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みんなが楽しめる借り物競争 ~アイデア紹介~

 8月も終わりに近づき、まだまだ残暑厳しいですが、もうすぐ秋です。
体育会のシーズンです(春に実施しているところも多いですが…)。
体育会の種目といえば、
リレー、障害物競走、二人三脚、綱引き、玉入れなど
定番の競技がありますが、
その中の借り物競争のアイデアについて紹介したいと思います。

借り物競争という競技はざっくりいうと

スタートして、封筒などの中で指示されている物を借りてきてゴールする

こんな感じですが、イマイチ盛り上がりにかけてしまうことが多いようです。

観客が盛り上がりにくい理由

 競技している人たちはそれなりに楽しめるんですが、
しっかり準備、計画していない借り物競争の場合、
見ている人たちは「つまらない」と感じてしまいます。

その原因は大きく3つ

①何をしているのかわからない
②いつ終わったのかわからない(勝敗がわかりにくい)
③借り物がなかなか見つからず、間延びしてしまう

です。

「借り物が小さすぎて観客にはわからず
 走ってゴールしているだけに見える」

「ゴール地点がよくわからなかったため、
 いつの間にか全員ゴールしていて、次のレースが始まっている」

「グラウンドに生徒がいないのに、
 次のレースが始まらないと思っていたら、まだ探していた

よくあるケースですが、見ている側にとって何のこっちゃわからない状況が増えると楽しむことができません。

 しかし、逆に言うとこの3つの原因さえ解消できれば、
競技者も観客も楽しめる借り物競争になるはずです。

そこで3つの原因を解消するためのアイデアをいくつかあげてみます。

「①何をしているかわからない」を解消するためのアイデア


・借り物を封筒などの小さな紙に書かず、
 大きな紙に書いて観客に見えるようにする。
・借り物の内容を確認して、マイクで全員分、放送してから、
 一斉にスタートする。 ※バラバラに探しに行かない。 
・借り物をメガネや小さな時計などの小物ではなく、
 なるべく観客に見えやすい大きさものを準備する。
・借り物を観客に披露する場面をつくる。

「②いつ終わったのかわからない」を解消するためのアイデア


・ゴール地点を門などを作ってわかりやすくする
・借り物を観客に披露する場面をつくり、
 その後ゴールに向かうというルールにする。

「③間延びしてしまう」を解消するためのアイデア


・借り物の難易度の差を大きくしすぎず、ある程度そろえておく
・当日借りられそうだという予測で借り物を設定せず、
 必ず見つけることができる借り物にする、または事前に準備しておく。
・競技時間は入退場を入れて、15分程度で考える。

 面白半分に

「おとめ座、B型、丑年のメガネをかけている人をつれてくる」

など難解なものにしてしまうと、当日該当者がいなかった場合、
その生徒は長時間うろうろするだけでゴールできなくなってしまいます。
そんな状況に陥った生徒を見ると気の毒で仕方ありません。

それでも難解な借り物を設定したい場合は、制限時間を設定し、
サクラを準備するという救済措置まで想定しておくべきです。

 また、人をつれてくる場合、
あまり表に出たくない観客の方もいるので、
スムーズに競技を進行するには先生や生徒に設定するほうが無難でしょう。

 借り物競争の担当者が
その運営を安易に考えるか?
みんなが笑顔で楽しめるものを企画したいと真摯に考えるか?
で大いに内容が変わってきます。

 そこで、公平性をもち、みんなが楽しめるようなエンターテインメント性のある借り物競争にするためのアイデアを1つ紹介します。

【課題(ミッション)クリア系】借り物競争

それは、私が担当者として実施したことのある
課題(ミッション)をクリアしていくタイプの借り物競争です。

 まず、入場後、第1走者が借り物くじを引きます(くじを引く順番は事前に決めておきます)。この時点でレースは始まっていません
くじ内容を確認し、誰が何をするかをアナウンスしてから競技をスタートし、次の3つのステップを行います。

第1ステップ 物を借りてくる
第2ステップ 課題に挑戦する(ミッションクリア)
第3ステップ 課題をクリアしたらゴールする

第1ステップ 物を借りてくる

 これは通常の借り物競争と同じですが、基本的には探すことに

あまり時間がかからない物
わかりやすい物

を設定します。
探している時間が観客にとって一番退屈なので、

借り物は簡単に探し出せる

ようにすることが【ミッションクリア系】借り物競争のポイントです。
ちなみに私が企画するなら、
破損や紛失のリスクを考えて一般の人から借り物はすべて除外し、
ほぼ学校で準備した物を借り物に設定します。
ただ、もし、捜索時間がかかる借り物を設定したい場合は、
観客が見ていて飽きない工夫が必要です。

