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【カニを捨てて歩き始める⑧】 傷は治る、春はくる

昨年9月に手術を受けて、4カ月がたった。放射線治療の終了からも1カ月がたつ。
ようやく、体がもとに戻ってきた感じがする。
もとに、というか、傷からの回復を感じている。

退院からしばらくは、手術のあとがカンカンに腫れて、切る前よりもむしろ大きくなっている様子がこわくて、まさに「腫れ物」として扱っていた。腫れているから当然だけど。
その炎症がだんだんおさまってきた11月頃は、それでもまだ、傷に下着が当たると痛かったし、信号を急いで渡ろうと早足になるだけで、傷に振動が響いて痛かった。

12月に入って放射線治療が始まると、刺激を受けて傷はまた痛くなったし、再び腫れたような、水が溜まっているような感じにもなっていた。大丈夫なんだろうか…と不安になりつつも、放射線科のドクターから、「あまり心配しなくていいですよ」と言われて心をなだめたりしていた。

12月22日に、治療がすべて終わって、あとはタモキシフェン服用だけとなった。タモキシフェンの副作用は、飲み始めの半月くらい、いろいろな副作用があらわれては消えていき、その後はなんともない。
年が明けてからは、痛みよりも放射線が当たっていた皮膚の赤黒い色が気になっていたけれど、それも1カ月が経って、少しずつ薄くなってきた。

今週は、ずっと家にとじこもって原稿整理作業をしているので、夕方には必ず散歩することにしている。いつもはなんとなく駅前商店街の方へ行って、食糧を買ったり銀行に行きがてらの散歩だけど、今日はなんとなくジョギングしてみることにした。
最近、セールでスニーカーも新調したのだ。
もう、10年前のようには走れないけれども、ゆるやかに走るのは楽しい。そして、振動は傷に響かなくなっていた。

50代も半ばになったけれど、まだまだ回復力はあるんだ。傷は治っていく。
自分のBuddyへの感覚をアップデートしないとね。もっと、信用していいね。

写真は、遊歩道の蠟梅。枯れ枝のようになったカラカラの枝に、ぽつりぽつりと蕾がついて、ホロリと開く。とても良い香りがする。

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