【読書感想文】恐い間取り3
事故物件といえば「事故物件住みます芸人の松原タニシさん」だ。
元々、事故物件公示サイト 大島てる のファンで大島てる氏が出演している「事故物件ラボ」から松原タニシさんを知った。
父が建築関係の仕事をしているため、事故物件という名称は知らなくても「あの○○マンションは飛び降りが多い」「○○山の麓の廃居は冬になるとホームレスの亡骸が見つかる」といった話が日常会話で出てくる家庭に育った。当時は、半分本当で半分盛った話だろうと思っていた。だが、不動産に人間が付くということは死はセットなんだろうと理解している。
さて、『恐い間取り3』はこれまでの2冊と異なり「人」にも強くスポットが向いた1冊だと感じた。全体を通して、なぜか同情してしまう話が多くて読み進めるのに苦労した。あまりに進まないので最終的にYouTubeで瞑想系の動画を流しながら読んだ。怖いとは思わなかった。むしろクスリとしてしまうエピソードが多かった。
「タマゴが先か、ニワトリが先か」
体験談を語る人々もとても面白い。私の中の関西がかなり異界スポットとなっている。もしかしたら、未だにそういった能力が必要な土地なのかもしれないな、と。私自身に霊感は無いのだけれど、母の実家が信心深いこともあり霊的な何かが「見える」ということは単純に「必要だから」だろうという適当な感じでとらえている。
必要ってなんだ。
私は見えてもせいぜいが白い靄や黒い影どまりだし、ちょっと物音が聞こえるくらいだ。そういったことを言うと、必ず父は「見えない物は見えないままの方がいい」と言う。
そういえば、高速道路で飛び出してきた白い靄にイラっとして無視して轢いた話をしたら、「お前、やるなぁ!」と褒められた。多分、父には何か見えているのだと思う。
「恐い間取り3」は不思議な体験をスナック感覚で呼び起こしてくれる。そんな1冊だ。誰にでも不思議な体験や話の一つや二つあるだろう。当時の恐怖を思い出に変えてくれる癒しの本でした。