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「コロナワクチンをめぐるロシアのサイバー攻撃、そしてTwitterのアカウント乗っ取り事件を考える」

さて新しい週のスタート。

コロナの感染が再び広がり、家で過ごせばネットを見る機会も増える。
そんな今、インターネットがらみで、気になるニュースが続いている。

1、 米Twitterのアカウント乗っ取り事件

15日には、ツイッターで、オバマ前大統領やバイデン候補、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏やAmazonのジェフ・ベゾス氏やテスラのイーロン・マスク氏といった著名人のアカウントが乗っ取られ、暗号通貨を利用する詐欺に遭う事件があった。

一時的に乗っ取りが確認されたアカウントには、「1000ドル口座に振り込んだら、2倍の2000ドルをお返しします。30分限定。」という内容のツイートが繰り返された。個人だけでなく、米アップル社などの公式アカウントも標的になった。

その2時間の間に、送金されたのは少なくとも1200万円。

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いくらなんでも、オバマ前大統領が「1000ドル送ってくれたら2倍にして返す」というようなツイートをするのはおかしいと思わないのだろうか、と思うのだが。。。

ツイッター社は、乗っ取りに気づき、2時間ほどで乗っ取られたアカウントを凍結し、ツイートも削除したが、実際、百人ほどが信じて送金したことになる。
同時にこれだけ多くのアカウントが乗っ取られるには、ツイッター社内部の人間にサイバー攻撃がなされ、顧客情報が漏れて可能性がある、という。

2、ロシアによるコロナウイルスのワクチンを狙ったサイバー攻撃

また、16日、イギリス政府は、オックスフォード大学など、コロナウイルスのワクチンを研究している機関にサイバー攻撃がなされたと公表。

国家サイバーセキュリティー・センターは、ロシア政府の情報機関が関わっている可能性が極めて高いと認定し、英国政府は、アメリカ政府、カナダ政府と連名でロシアのハッカー集団による攻撃を非難した。

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(写真はロイターから)

ワクチン開発に関しては、5月、中国政府が関与したとされる大規模なサイバー攻撃が西側諸国の非難の対象になったことがある。アメリカやドイツ、スイスの研究期間が攻撃を受けた。

まさにワクチンを巡る「サイバー戦争」と呼ぶ専門家もいる。


いまや、現実世界と同時に、インターネットの空間での攻防が激しくなりつつある。

3、ホンダが受けたサイバー攻撃

6月8日にはホンダがサイバー攻撃を受け、メールだけでなく、生産管理システムが機能しなくなったばかりだ。このため米国、ブラジル、トルコ、インドなどの工場での生産が一時的にストップした。

ホンダは詳細を公表していないが、分析した複数の情報セキュリティー専門家は、「ランサム(身代金)ウエア」だった可能性を指摘した。ランサムウエアでは、通常、システムを回復させるために、身代金が要求される。

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大企業では、工場が1日ストップするだけで巨額の損失が発生する。
特定の標的を狙ったランサムウエアによるサイバー攻撃はトヨタ自動車と取引のある TMWが被害に遭い、データが盗まれたことが判明したばかりだ。

ホンダの事件は、今のところ、 国家が背後にいるのか、民間のサイバー犯罪団体によるものか、判明していない。ホンダがどのような対応をしたかも明らかにされていない。
しかし、巨額の損失が出ている以上、今後このような破壊工作が、他の企業にもなされる可能性があると覚悟しなければならない。

4、各国のサイバー状況

北朝鮮は、これまで外貨獲得のためにサイバー攻撃を手段として使ってきたし、中国やロシアは他国の選挙に介入したり、軍事、経済面でサイバー空間での攻撃を使用してきた。
両国とも、軍と情報機関の傘下に大きなサイバー部隊が存在すると言われる。
相手国の世論操作・プロパガンダにも関わる中国の部隊は10万人規模とされてきた。今年になって起きた三菱電機や NECの防衛機密を狙ったハッキングも、中国政府が関与していたとの見方が強い。

