【壽祝桜四月大歌舞伎】歌舞伎ミリしら中1妹とはじめて明治座に行った話【昼の部】
はじめに
\バーチャルとアナログの架け橋になりたい/
こんにちは。かおるえねこと申します。
世界の片隅、バーチャル界隈でしがないVtuberをやっている者でございます。
歌舞伎初心者えねこにはついこの間まで小学生だった妹がおります。
今回はそんな中1妹と一緒にはじめて
明治座にいったレポートを書いていきたいと思います。
そもそもなぜ中学生になったばかりの妹が明治座にいくことになったのか?
先日わたくしえねこがFFⅩ歌舞伎という新作歌舞伎にどっぷりハマり、歌舞伎座デビューをした話を食卓でしていたときのことです。
黙々とからあげを食べていた妹が突然箸を止めて
「あんなに何にもハマらない無趣味のおねえちゃんが夢中になるものなら私も見てみたい」
と言い出したのです。
シスコン全開ではありますが、めちゃくちゃいいこなんですよ。妹。
そもそも、妹が言う通りわたくしえねこは非常にドライな性格です。
何かにハマることがなく、無趣味。
これまで推しという推しもいたことがなく、芸能人にもアイドルにもハマらないタイプの人間でした。
妹が散々「おねえちゃんあのアニメ一緒にみよう」「このイベントにいこう」と言い続けても断り続けていたのに、
まさか姉が突然歌舞伎にハマるとは思ってもみなかったのでしょう。
そこで妹まで突然歌舞伎に興味を持ち始めたものだから、わたしも驚きです。
中学1年生で歌舞伎なんてみてわかるのだろうか。
だけどものは経験……させてあげたい半面、歌舞伎もけして安くはありません。
楽しんでくれたら嬉しいけれど、高いお金を払って「つまらなかった~」となったらやはり寂しくなってしまう……そんなことをおもっていたときです。
明治座で【壽祝桜四月大歌舞伎】18歳以下無料の案内を見つける。
これだ!!!!!!!!!!!!!!
そう思って、思い切って妹に「明治座に行こう!」と声をかけました。
一等席が子どもは無料です。ほんとうにありがたい…
大人はお金がかかりますが、せっかくだから妹の歌舞伎デビューを一番近くで見届けたいとおもい奮発してわたしも一等席をとりました。
後から聞いたところによると、子どもだけ一等席(無料)でみて大人はお安い席で離れて見るのもありだったそうです。なるほど、その頭はなかった。
だけどわたしは保護者枠ということでいっしょにいくので、やっぱり一緒がいいよね~と隣の席を確保。何かあった時の責任をとるのが保護者だからね。お利口にしててもらわないと困ります。
そして我々は、いざ明治座にいくことになったのです。
いざ明治座へ
しかし明治座にいく前からひとつ懸念がありました。
それは
子ども無料のイベントだからなのか、
観劇する子どものマナーが悪いということ。
ツイッターでも何度かこういった意見を見ていて、うちの妹にも気を付けてもらわなければいけないなとよく言い聞かせていたところ
「そういうのは年齢関係なくやれる人とやれない人がいるだけだよ」と一蹴される。
中学一年生、おもっていたよりもずっと大人でした。
確かに、マナーを守る守らないというのは大人子ども関係ないよね。
大人でもマナーを守れなくてごめんなさいを言えない人もいる。
子どもはマナーを守れないだけではなくて、マナーを知らなかったのかもしれない。
だけどそれを「だめだよ」と言われて「ごめんなさい」が言えるのであれば大人も子どもも関係ないよなあ、と反省しました。
さて、そろそろ明治座に行きましょう。
はじめての明治座は歌舞伎座のどどん!と趣のある感じと違ってホテルのロビーのような雰囲気。
お土産を見るようなお店は少なかった印象で、お弁当を持って行かないと食べるものがなかなかないな~~と思いました。
後日聞いたところによると明治座のお弁当はとても美味しいそうなので、次は食べたい。
わたしたちの席は1階席1番左の1番後ろ。
花道で役者さんが背を向けてしまう席です。
すこし残念だなあ、とは思ったけれど、後ろにお客さんがいない席だったのでむしろとてもよかったなとおもいました。
わたしと身長の変わらない妹とはいえ、どうしても子どもだからかワクワクしてしまうような場面では、背筋を伸ばして前のめりになりがちです。
なので、後ろにお客さんがいないというのは保護者として、周りの目を気にしすぎないでよかったのでとてもありがたかった。
でも普通の席では気を付けようね、とひとことだけ添えておきました。また一緒にいきたいからね。
舞台の幕は、歌舞伎座の艶やかな刺繍がされた古典的なものとちがって、幕のなかに映像が映し出され、絵が動くような近代を感じさせる芸術美。
歌舞伎座とはまた異なる舞台の雰囲気に驚きながらも、待ち時間の間も幕を泳ぐキラキラとした光を見る事ができたのは目でも楽しめて時間があっという間に感じさせました。
さて、演目がはじまります。
妹とわたしはイヤホンガイドを借りてきたのでここからはお話に集中することにしました。
【壽祝桜四月大歌舞伎】
『義経千本桜 鳥居前』
愛之助さんの立ち廻りが格好良い。
やっぱり歌舞伎といえば立ち廻りだよね~!うんうん!
