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甘くて、サクサク。新たまねぎのピュアな魅力あふれるお吸い物
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今日ご紹介するのは、旬の新たまねぎを魅力的に食べるスープです。かつおぶしでとったやさしいお出汁が、新たまねぎのおいしさを大いに引き立てます。ぜひ、お試しください。
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旬の味をダイレクトに味わえるお吸い物
『スープ・レッスン』で今回はじめて、ちゃんとした「だし」をとってみようと思います。いま出盛りの新たまねぎを、おいしく、すっきりと食べてもらうには、だしがあるといいなと思うからです。
だしの取り方にはいろいろありますが、ここでは正しさよりも作りやすさを優先した「ブロークンかつおだし」を紹介します。簡単な取り方でも、かつおぶしでとっただしは、なにより香りが違います。お椀に顔を近づけたときにふんわり広がるかつおの香り、口の中に残る余韻も素晴らしいのです。
新たまねぎはたまねぎ独特の辛みやクセがないので、だしで静かに煮てあげるだけできれいな味のお吸い物になります。甘くやわらかい、ピュアな新たまねぎの魅力を存分にお楽しみください。見た目の美しさも格別です。
新たまねぎのお吸い物
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材料(2人分) 所要時間25分
新たまねぎ 1個
かつおぶし 1~2パック(5グラム)
塩 小さじ1/2
しょうゆ 少々
水 550mL
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作り方
1.かつおだしをとる
鍋に水550mL、かつお節を入れ中火にかける。沸騰したら火を弱め、弱火で7~8分煮出してから、濾す。★1
2.たまねぎを煮る
新たまねぎは皮をむいて4つに輪切りにし、1のだしに入れて12~15分ほど、やわらかくなるまで中火~弱火で煮る★2
3.味をつける
塩小さじ1/2を入れ、しょうゆ少々を足して味を調える。器にたまねぎを盛りつけ、汁を張る。★3
レシピのポイント解説
・かつおだしのとりかた
・たまねぎの煮方
・お椀の盛り付け
★1 かつおだしのとりかた
かつおだしに必要なものは、かつおぶしと水だけです。かつおぶしは、パックの削り節で大丈夫。
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鍋に水を入れ、かつおぶしも入れて、中火にかけます。量が少なめなので水から煮出します。
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沸騰したらすぐに火を弱めて、7~8分、ゆっくり煮出します。アクが気になる人はすくってください。かつおぶしの量も少ないのでそのままでも大丈夫です。
ある程度煮出すと、かつお節の淡い色が出てきていると思います。火からおろし、濾しましょう。細かい目のざるや濾し器がない人は、普通のざるの上にクッキングペーパーを敷いて濾すとよいと思います。かつおぶしに残ったエキスも、おたまでぎゅっと絞ってしまいます。クリアな、それでいてしっかりした味のかつおだしのできあがりです。
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かつおだしについてはこちらにも詳しく!
しぼった後のかつおぶしは量が少なく、味が完全に抜けているので再利用は難しいかもしれません。
★2たまねぎの煮方
さて、今日の主役は新たまねぎです。これは、普通の玉ねぎと何が違うのでしょうか? 品種?
まず、私たちがよく見かける普通の皮が茶色いたまねぎは、保存性を高めるため収穫後に乾燥させてから出荷しています。一方、畑から掘り出したものをそのまま出荷するのが新たまねぎ。柔らかく水分も多く、辛みが少ないためサラダなど生食にも向いています。
また、たまねぎの品種には、黄たまねぎ系と白たまねぎ系がありますが、現在、私たちがイメージする新たまねぎは、そのほとんどが白たまねぎ系の品種。柔らかく甘いのが特長です。サラダたまねぎと呼ばれることもあります。
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カレーや、料理のベースに使うときは、水分が少なくうまみの強い普通のたまねぎが向いています。生食や、さっと煮て食べるのには新たまねぎはいいものです。
皮をむいて、輪切りにしましょう。今日は1個で二人分とるので、4つに切ります。
たまねぎの上下は切り落としますが、スパッと切り落とすのではなく、皮1枚残してあげると、皮がむきやすくなりますよ。
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おなじみのくし切りや薄切りでももちろんよいのですが、輪切りにしてたまねぎの形の面白さを楽しみましょう。
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これをだしの中にそっと入れます。たまねぎは、層になっていて、乱暴に扱うとばらばらになってしまいます。なるべくていねいに。
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だしの入った鍋に入れたら12~15分ほど、ゆっくり煮込みます。火加減は中火でスタートし、沸騰してきたら少し火を弱めます。ボコボコ沸かすと、たまねぎがバラバラになってしまうのでご注意。
たまねぎが半透明になったら、火が通った証拠です。
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★3お椀の盛り付け
たまねぎが煮えたら、塩としょうゆで味をつけて、できあがりです。しょうゆはお吸い物にほんの少しの色と香りを添えるためのもの。少量で結構です。
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きれいに煮えた柔らかいたまねぎ、せっかくならなるべく崩さないように盛りつけたいですよね。
椀物の盛りつけは、おたまで汁と具を一緒にすくうのではなく、まず具を盛りつける→それから汁を張る、というのが基本です。鍋のときなどに使う豆腐すくいがあると、ベストです。
たまねぎの端の部分は少し小さめ、胴の部分は大きめだと思います。小さいものをまず先に、その上に大きな玉ねぎを重ねるようにのせます。
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たまねぎがきれいに積めたら、おたまで周辺からそっと汁を注ぎます。ほんの少しの手間で大きく変わります。ぜひ、やってみてください。
目にも楽しいたまねぎの魅力
生のままスライスしてしょうゆをかけるだけでもおいしい新たまねぎですが、だしで煮た滋味深さも捨てがたいものです。サクサクとした食感をわずかに残していて、しみじみとしたおいしさが味わえます。もうちょっとパンチが欲しいという人は、あらびきの黒こしょうをふってみてください。
注目したいのは、輪切りにしたたまねぎの美しさです。こんな身近なところにも心を動かすものが存在するのだと、たまねぎが教えてくれているようです。思うように外に出られない日々が続いています。料理を通じて世界を発見する楽しみを味わってみてはいかがでしょう。
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【アレンジ】シンプルさをなるべく生かしたアレンジや献立作りを
このお吸い物はシンプルですが、あれこれ足すようなスープではありません。何かを加えるときも、一緒に入れて煮込むよりは、トッピングでプラスしていくというようなアレンジがいいと思います。お吸い物を中心にした献立の立て方もご紹介してみます。
新たまねぎとハムのお吸い物
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ハムを加えて少し洋風に振ってみました。ハムは刻んでたまねぎにトッピングして、上からだしをかけるといいと思います。なかなかボリュームのある一品になりますよ。
新たまねぎのお吸い物とトマトごはん
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こちらは献立のご提案です。たまねぎのお吸い物には、混ぜご飯や炊き込みごはんを合わせるといい感じの献立になります。
ここではプチトマトにみじん切りのしょうがと塩を混ぜたものを、あたたかいごはんに混ぜてみました。家にずっといる日の昼食などは、このぐらいの軽さがいいかもしれませんね。
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こちらは本でご紹介した炊き込みごはんとのセット。鶏ひき肉としょうがを混ぜ込んでしょうゆで味をつけています。
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