第2ステップ 課題に挑戦する(ミッションクリア)

 借り物が見つかったら、本部テントの前やトラックの真ん中など
指示された場所に移動します。
そして、その借り物を使って

指示された課題に挑戦し、

観客にはその様子を観覧してもらいます。
要するにここが競技者の見せ場(メイン)というわけです。

借り物を見つけることで競争するのではなく、
借り物を使った課題をメインに競争するという感じです。
このとき、課題のクリアを確認する審判員を配置して、
旗などで判定すれば、より臨場感がわくと思います。

第3ステップ 課題をクリアしたらゴールする

 課題をクリアした早さで勝敗を判断しようとすると、
誰が早く終わったかという見分けがつきにくいので、
ゴール地点を別の場所に設けます。
課題をクリアしたら、
そのゴール地点に向かいゴールテープを切るようにして、
勝敗をわかりやすくします。

以上が【ミッションクリア系】借り物競争の枠組みです。
そして何より重要なのが、
「借り物と課題(ミッション)」の内容です。
その学校、その地域の特色ある内容を企画すれば名物競技になるかもしれません。
もちろん競技名は「ミッション・インポッシブル!?」でしょう。

借り物と課題(ミッション)のアイデア

最後に、私が実施した、または、実施してみたい
「借り物と課題(ミッション)」のアイデアを紹介します。

◆技術の先生をつれてきて、
 角材2本とノコギリ2本を借り、本部前で半分に切る
◆理科の先生をつれてきて、白衣を2着借り、
 すべてのテント前でガリレオポーズをとり「実におもしろい」という
◆美術の先生をつれてきて、スケッチブック2冊と鉛筆2本を借り、
 本部前で似顔絵を描き合い、トラック一周して完成品を披露する
◆国語の先生をつれてきて、短冊とペンを借り、
 5、7、5で今日の感想を書き、マイクで発表する
◆体育の先生をつれてきて、ラインカーを2台借り、
 トラックの線をきれいにひく
◆〇〇先生をつれてきて、ジェンガを借り、
 グランドの真ん中で3ターンずつ実施する ※崩れたらやり直し
◆〇〇先生を連れてきて、3輪車を借り、
 本部前の直線コースを交代で一往復する
◆水鉄砲と的当てセットを借りてきて、
 本部前でセッティングし、すべての的を落とす
◆輪投げセットを借りてきて、本部前でセッティングし、ビンゴをつくる
◆〇〇先生が持っている風船、棒、アイマスクを借り、
 グランドの真ん中で風船をふくらまし、風船スイカ割りをする 
 ※棒の先には押しピンをつけておく
◆(その学校で屈強な男性の)先生3人と綱引きを行い、勝利する
 女性の先生4人を選んでチームとする
 ※勝てなかった場合はメンバーの変更を認める
◆〇〇先生をつれてきて、一輪車を借り、
 トラックを半周ずつ交代で一輪車に乗せて1周する
◆〇〇先生をつれてきて、ペットボトル釣りセットを借り、
 2人で5本釣り上げる
◆体に的がついている人をつれてきて、
 マジックテープのついたボールを借り、
 3m離れた位置からすべての的に当てる
◆大仏をつれてきて、本部前でじゃんけん3連勝する
 ※私が学生服を着た上に大仏のマスクをかぶって、
  観客席の後ろに紛れていました。
  出オチでしたが、笑いは十分取れました。
◆5人戦隊ヒーローを見つけて、
 本部前で指定されたポーズをとり写真撮影をする
 ※やりたかったけど、実現できませんでした。心残りです。

私の場合、考えるだけで楽しくワクワクしてしまうのですが、
ただこれを実現しようと思うと

担当教員同士の打ち合わせ
生徒たちとの話し合い
(ルール・課題の検討、難易度の調整、人権の配慮、安全性の検証など)
用具の収集

など、かなり準備が大変であることも事実です。
借り物競争は運動が苦手な生徒たちも取り組める競技なので、
力を入れてほしいところです。
みんなが楽しめる体育会というミッションのクリアが一番の課題なのかもしれません。

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