ざっくりそんな感じで進めていく。 まずは、本。 ほとんど女性同士の関係性を描いたものしか読んでいない。どうも自分は男女の恋愛の物語を読むのが苦手なようで、数冊読

          ラブレター:イツコアヤノにときめいて

          ド田舎に住んでいた。 家から見えるのはドでかい山々、家の裏にはカブトムシのいる林があり、空気がきれいで水が美味いところだったが、車がないと生活するのに不便な地域だった。 近所にはかろうじて本屋がひとつ。最寄りのコンビニは15分以上歩いた先で、そこにたどり着くまでには茶畑が広がった一帯を横切って進むような田舎だ。 そんな地元にも、車で30分ほど行ったところに路面店の雑貨屋があった。 車でしか行くことができないため、たまにしか連れて行ってもらえなかったが、当時の自分にとって

          ラブレター:イツコアヤノにときめいて

          薄くて半透明の膜をはるように

          一時期仕事が忙しすぎて本や漫画を買って読む余裕がなかった反動で、最近は休憩中にすら書店に漫画や小説を買いに行っては残りの時間で読み、数日後読み終わったらまた買いに行くような日々だ。 お昼どきの人がまばらなオフィス、毎日の通勤電車の中、どこかへ意識を飛ばしたい私はおもむろに本を手に取る。 電車の中やオフィスの休憩スペースで本を読むその時、私は人目も自分の置かれた環境も何もかもを忘れて物語に没頭することができる。 どこにいても好きな世界へ行けるというのは、とても自由なことだ。

          薄くて半透明の膜をはるように

          手をつないで

          玄関を出て、今日も当たり前のように手を繋ぐ。 私の右手は自然といつもの左手に収まり、どうでもいい話をしながらいつもの駅に向かう。 34歳と46歳になった私たちは、本日で結婚して10年目になった。 ずっと同じ人といるのは不思議な気分だ。 大学進学とともに一人暮らしを始め、大学を卒業してからも数年間、京都のヴィレヴァンで働きながら一人で暮らしをしていた頃に出会ったが、ふと気付いたら二人で住んでいる期間の方が長くなっていて驚いた。 ついつい“私なんか”と一緒にいてくれる人、と

          オーイワの2022ねん

          唐突に自分の2022年を振り返っていこう。 備忘録に近いけれど、とりあえずなにか記録を残したかった。 ・転職サイトに登録し転職活動をした。 正直新卒の時はろくに就活をしなかったため、初めてまともにマイナビとかindeedを使い「就職活動」をした。 個人的にはマイナビが使いやすくて良かったかな。 ・そして転職した。 なんの資格もない私が社会的に必要とされることなんてあるのか、と思っていたため面接まで行けるところが多かったのはかなり驚いた。 最終まで行ったのも何社かあったが、

          オーイワの2022ねん

          愛すべきジャンク品は誰かの

          「Fallout4」というゲームにハマった。 プレイする以前から存在は知っていて、前職でもよくグッズを仕入れては売っていた。 なんかかわいいし、しかもよく売れる。 Tシャツやらフィギュアやピンズやら見つけたらなんとなく仕入れて、気付いたら売れてなくなっている感じ。マスコットキャラがかわいくて人気のゲームなんだなと思っていた。 ある日PS4が我が家にやってきて、どのゲームを買おうかとなった時に真っ先に選んだのが「Fallout4」だった。 核戦争後の世界で、シェルターで冷凍

          愛すべきジャンク品は誰かの

          ここは「おまえのばしょ」だ。

          漫画が好きだ。ゲームが好きだ。ネオンサインが好きだ。 好きなものをぜんぶ綺麗に並べて、それらに囲まれたい。好きなものに包まれていたい。 そんな子供じみた大人の欲望を全て詰め込んで完成させたこの理想郷の玉座(座椅子のことである)に座り、サイコーにイカした五畳を端から端までうっとりしながら眺めるのが好きだ。 好きな音楽を流し、漫画を置き、雑貨たちを置き眺め、手元でLEDライトを好きな色に光らせ、玉座に座りしその時、私は我が国の王となる。 私には永らく「自分の部屋」というもの

