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私の読書●小説家志望の読書日記㉖花村萬月『ワルツ』
花村萬月『ワルツ』。
面白かった。特に戦後の数年を舞台にして、当時の世相を節々に織り込んでいるところに迫力があった。知らなかったこともたくさんあった。
それはともかく、あんな結末になるなんて。なんだか、死んだ(殺された)城山が、『戦争と平和』のアンドレイ侯爵を思い起こさせた。死んだ者は過去になっていく。
しかし、ワルツ=三角関係の正体は何だったのだろう。単に一人の女性を巡るそれとは少し違う。城山に強く惹きつけられていたのは、最終的に城山を殺した林だったのではないか。
最後で、林とヒロイン百合子があまりにもふつうの幸せを手に入れてしまうところに肩透かし。
作者の意図はどうか分からないが、生命力を持つがゆえに生き残った林や百合子よりも、特攻くずれで深い虚無を抱えていた城山が印象に残った。
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