鉄鼠の檻!!
鉄鼠の檻がミュージカルになりました。
え?でしょ?
あの、読む鈍器でお馴染みの京極夏彦の京極堂シリーズ。オタクはみんな大好きなあれです。びっっくりするくらい長いのよ。厚さ6、6センチの文庫本とかもうどう読むの??っていう。
原作大好きなの。美形のお坊さん、命懸けの修行。常人にはわからない高潔な思考回路と執着や妄執や欲望。そして禅の教え。
でも、これをミュージカルで?大体何日かかるの??って思ったの。
そしたら、すごかった。
舞台上にいろんな幅の柱?板?が幾つも垂直に立ってて、それがいろんな場面で檻に見立てられるの。
要所要所でセリフが文字で映し出されて、その視覚的効果も面白いの。
普通にセリフで喋ったり歌で歌って「漸悟」とか「狗子佛性」とか、ピンとこないから助かるし、そういう言葉が左右高低いろんなところにぽんぽん出てきて面白い。
禅って、つまり言葉にしたら台無しで、特別な神秘体験じゃなくて毎日毎日生きていくことが修行で、そこにあることを知れ。みたいな。探してた牛はわたし自身だったのだ的な、みたいなことだと思うんだけど、そういう説明とか世界観が、すごくミュージカルとあってる気がするの。まさかまさかだけど。
京極夏彦さんは言葉で、「言葉で説明できないこと」を説明してくれたんだけど、ミュージカルは、ぽん、と歌と声、視覚でもののありようを示して、一瞬でわかっちゃう部分が結構ある。
歌って聞かせてくれるところ、台詞で伝えてくれるところ、お経を読んでるみたいな畳み掛ける独特の節回し、無音。どれもがぴったりで。
京極堂がつきもの落しをした後にしんとした時間があって、そこがすっごく、印象的だったな。
そして、京極堂と関本巽、榎戸のキャラクターがぴったりで、魍魎の匣(あ!そう!前に魍魎の匣もミュージカルにしたの。板垣さんって天才。)の時も思ったけど、あんなに京極堂な京極堂いる?常人離れした美しさと雰囲気の小西遼生さん。。。。
京極夏彦さんも嬉しいだろうなあ。
あと、普通文章で「絶世の美形」って書いてあったら、脳内ですっごい美形想像しちゃって実写化されるとがっかりしちゃうんだけど、和田慈行の上田甚大さんすごい。あたまつるっつるなのにすっごい美!!!
あっという間だけど、じっくり物語につかった3時間。本だとあのボリュームだからどうしても途中で寝たり起きたりご飯食べたりして気が散るけど、ミュージカルの3時間は没頭できたの。
わたし、活字に匂いを感じるタイプのオタクなんだけど、鉄鼠の檻を読んでた時に感じた慧明寺の匂いや土牢の匂いとおんなじ匂いがした。舞台から。すごい。。。
縦に長く伸びる檻が、火事で伽藍が崩れて横に火のついた木が現れて、縦の檻はなくなってないのに檻が崩れた感じになったのも、すごかった。
最後に、檻のようなその板を後ろにして、京極堂が、もうこのような場所はなくなった。これからは個人の心に檻ができるんだってことを言ってて、後ろの板がちょっとDear EvanHansenのセットに見えて、勝手に大悟を得てしまった。
お坊さんも、大悟を得た後にも生活を続け、悟り続けることが大事だって言ってたから、結構それしんどくない??って思いながら明日からも全力で生きようと思います。
京極夏彦ファンは絶対見に行ってほしい!後悔はさせない!あの湿度も匂いも、執着も不気味さも全部あるから!あと、和田慈行が噂に違わぬ美!!!
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