          ここは「おまえのばしょ」だ。

          おやすみまたね。

          自宅が好きだ。 本棚からあふれて床から積み上げられた漫画がたくさんあり、ゲームがあり、ほどよく汚くて寝床があり、駅へのアクセスも良いからだ。 ちょうど5年同じ家に住んだが、本が増え物が増え、1LDKでは手狭だと感じることが多くなってきた。 極めつけはテレワークである。 さすがに同時刻にそれぞれオンライン会議などがあると、1部屋を区切って使ったとしても不便と言わざるを得なかった。 「引っ越そっか」 「そうだねえ」 ぽつぽつとそんな会話が頻繁に発生するようになり、私の転職の

          おやすみまたね。

          おんなのひとの身体と私

          先日、お友だちに誘われてバーレスクショーを見に行った。 お姉さんが音楽に乗って踊りながら服を一枚一枚脱いでいくというショーだ。 はらはらりと花弁のようにステージ上で1枚ずつ衣装が脱ぎ落とされ、ここぞという1枚の時には「フゥゥ〜!!」と歓声の上がるような、そんな明るい雰囲気の中行われるとてつもなく元気の出るショーだった。 女の人の身体はきれいだと思う。 裸体も美しいと思うけれど、縛られたりキラキラしたお衣装を身に付けている姿はまるで、彫刻や塑像のひとつの作品のようだ。 ミラー

          おんなのひとの身体と私

          福岡旅行日記〜メシも酒もうまい編~

          ただひたすら怖いと言っている前編からの続きで、今回は私がひたすら飲んで食った話です。 驚くことに、福岡空港と都心部はかなり近い。 ものの十分ちょっとで博多駅に着くのだ。東京では羽田まで出るのが少し面倒だと感じていたからこれはとても便利だ。すぐ飲み食いしに行けるじゃないか! そんなうきうきの私のもとへ、かつて博多に住んでいた同級生から連絡がきた。 ”博多駅横のマルイの地下に300歩横丁ってグルメ通りがあるよ” 連絡から間もなく300歩横丁を発見。隣接するマルイの地下も居酒

          福岡旅行日記〜メシも酒もうまい編~

          福岡旅行日記〜ひこうきこわい編〜

          飛行機に乗り福岡に行ってきた。 人生初の福岡であり、人生初の飛行機搭乗である。 乗ることが決まってから底知れない恐怖が私を支配しており、それは離陸時にピークを迎えた。 ああ私は無力だ。 無心で安全のしおりを熟読した。 …うわ怖ぇ。 読むことで逆に恐怖感が刺激された。 全ての想像しうる最悪がそこにあり、ビビりの人間には十分すぎる情報であったが、私は生き残りたいので歯を食いしばり読むことにした。 ガタガタと揺れる機体は高度を増していく。 地上がジオラマみたいに小さく見えて

          福岡旅行日記〜ひこうきこわい編〜

          近況報告

          前の会社をやめてぷらぷらしながら自分はこれから何がしたいんだろうかとずっと考えておりました。 頭の中でああでもないこうでもないとずっとこねこねし続けておりましたが、やはり会社員として働くのが自分には向いているなと思い転職活動を始め、転職先が決まりました。 詳しくは書きませんが、今までの実績が完全に活かせそうな業種にしました。前職でお世話になった方々とはまたお世話になるかもしれません。 これからもよろしくお願いします。 祝いの酒などお待ちしております。 めでたいぜ!!!

          ひとりでできるもん

          4月の最終週、我が家の1LDKにて5日間お留守番をした。 お留守番という言い方はやけに子供っぽいが、要は旦那が出張に行っている間一人で暇だったという話である。 何日も一人でいるのは結婚してからそうそうなく、とりあえずソファに腰掛けるとがらんとした部屋をぼーっと眺めた。ぽかんとして、口も開いていたと思う。 我が家はと言うと決して広くはなく、パソコンとゲームと収まりきらず本棚から溢れた大量の本とぬいぐるみのある部屋は、そこだけ見ると一人暮らしの頃の自分の部屋と似ていた。当時

          ひとりでできるもん