見出し画像

夏の佳品、冷や汁研究~有賀薫のスープ旅・宮崎編

先日、大分・臼杵の記事をアップしましたが、その後日南線に乗って宮崎へ移動しました。今回はそのレポートです。

宮崎でご当地の汁物といったら、なんといっても冷や汁です。冷や汁は、きゅうりや豆腐、ごまの入った冷たい味噌汁。ごはんにザブザブとかけて食べるもので、暑い夏でも気持ちよく喉を通ります。

冷や汁そのものは全国に散見されますが、とくに南国・宮崎の郷土汁として有名です。多くの郷土汁が、すでに一般家庭では作られなくなっていることも多い中、宮崎の冷や汁は今でも非常にポピュラーで、宮崎県内だけでなく全国的にも広がりを見せている伝統食の優等生。私もこの冷や汁は夏になるとくりかえし作ります。

と、いうことで暑さ絶頂の8月、満を持しての冷や汁研究。レシピと合わせてお届けします。

宮崎で初の冷や汁体験

まずはこちらへ出かけました。宮崎の郷土料理ならここと教わった『ふるさと料理 杉の子』です。

昭和45年創業の『杉の子』

宮崎の郷土料理であるさつま揚げやチキン南蛮など、宮崎名物を注文。端正でありながら、気取りのない質実な料理の数々。席もゆったりと落ち着いて食べられます。

さつま揚げがふっくら熱々で最高!

冷や汁は、食後の〆として運ばれてきます。
見た目は極めて地味。

麦を混ぜたごはんとともに

冷や汁の作り方ですが、宮崎では、いりこ(煮干し)、あるいは焼いた干物をすり鉢でよくすり、胡麻や味噌と合わせて練ったものを直火で炙った焼き味噌を水でのばして作ります。

具や薬味としてはキュウリ、豆腐、みょうが、青じそがポピュラーですが、ピーナツや焼きナス、たまねぎなどを入れることもあるようです。

きゅうり、豆腐、みょうが、大葉などスタンダードなタイプ

見た目はいまいちながら、焼いた魚や味噌の持つうまみと香ばしさ、ゴマのコク、キュウリのパリパリとした歯ざわり、そしてみょうがや青じそのさわやかさ。とにかく食感と香りが豊かなのです。

麦の産地である九州では味噌は麦みそ。これもまたさわやかな風味を添えています。暑い日の食事はもちろん、飲んだ後にサラッと食べるにも、つくづくいいものです。

テーブルの敷紙には宮崎の四季折々の食材が描かれていました

伝統の冷や汁を解剖してみる

ここから先は

3,776字 / 21画像

¥ 300

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。