千之助さんの静御前はよくあるたおやかでしとやか、儚いお姫様といった感じ。
そこに強さなどない、守られるばかりの美しさ。
しとしとと泣きながら「自分も連れて行ってくれ」と男に懇願する姿はとても男性が演じているとは思えませんでした。
静御前のお着物はそれは美しく、日本の伝統美である朱色が鮮やかだったな。一番最初に幕があいた瞬間の朱色の鳥居といい、朱色が鮮やかな舞台で、愛之助さんの勇ましい赤いお衣装もその色にボケずによく映えていた。
歌舞伎で表現される朱色って、日常で見る赤色とはまったくちがう色味なんだよね。
あれってどうしてなの……?素晴らしいコントラストで、けして目立ちすぎず、それでいて凛とした強さが際立つ配色だなっていつも思う。
また途中であらわれた逸見藤太(種之助さん)は動きが頓智気で、憎めない悪役。
テンポのよい動きや口上は子どもでもつい笑いをこぼしてしまうほどで、「古典歌舞伎…むずかしい…」という子どもの緊張も少しだけほぐれたように思いました。
最後には愛之助さんがコンコンとてのひらを丸めて帰っていく姿が勇ましいのに可愛らしくてわらっちゃった。
『大杯觴酒戦強者』(おおさかづきしゅせんのつわもの)
これは妹いちばんのおきにいりでした。
要約すると「与助って男のよっぱらい話」でまとまってしまいそうなほど、ドラマ性がないといいましょうか。日常の一コマといった印象でした。
これといって急展開がある話ではなく、妹もわたしも途中でうとうとしてしまいましたが、それほどまでに心地良い耳馴染みのある音が溢れていました。
ガイドイヤホンで「この素朴な歌舞伎をお楽しみください」と言っていたのですが、「おねえちゃん素朴な歌舞伎ってなに?」と聞かれて
「たまごボーロみたいな歌舞伎だよ」
頭の悪い回答をしてしまったのを一生後悔しています。
つまりはみんなダイスキ最高!身近な歌舞伎!ってことだよね。
途中お酌をする歌之助さんと莟玉さんの姿が本当に双子のように綺麗に交差する動きで美しかった…。
逞しさや男らしさというものがなく、どこか未熟で青々しい若さというか、青年というお役柄がぴったりでした。
歌舞伎役者さんのすごいところは、ふつうのドラマにでる俳優さんたちとちがって、お衣装やお化粧、そしてその身なりの所作だけで体系や身分を変えてしまうところだとおもうんです。
この間の役の時はすごく線の細い若い男性だったのに、今日はとても荒々しい屈強な男。かと思えば別の時にはたおやかな女方……
けして特殊メイクをしているわけではないのに、
足を広げてぐっと立ったり、膝を折ったり、体を斜めにたてたりと、己の身一つで体現してしまうところが本当に素晴らしいな、とわたしは思いました。
『お祭り』
えねこさん大歓喜の演目でした。
本当に短い20分ほどのお芝居だったのですが、好きが詰まっていた。
いつもは女方さんというと「おしとやか」で「艶やか」「儚い」。所謂お姫様。
そんなイメージをもっていることが多かったのですが
この演目で出てきたのは「町娘お玉」
このどこにでもいそうな、悪戯で世話が焼けるような娘。
元気で朗らかで、それでいて所作は美しいこの娘が、いじらしくて初々しく。兎にも角にも愛らしい。
お姫様にはないような思い切りのよい、大胆な舞いが可愛らしく、普段女方さんではあまりみない所作台でドン!と足を鳴らすところもよかった。
おかめのお面をかぶったお茶目な舞いも好きで……
わたしは町娘が好きみたいです……(ひとめぼれ)
そしていつも思うのですが所作台の上でアクロバティックな動きを繰り広げる方々が本当に格好良いなぁ。
梅吉(梅玉)さんのサッパリとした男らしいところも素敵で、お玉としあわせになってほしい……。
指先で作ったシャッターで日常を切り取ったような、そんな夏の1コマの演目でした。
中1妹はミリしら初歌舞伎を楽しめたのか?
結論。とてもたのしかったそうです。
一度BS松竹で歌舞伎をテレビで見てから言ったのですが「映像と生では全然ちがった~~~~!!!!!」と大興奮でした。
妹は舞台にあがっていた人が全員男性だったということに疑いをもっており
「ねえ、あれ本当に男の人?今日ちょっと調子悪くて女の人と交代してたんじゃない?」
とまで言い出す始末。
あまり語彙力がない妹なのであまり細かい感想は聞く事ができませんでしたが
「すごいですごいでスゴかった!!!!」
と声をあげて喜んでいたのが素直な想いなのかな。
改めて思った歌舞伎の素晴らしいところは見得をとって観客を注目させたり、附けで臨場感を表すところは勿論だけど
その時の主役が話をしている時に後ろにいるほかの役の人たちが時間が止まったようにぴたと動かなくなって、主役を引き立てる所だと思うんだ…
あれほんとに凄い。一番きれいな所作で10分以上静止して、
主役を引き立てて、
いざ自分が話し始めると時が動き、その時の主役が入れ替わる。
舞台上では役者ひとりひとりが主役で、ひとりひとりが引き立て役。そんな気持ちになる芸能文化だなあと思う。
それぞれの場面で役者が息をしていて生きている、テレビのドラマとは違う。
その一瞬一瞬で時間を刻んで、
ライトもクローズアップもなくても主役を引き立てるのが歌舞伎の凄い所だとおもいました。
さて、中1妹とのはじめての明治座レポートはここまでとなりますがこの数日後えねこは妹と滝沢歌舞伎にいってきました。
すっかり歌舞伎に興味を持ってくれた妹ではありますが、歌舞伎と名のつく総合エンターテイメント「滝沢歌舞伎」
次はこちらの事を纏めていきたいと思いますので、またお会い出来たら幸いです。
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