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べらぼう1話雑感          「ありがた山の寒がらす」

※例によってネタバレ満載なのでお嫌な方は見てから読んでね

さて始まりました。
大河「べらぼう」の第一話「ありがた山の寒がらす」
何じゃその変なシャレっぽいタイトルは??

さあ、昨年の大河は「源氏物語」もとい、「光る君へ」で
大いに艶っぽく、雅で、月をめでる風流な、衣装も豪華で
そして宮中どろどろ物語で終わりは武士の時代に移っていくという
「儚さ」で終わり、自分でも以外にはまってしまい
今度のお江戸大河は穴を埋めてくれるだろうかという心配でみました

―「大江戸博物館」が明るくなったみたいね、
と思うほどどっかで見た「展示」の江戸時代を思い出すシーンが多かった
でも見ていくうちに惹かれて行った

実は自分は個人的に江戸時代が苦手である
いや苦手であった

というのは

浮世絵とか歌舞伎が好きになったのはずいぶん後で
若い頃、幕末で人気の新選組なんかがあの素晴らしき無血革命
「明治維新」を数年遅らせたたわけもん!と思っていて(ヒドイ)

明治以降=正義=先進的で頑張った日本の誉
江戸時代=悪=鎖国なんかして遅れた古臭い人々
という意識がなかなか抜けなかった
それに奢侈禁止令なんか出して野暮天め!とも思ってた

大河でも幕末物は新しい時代に進む話が多くて
まあ「前向き」に見れたのだが元禄時代の忠臣蔵なんかは
まあ悔しいのはわかるけど、江戸時代って掟や縛りが多すぎてしんどそう
という暗い印象が強かった

吉原も華やかだけど「苦界」と言われるほど
影で泣いた女が多いんだよなあ、搾取そのものだよね
とマイナスイメージが多かった
歌舞伎はそのいいとこだけ見せてるんだよね、
と江戸時代苦手は「すっぱい葡萄」のような自分でした

しかし年を取るにつれ
北斎など代表する日本の浮世絵の美しさと線の美しさに目ざめ
(「北斎美術館」行きました!今回も連動展示してほしい)
歌舞伎も「トシヨリの道楽」と思っていたのだが
実際の舞台をみてその美しさに圧倒され
こういうのを生み出した江戸の人々や時代背景が
気になるようになってきた
そういえばこの時代、大規模な内戦や対外戦争がなかったから
「天下泰平」と呼ばれるんだけど

―「また戦のない大河か」
―「光る君へ」は楽しかったけど今度はそうはいかねえよな
―「蔦屋重三郎」をとりあげるって蔦屋ってあのツタヤ?
―貸本屋の盛衰記かいな?

と とにかく見てみた(前振り長いぞっ)

いきなり火事のシーンで面食らった
蔦重の舞台の吉原がなくなっちまうじゃん!
ええー「お稲荷さんを持ってきたい」って禿ちゃんがかわいい
「立派な花魁になれますように」って願い事してたのかな
またそれを担いで逃げる蔦重がたのもしい

「大奥」のお鈴廊下のシーンで冨永愛を「上様!!」
と呼んでしまう病、何とかして(笑)(デジャビュ)
今度は大奥の「高岳」(たかおか)という役柄だそうで
上臈御年寄と呼ばれる大奥最高位のお方らしい
どう蔦重と絡むかな?

将軍様より威厳ありそう

そんでもって急に火事から再建して立派に甦った吉原に
びっくらこいて(再建の様子見せろや、コラ#)
ちょっとついて行けないな、やっぱり脱落組かな

なんて思ってたら綾瀬はるかが狐になってでてくるし
スマホで吉原ナビしてるし ちょっと混乱した
でも楽しい
しっぽフリフリ歩くのがかわいい

やっと蔦重の「おうち」でてきた
子供の頃親に捨てられて駿河屋の旦那に拾われたらしい
こういう「養い子」を安く使って労働力にしてたんだな
というかとっても悪く見えてしまう茶屋の旦那さんだけど
「セーフティーネット」みたいな役割もあったのかなと思った

自分は吉原は「売春」の街だから
女の子が生まれたら「女郎」に
男の子が生まれたら「男衆(おとこし)」として働かせ
吉原以外に出ていくのをさせないのではと思ってた
でもなんか 蔦重なんか自分の意思で吉原にとどまり
吉原の役に立とうとしてるような気がした

蔦重の本来の仕事は「貸本屋」だそうだ
吉原の店の女郎たちに本を貸して稼ぐ
「貸本」が成り立つということは求める人も多いとのことで
それだけ「識字率」が高かったあかしだね
自分で楽しむ以外、少しでも「ネタ」を仕入れて
身分の高いお座敷相手の受け答えに困らないように「勉強」してるんだ

蔦重が女郎たちを「お姫様方」と呼ぶのがいいねえ
その中に蔦重の幼馴染の呼び出し花魁の花の井がいる

小芝風花さんめっちゃキレイでかわいい
鬢を張った髪がまた似合うこと!

