頭も心も柔らかくありたい / デイヴィッド・ホックニー展
先日、11月5日まで東京都現代美術館で開催中のホックニー展に、ギリギリ滑り込んだ。
わたしのような人が多かったのか、3連休前の平日にも関わらず多くの人でごった返していた。
ひと足先に展示を見ていた夫に(わたしはコロナ罹患で留守番していた)「絶対行くべき!」と言われたり、知り合いの何人かも「すごくよかった!」と言っていたりで、見る前から非常にハードルが上がっていたのだけど、そんなハードルはいとも簡単に超えてきたのであった。
ホックニーには、この時代に何枚もの大きなキャンバスを外に運び、そこで絵を描くといった時代錯誤すら感じされるクラシックな一面もあれば、iPadが発売された2010年から、iPadをつかって絵を描いてきた先鋭的な一面もある。
今回の展示にもiPadを使った多くの作品が展示されていたが、そのどれもがお茶目でかわいくて素晴らしかった。
大御所アーティストが新しいものを貪欲に取り入れるだけでなく、それを作品として仕上げ、発表している。
なんか圧倒的な「肯定」を感じる。
好きなものに対して素直でいたら楽しいよ、こっちおいでよ、みたいな。
なんだか幸せな気持ちになって家に帰り、改めて調べていたら、ホックニーからのメッセージを見つけた。
日本の若者に対するメッセージをホックニーはこう答えていた。
86歳を過ぎてもなお、革新し続けている理由がわかった気がする。
好きなものを見つけられた幸せ。
それを今もなお、ホックニー自身がその喜びを噛み締め続けているのかもしれない。
知らないことを知るのは学びのはずだけど、いつからか素直に学べなくなる。
だって新しく何かを始めようとすると、たとえそれが自分の知ったジャンルであっても、失敗するリスクがあるんだもの。失敗は怖い。これまでの蓄積された技術は通用しないことだってある。
あろうことかたとえベテランであったとしても、慣れるまでは自分の力を発揮できなくて、やっぱり前の方がいいじゃないかと落ち込みもするだろう。
うーん、怖い。怖いな。
でも、そういう怖さを乗り越えるには、それが好きだという気持ちを信じるしかないのだな、と思った。
わたしも、ホックニーのように、新しいものを怖がらない人でいたい。
新しいものを横目でチラチラ見て、本当は手を出したいのに悪口を言ってごまかすようなおばさんにはならないようにしたい。
何歳になっても、好きなものを好きだと言える人でいたいし、新しいことを知りたいよ!とちゃんと言える人でいたい。
そんなことを思ったホックニー展は、あさって5日まで。