長い時間の中で創られた風景に 優しいまなざしを持って浸る作者の姿が 見えるようです
鉄道好きの作者は2016年の新聞記事に載っていた
JR横須賀線の田浦駅を訪れ
ホームで素早くスケッチをしたそうです。
作者は、長年絵手紙を書いています。
旅先で目にした風景やめずらしい食べ物などを
さっと絵手紙にしたためて
友人や知人に郵送し続けています。
今回は明治・大正・昭和に造られた歴史を感じる
このトンネルをアクリル絵の具でF4号(24.2×33.3)㎝の
作品に仕上げました。
緑の山肌に開いた3つのトンネルは
一番左が昭和に造られた軍用で、現在は使われていないようです。
真ん中の石積みの馬蹄形のトンネルは明治時代で、右端のレンガ造りの物が大正時代に造られ
横須賀に向うトンネルとして現在も使用しています。
JR田浦駅のホームは右を見ても左を見ても
トンネルの穴が開いた アニメ映画にでも出て来る様な
不思議な空間です。
11両編成では1両分がトンネル内に残り
乗降口が開かないドアカット状態になるそうです。
2つ先の逗子駅で4両増結されて15両編成で運行する横須賀線です。
この作品は作者が黄色い線の上に立って
この風景をスケッチし撮影したと思われます。
ホームのアスファルトを破って芽吹いた雑草や
駅名の立て札 それに赤く錆びた軌道
トンネルの中に吸い込まれるように描いた電線
それを支えるトラス構造の支柱
きれいに積み上げられた赤レンガのひとつひとつさえ丁寧に描き
長い時間の中で創られた風景に優しいまなざしを持って浸る
作者の姿が見えるようです。
絵画講師 若林薫 評
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