扱ってる本がいちいちわからなくて調べながら読んだ
多くの本があったと綾瀬キツネは申しております(笑)

え?大人向けの「青本」って???(興味シンシン)
いやいや、浄瑠璃や歌舞伎の内容を読みやすくした本だそうで

その中の「ひらかな盛衰記」が気になって調べてみた
浄瑠璃の本で元は「源平盛衰記」の引用らしい
木曽義仲なんか知ってる花魁がいたら嬉しいだろうね

それを尋ねたのが「うつせみ」という「源氏」名の花魁
前大河で扱った「源氏物語」が広く人々に知られているのがわかるなあ

うつせみは「座敷持花魁」だそうだ
花魁でもけっこう「格」が高い 
花魁にも色々あるんだねえ、とまたお勉強になった

蔦重に貸本をダメにしたお代をせびられ怒り
世話になった朝顔姐さんに弁当をもってけ!と迫る花の井姐さん
すごむその姿に思わず「裾はだけてますよ、きゃーイロッポイ」と
ドキドキして喜んでしまった(コラ)

そして朝顔姐さんのいる河岸女郎屋って
もう「貧困」を絵に描いたような有様で、
食べ物に群がって食い尽くすさまが「餓鬼」のようで哀れ

同じ女郎でもこんなに格差があるんだと思い知る

その病んでる朝顔姐さんが
「食べるのに咽るから男前には見せたくない」
っていうのがせめてもの矜持か

それだけ病がすすんでるってことなのね

蔦重が読み聞かせる本は調べによると平賀源内が書いた
「根南志具佐」でBL本で世相批判満載の本だそうだ
閻魔様に姿を借りた社会風刺の本だそうで
なにやらイミシンであります

源内さんも後で出てきたねえ
往年のドラマ「天下御免」を知ってる自分はなんかニヤニヤしてしまった

こりゃ、この大河、理解するのに相当教養がいりますな
毎回調べものが増えそう(笑)

そして舞台は「夜見世(よるみせ)」の吉原を映し出す

誰かが書いていたけど
灯りと夜の闇のコントラストが葛飾応為の描いた浮世絵を思い出す
あまり灯りがギラギラしていないのがいい

そして有名な花魁道中
引き手茶屋からお客様のいる茶屋まで大勢引き連れて練り歩く
いよっ!花の井姐さん!と呼びたくなる
あら、歌舞伎では帯がずいぶん派手だけど
実際はこんなシンプルな衣装だったのね
艶然と微笑む花の井に惚れこんじまった中村隼人、いや
ちょっと前に登場した威張りくさった旗本ぼっちゃん

ここでまた驚いた
隼人さんがダメンズ旗本お坊ちゃんを演じますが名前を聞いて大のけぞり!
長谷川平蔵だってぇぇ??
若い頃はやんちゃだったのねえ
(こりゃ池波正太郎も読まなくっちゃ)

でもお付きのガラが悪すぎません??
あいつと「やらせろ」って何だよ
「会わせろ」ぐらい言えんのか(まあお下品)
おくれ髪をふうっと揺らすのが流行ったりして

この「坊ちゃん」から搾り取ろうと宴をはる蔦中

でもその陰で哀れな朝顔ねえさんは身罷ってしまい
それも裸で打ち捨てられ
というか遺体を放り投げられ着物をはがれてしまったという
まるで大昔の羅生門のような有様

全裸で遺体が折り重ねる構図にちょっとショックだった

それに着物をかけてやり
世話になったことを回想する蔦重
優しいから人に譲ってばかりで身体を悪くしてしまった
劣悪な環境の犠牲になった朝顔姐さん
吉原の光と影を女郎の扱いで表現するのが
悲しいけど上手いなあ

それに義憤し
色々あって時の老中田沼意次に直訴しにいく蔦重
他の岡場所に客が流れて吉原が寂れていくのを何とかしたい
と訴える蔦重に静かに
「客を呼ぶ工夫をせよ」と諭す渡辺意次

くーかっこいい!
田沼意次ってワイロまみれだったというが
ここではどう描かれるのかな

「けいどう」を願いにいったという蔦重の噂がたちまち広まり
「お仕置き」されてしまう蔦重
ひっどいねえ 養い親の駿河屋さんも助けてくれない非情さ
まあ命あるだけましか
生まれ育った吉原を、女郎たちの境遇をよくしたいと思って
起こした行動だったのに冷たくされちゃった
秩序を乱すのがいやなんだろうねえ
いつの世も同じねえ

茶屋の旦那連中が並んで歩いてくるのに
「Gメン75」を思い出してしまった

桶に閉じ込められた蔦重が思いついたのが吉原の案内本
今でいうガイドブックとは!

さてどんな風に作っていくのか???

今年の大河は渡辺謙さんを
「べらぼう」とBS再放送の「独眼竜正宗」で両方楽しめる
ダブルで楽しみたいと思います

そして自分の「お勉強」の必要も感じました
(この時代の本は「八犬伝」ぐらいしか知りません)
年取ってからのお江戸と吉原の学習は案外楽しいかも。

呼び出し花魁 花の井 が美しくて描いてみた


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