軍事情報は最も狙われやすい標的だ。そんな中、アメリカは、「電磁波による通信妨害を行う電子戦やサイバー分野での活動を行う特殊部隊を南シナ海周辺に配備する計画」を打ち出した。
これはポンペイオ国務長官が「南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張は、完全に違法である」と発言したことと機をいつにする。
「歴史を振り返ると、自由主義国家が行動を起こさなければ、中国共産党が支配地を拡大する」と中国に対しての強硬姿勢を明確にしたものだ。

部隊は、有事の際に、中国軍の通信網をジャミングし、他国あるいは他国の領海への侵攻を阻止するという。

5、サイバー攻撃の脅威

サイバー攻撃の標的は広がるばかりだ。
企業であれば大きな損失になり、交通機関など、社会インフラが狙われれば、社会が混乱する。電力網や水道が狙われれば、国民はパニックに陥るかもしれない。

病気の治療薬やワクチンの情報も、国の利益、企業の利益のためにサイバー攻撃の対象になる。
コンビニで買い物をするにも、暗号化の技術や信頼性が欠かせない。
企業から大金をせしめようと思ったら、最高の技術でランサムウエアを開発する道までもできてしまった。
公共交通機関のシステムも、最適化を目指す水道や電気のコントロールシステムも、将来、社会を不安定化するための道具になりかねない。
そして一旦戦争が起ったなら、武器のコントロール・システムも、軍を動かす情報網もサイバー空間での熾烈な競争が采配を決めかねない。


今やサイバー空間におけるセキュリティは国家や社会や人々の健康を守るための必要・不可欠な手段だ。
なんとも厄介な時代になったものだ。
社会はより便利になったけれど、より脆弱になってしまった。
一つの小さな穴が、大きな損害、被害をもたらしかねない。


6、日本に備えはあるのか?

そんな時代に、日本には十分な備えがあるのだろうか?
某コンビニでの携帯による決済が多くの情報漏洩で行き詰まった例を思い出すまでもなく、社会の脆さはいまやそこここに潜んでいる。
日本人や企業に「情報を守ることがどれほど重要か」「情報を守るために暗号がどれほど重要な役割を果たしているか」という危機感が薄いような気がするのは私だけだろうか。

政府にも企業にも、人材が足りない。
法律も完備していない。
社会に情報を守るためのノウハウが浸透していない。

日本政府は、20年前に「5年以内に世界最先端の IT(情報技術)国家となる」と宣言したが、世界経済フォーラムなどがまとめた ITランキングで日本は12位だった(2019年)
結果が出せているとはとても言えない。

以前赴任していたイスラエルでは、子供の時に才能を見出せば、国家が積極的に英才教育を行って若い才能を育て、軍にいる期間にさらにその腕を磨き、徴兵期間が終われば、自由に起業するチャンスも与える。

友人の息子がその一人で、彼の「遊びのプロジェクト」を見せてもらった時には、「高校生でここまでコンピューターを駆使できるのか!」とびっくりした。
彼ならきっと、すぐにでもハリウッドで映画の CGも担当できるだろう。

これが、人口わずか約900万人のイスラエルがアメリカなみの IT人材を輩出している理由だ。


日本政府もいい加減腹を括って、そのくらいの人材養成を行わなければ、今後、経済成長に必要な IT人材も、日本社会の安全も守れないのではないだろうか。

ころなで失業した人々に集中的な IT教育を受ける機会を設け、専門の担当者のいない中小企業をサポートできる体制を目指すのは一案ではないだろうか?

もちろん優秀であれば、是非とも国のために働いてほしい。

ちなみに、インドは59の中国製のアプリの使用を禁止した。国内に2億人ものユーザーを持つTikTokも中国のプロパガンダに使われる可能性が高いと判断し、禁止した。
日本人にそんな危機感があるのだろうか?


この雨はいつまで続くのだろう。。。と、うらめしい思いで空を見る。
どうか、良い1週間をお過ごしください。😉💕

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