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手をかければその時間はもっと宝物になる あなたのお家でホームクリスマスを
「稀人ハンタースクール Advent Calendar 2023」に参加するために書いたエッセイ。カレンダーをクリックすると、「クリスマス」をテーマにした書き手のnoteを見ることができます。
12月が足音を立ててやってきて、早9日。1年の締めくくりといえばクリスマス。クリスマスといえば、パーティ!
本当はキリストの降誕をお祝いする日らしいけれど、そんなことは日本人にはあんまり関係ない(関係者の皆さん、ごめんなさい)。
とにかく街も人も動物も、生きとし生けるもの全てが浮かれるイベント。それがクリスマス。
そして、お祝いごはんが好きな私にとって、1年で一番楽しいイベント。この日は腕によりをかけて丸焼きの鶏をこしらえるのだ。
思えば、時と共にクリスマスパーティの過ごし方も変わってきた。
幼き頃は家族と過ごす大切な時間であっても、大人になれば可変する。なんということ、聖夜に仕事かよ!とやさぐれながら残業飯を食べることもあれば、恋人がいない日に切ない気持ちでひとり静かに過ごすこともあった。
友人と記憶をなくすまでワイワイ過ごした日もあれば、恋人とちょっと(いや、だいぶ)いいディナーを共にしたことも。
甘美な思い出ごはんから、ほんのり苦い思い出ごはんまで。
どんな思い出も尊いけれど、そんなどの時でも口にしたいーー何よりも暖かく美味しいのが丸鶏。だって素朴で、味わい深くて、誰でも受け入れてくれる。一番懐の深いクリスマスのお料理でしょう?そう思いませんか?(無理やり言わせる)
ーー
初めて丸鶏をこしらえたのは、私が結婚をした年。当時、夫が働いていた食品系の商社でチキンの販売会があった。
「すっごいいい鶏買えたよ〜〜!」
料理が大好きな夫が、いそいそと会社から連れて帰ってきた。
「いや、これをどうしろと?」
焦る私。
2つ扉の冷蔵コーナーと引き出し1つの冷凍コーナーしかいない小さな冷蔵庫に、焼き菓子をようやく焼くことができるほどの機能がついた電気オーブン。どちらも一人暮らし用のありあわせの家電で凌いでいたコンパクトな我が家の台所に、丸鶏をすっぽり納める余裕などなかった。
四苦八苦しながらも、脚を縛り、照り焼きのタレを塗り、試行錯誤しながらオーブンをうおんうおん唸らせて焼き上げたチキンは、なんだか特別感があった。一仕事しただけで達成感があり、食べたことよりそっちが印象深い。
その後、口にして感動したのはいうまでもない。
こんなにリーズナブルなのに、こんなにお腹がいっぱいになるなんて!なんて幸せなの!
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それからというものの、毎年のように我が家は無心で鶏を焼き続けた。
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こうやってみると、なんだか難しいじゃない?買ったほうが楽でしょう?と、ついケン◯ッキーやモ◯チキンに心が揺れるそこのあなた。
丸鶏は決して難しくないんです。簡単に手に入るし、1時間もあれば焼くことができるんですよ。(って回し者みたいになっていますけれど、私)
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たくさんのサービスや、もの、食べ物がこの世にあふれているけれど、実は自分が思ったよりも簡単に拵えることができて、思った以上に美味しいってこと、ありませんか?
華やかな見た目で凝った味わいの既製品も素敵だけれど、自分でちょっとだけ一手間かけて拵えたものが、何よりもプライスレスな思い出になるんじゃないかなって思うんです。
毎年こしらえる丸鶏たちには、こうして並べてみると一つひとつに思い出があり、その時のシーンや味わいがよみがえります。
アフターコロナになって外でのパーティが楽しい今年。数あるパーティのその一つに、ひと手間かけてこしらえた丸鶏を加えることで、思い出を今まで以上の宝物にできる人が増えたらいいんだけどなあ。
チキンおばさんかおるは、全世界の皆さんの幸せを、今年も丸鶏を拵えながら願っておりまする。