小説作家アンケートと私の所感⑤ロシア文学編
日本の近代文学や19世紀欧米文学、やっぱり読んだ方がいいという思いで、Xにて直球アンケートを取りました。
その結果と私の勝手な所感を書きます。
四回目は、ロシア文学編です。
前提として、私のXのFFさんは物書きさんや読書家さんが多いです。そこは押さえておいてください。
それから、設問が一貫していないので、答えにくかったり回答がばらけたりしたとも思いますが、どうか大目に見てくださいませ。
でも、19~20世紀初頭のロシア文学を読んでいない方が約半数なのは、ロシア文学好きな私としてはちょっと残念です。
「その他」の回答の中には、チェーホフやソルジェニーツィンもありました。これらはアンケート項目が少なくて入れなかったものです。他にもプーシキン、ゴーゴリ、ゴーリキーなど、この時代のロシアは文字通り「世界文学」といえるような大作が多いので、チャレンジしていただけるとうれしいな。ロシア独特の愛称が最初は分かりにくいとは思うのですが、慣れてくれば案外すぐ馴染めますよ。
とは言っても、今日まで続く問いを発しているのはやはりドストエフスキーでしょうか。私の勝手な価値観ですが、いまだドストエフスキーを超える小説家には出会えていません。逆にいえば、そういうものを求めて読書を続けているという側面もあるくらいです。
とりわけ、『罪と罰』と『カラマーゾフの兄弟』はテーマが円環的につながっていきますから、セットで読むことをお勧めします。
トルストイは代表作『戦争と平和』としましたが、他にもたくさんの作品がありますね。『戦争と平和』はロシアそのものをナポレオン戦争の時代に重ねて描き出そうとした壮大な作品。やや退屈なところもありますが(一章を使って犬を使った狩りのシーンを書いているのには閉口してしましました)、当時のロシアの風俗も含めて描きたかったのかもしれませんね。総登場人物559人と言われますが、恐れることはありません。主要登場人物は6人ほどを軸にしていますから。そういう意味では意外と読みやすいです。
晩年トルストイは人道主義から社会主義的傾向を強め、『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』などのそれまでの大作を自ら否定します。しかし、そういう「転向」は功を奏したとは言えない気がします(私見)。子どものときには『イワンのばか』に馴染んだ方も多いかもしれませんね。
ツルゲーネフは私はあまり読んでいませんが『はつ恋』は今読んでも素晴らしい青春の甘やかさと苦さを描いた作品で、文章も美しくお勧めします。
チェーホフも現代まで影響を与えていますよね。
とりわけ太宰が『斜陽』で取り上げたのも大きいでしょう。
M.Cの持つ意味が変容していくところはぞくぞくします。
私は戯曲が苦手であまり読んでいませんが、長いものはないですし、よろしければチャレンジしてみて下さいませ。