『ハッピーレクイエム』(煙亜月著)
驚いたことに、この『ハッピーレクイエム』という290ページの長編は、彼の処女作だという。2023年1月5日発行。
私は読み始めてすぐ、「こういう小説が読みたかったんだ」と快哉を上げた。
最初のシーンから、主人公聖子(しょうこ)の恋人の平松が、オーケストラの団員たちの飲み会の場で静かに死を迎える。
その死自体は静かでも、大学生で医学を専攻している吉川(よしかわ)がいち早く彼の異変に気づき、凄まじい延命治療を行いはじめる。戸惑い、やがて協力する団員たち。
この冒頭のシーンの激しい