中村佑介展 ちょっと森見登美彦氏、イラストのはなしも。
5月の会期終了間際、中村佑介展を観に行きました!
少し前に大阪でやっていたとき、関西の人はいいなあ(中村さんは大阪の人です)とうらやましかったのを覚えています。
東京で開催されると聞いてものすごくうれしかったです。(直前まで体調が優れず出かけられなかったので本当に体が間に合ってくれてありがたかった!)
中村さんは今や日本で一番人気のあるイラストレーターさんじゃないかと思う。名前で、「この人が描いてくれた」と言ってみんなで話題にできるのは、大御所作家さんでなければ中村さんしかいないと思うけど、どうでしょう。
会場に入ると涙が出そう!!アジカンの、懐かしのヒット曲が大音量のBGMで流れていました。ロックの聖地、パルコだもんね(昔、パルコといえば若者の、ロックやサブカルなどのメッカでした)。
アジカン(ロックバンド アジアン・カンフー・ジェネレーション)がヒットし始めたのはわたしが中学生くらいかなあ、ループ&ループとかリライトとか・・・。ヘッドフォンじゃなく大音量で聴けるしあわせ。そして、ずっとアジカンの世界を彩ってきた中村作品が一面に飾られている空間です。
わたしが中村さんを好きになったのは12年くらい前、大学生の頃でした。
当時、中村さんはまだアジカンのジャケットから売れ始め、少しずつ他の作品にも作品を提供し始めた頃だったと思います。今ほど中村作品が世の中に出回っていませんでした。わたしは中村さんが多分自分で作ったであろうHPを毎日のようにのぞいては好きな画像を印刷して、本のカバーを勝手に作って持ち歩いていました(当時のわたしは本の装丁家になりたかったのです。デザインを勉強しようと思っていたけど、見学に行った専門学校で油彩の油絵の具の匂いに「あっ!」と思い立って油彩画コースを受験することにしました。この話はまた別の時に・・・)。
「檸檬通り」というネット上の架空の街のコミュニティを作っておられてノスタルジックな世界観がまた、ロックを愛して、素敵な装丁の古本などを漁っていた大学生のわたしには魅力的でした。
大学3年くらいの頃かな?森見登美彦先生の『夜は短し、歩けよ乙女』が素ッ敵な表紙で刊行されたのは。面白くて面白くて自分でイラストに興していたりしました!森見登美彦氏の「乙女」は中村さんのイラストなしではあのオモチロ摩訶不思議な世界観、あそこまで魅力的に語られなかったのではないかと思うくらいです(もちろん森見登美彦氏は最高にオモチロく、巧みなエンターテイメント文芸作品なのですが)。
(わたしは森見登美彦氏のファンにもなりました。『太陽の塔』最高に面白かったです。わたしは当時、女子大学生だったわけですが、心は男子大学生のようであり、とてもとてもこの腐れ大学生の世界観に共感しているのでした。)
(中村さんの描いた登美彦氏)
当時はmixi全盛期でした。大学のアトリエで話して、メールして、さらにまたmixiでも話して・・・と仲間とのおしゃべりをずっとしていた。mixiはいろんな人が溢れていて、今のツイッターに近い位置だったと思うけど、結構文化的なカラーがありました。mixiの中で中村さんのサイトを見つけてのぞいてはよくコメントを書いたり、メッセージ(だったかな?)を送らせてもらっていました。2回くらいお返事をいただいた記憶があり、特にうれしかったのはこのアジカンのイラストへの感想のお返事に「ある物語からインスピレーションをもらったよ」と中村さんご本人が教えてくださったことです(物語については内緒かもしれないので書きませんが、よーく見ると想像できると思います(^^))。
この展覧会は中村祐介大回顧展という感じで、歴代の作品がほぼ全て観られる展覧会でした。観るこちらも大興奮だし、力が入っているので途中で疲れてくるの・・・ですが、観たい!という感じでじーっくり下絵や直筆原稿や学生時代の課題や(課題に書かれている勉強メモに無茶苦茶共感したり。描くことは見ること)、なんとわたしが大大大好きだった頃のHPで繰り返し眺めていたオリジナル作品(なんの依頼でもないオリジナルの世界観の作品)も観られて本当に感動しました。すごく楽しかったです。
昔のオリジナル作品。切ないノスタルジックな恋心感が描かれている。大好きで毎日サイトを見に行っていた。今よりもすっきりとした線や色です。
檸檬通りの上二つよりもっと古い墨?絵
鉛筆デッサン!
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わたしの洋画・ファインアート界のロックスターというのは奈良美智さんなのですが、イラスト界でのスターは中村さんなんですね。
今年の頭に予期せず初めて夢に中村さんが出てきて「ファンです!」と伝えたんです、夢の中で。笑われそうですが、夢はわたしにとってとても大きなメッセージなんですね。昨年の「山の神」を描いたあたりからちょうど好きだけどあまり挑戦してこなかった線画を描くことを考えていたんです。外に出してこなかったんですね。漫画好き出身なのでイラストレーションのような細い線画が実は得意なんです。初期のドリバン時代(一時期イラストの仕事をしていました)のイラストとかよく描いていました。憧れていたのは奈良さんのような夢のようなタブローやゴッホとかのゴリゴリ盛り盛りの油絵。そういうものがずっとあまり得意じゃないけど描きたかったっていうのがあって。その裏で発表しない落書きのような感じでよく幻想的な線画を描いていました。浮世絵も好きです。油彩エリアにいたけども、実は日本的な平面や線画が好きだったんですね、認めてこなかったというわけだけど。
なんかそれがこの中村さんが出てきた夢を見て、「ああ!」って思い出したっていうか、「わたしには線画もあったじゃん!」って。それから好きな浮世絵画家の月岡芳年とかヨーロッパの挿絵とか勉強しています。ビアズリーやポール・ジャックレーも好きです。例えば林静一とかビアズリーは中村さんも好きだったようで、モノクロの美と線で表現するエロチシズムとかわかる気がします。
話が逸れましたが、中村さんの画面も歴史の中で少しずつ変わってるんです。それが今回よくわかりました。わたしは画集blueの出た頃が一番好きなんですけど、いろいろな表現に変わらず挑戦されているのだと思います。本やメッセージを見るとその努力家で謙虚な姿勢、お人柄にもとても惹かれます。
グッズと欲しかった中村さんの本を1冊買って帰りました(^^)
*写真は撮影ご自由に!SNSなどご自由に!という展覧会でしたので、遠慮なく使わせていただきました
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