古代ギリシャの歌
秋の夜長はしっとりと古代ギリシャの最古の曲、セイキロスの歌、を聴いてみよう。心静まるよ。
この曲は紀元前2世紀から紀元後1世紀の頃のいずれかの時代のものらしい。この写真は墓石で、ここに歌詞が刻まれていて、さらに、古代ギリシャで使われていた音符による旋律の指示も行間に見られる。これに基づいて演奏できるようになっている。歌詞の内容は以下のように、誰かが日本語に訳してくれている。
なかなか心にささる。2000年も前に生きた人が書いていて、今の私達に言ってくれているようにも思えるのだから。
さらにこんなことも書かれている。
そして一番下には献辞があって、「セイキロスよりエウテルペに」とある。セイキロスさんが奥様エウテルペさんのために、自分の墓石にこの詩を刻んだという解釈と、それ以外にも諸説あって、エウテルペはギリシャ神話に登場する音楽と叙情詩を司る女神の名前という説。さらに別の解釈として、「セイキロス、エウテルペの息子」と書かれているという説。
再度読み返してみて、個人的な偏見を追加してみたくなった。ここのエウテルペはギリシャ神話の女神という説で、「自分セイキロスは音楽と叙事詩の女神の子だから才能があるのだ」という意味をこめているのではないだろうか。古代ギリシャにおいては女性の地位は低かったし、しかも英雄を重んじる男尊社会だったから、セイキロスさんはこの歌を残して自分の力を誇示したかったのかも。その場合、セイキロスさんは若い頃は勇敢な戦士で生き延びて老年になってから歌を残すような芸術家になって亡くなった。でも奥様に向けての歌というほうがロマンチックではあるけど。現代人はそう思いたいだけなのかも。その場合は、セイキロスさんは若くして歌の才能のある青年だったが戦場にでて亡くなるのでまだ若い妻にこの歌を捧げたというストーリーはどうかな。今日のところはそういうことにしておこうかな。
この曲を古代ギリシャの竪琴ライアーで演奏しながら、この歌詞を歌ってくれている動画がいくつもある。この曲を聴いていると気持ちが落ち着く。すごく心地よい。
私個人的にはこちらのバージョンも気に入っている。
そして、こちらのバージョンはライアーだけのシンプルで最も古代らしい響き。
これ以外にも古代ギリシャの音楽はいろいろあって、それらはまた別の機会に聴いてみるということで。今日のところはセイキロスさんがどんな一生を過ごしたのか、好きなように想像をめぐらして古代ギリシャの世界にタイムスリップすることにしよう。