ラップと短歌
私は見かけによらずラッパーが好きです。
いやいや、あんたの見かけなんか知らんよ!とツッコミが入りそうですが、そのまま話を続けます。
J POPが全盛期の小学生時代。
テレビをつければ音楽番組。
誕生日プレゼントはCDをおねだりしてました。
そのまま中学生へ。
時は2000年。
キックザカンクルー、ケツメイシ、リップスライム…。
邦楽も洋楽もラップを聞いて過ごしました。
ディスティニーズチャイルド、エミネム…。
ダンスもスタイルもかっこいい彼らに心酔してました。
ちなみに、全部カタカナなのはアルファベットが分からないから。
そんな程度で好きとか語るなよ、という話ですが、スミマセンこれもそのまま続けます。
私はダンスもできないし、音痴だし、ラップ部分なんて朗読になっちゃうし、自分のキャラクターではまるでありません。
好きな曲はカラオケで歌えません。
そして、これから先もできる気配がありません。
でも、彼らの音楽が大好き。
音楽を聞いてノリノリな気分になるのが最高に楽しいんです。
この現象を私はずっと疑問に思っていました。
見た目はただの女。
なのに、重低音ドンスカする音楽が好き。
…なんか、ギャップすごくないか?!
思い返せば、気になる男の子に好きな音楽を聞かれるのが怖くなった20代。
「いやぁ、友達が好きやから聴いてて好きになったんよ〜」
一言、言い訳がプラスされていました。
どこが好きなんかなぁ。
20代の時に出した答えは、以下の通りです。
・「俺すげぇ!」な歌詞がかっこいい
・言葉の言い回しがかっこいい
・キラキラ光ってる彼らが眩しい
まとめると、自分にない自信満々なオーラを放って、言葉巧みに捲し上げる姿にときめきを感じていたようです。
もう、これはアイドルが好きな女子と同じと言ってもいいでしょう。
私にとっての王子様は、タトゥーが入ってビキニのお姉さんと踊って歌っている彼らだったのです。
時はすぎ、30代後半に差し掛かると、もう彼らへの気持ちは冷めてきました。
確かに50歳近くになっても色っぽい彼らは永遠に私の王子様です。
たまに動画も見るし、ライブも行くし、動向をチェックしています。
でも、10代の時に感じたキラキラした気持ちはありません。
そして、たまたま本屋で再会したのが百人一首。
小学生の頃に授業で百人一首があったので、全く知らないわけではありません。
懐かしいなぁ。
覚えてはないけど、耳馴染みのある言葉たち。
蘇る、当時の先生の読む声。
当時、好きだった歌との再会。
懐かしく思いページを開き、それぞれの歌の意味を知ります。
枕草子が好きな友人が言っていました。
「一千年前の人も同じようなこと思ってたと知ってから、文学が好きになった」
へぇー、そんな見方もあるんやな〜と思ってましたが、百人一首はまるでソレ。
恋の歌、こんな昔から同じこと言ってたん?!
目玉飛び出るかと思いました。
31文字におさめられた短歌。
季語あり、枕詞あり。
相当なテクニックを要します。
当たり前ですが、マジで技術すごい。
「その言葉とその言葉かけてたん?!」
「もしかして、あの歌のこと言ってるの?!」
「中国の故事成語?!頭良すぎやろ!」
ラップでの言葉遊びと似た感覚を短歌で楽しみます。
いやぁ、参りました。
日本人って昔から言葉を上手に使える民族だったのですね。
先日、伊勢物語(俵万智訳)も読みました。
ざっくり内容は恋のことが書かれています。
不倫、二股、初恋などバラエティー豊か。
「なんで会いに来てくれないの?」
「仕事が忙しかったから」
「もう私のこと忘れたの?」
「君を忘れたことないよ」
加藤ミリヤと清水翔太が歌いそうな言葉が、そのまま伊勢物語に書いてありました。
音楽もいいけど、短歌も勉強になるんじゃない?!
古典だから先生うけもいいだろうし、人生とか、恋愛とか色々学べるじゃん。
「漫画買って〜」より「源氏物語買って〜」の方が親も買ってくれそうな気がします。
自分も良ければ、周りも良い。
全てWIN WINな気がします。
こうして私の古典への道が開かれました。
20年前であれば親も褒めてくれただろうに、40手前にして何に目覚めたのか。
タトゥー男の次は、平安貴族たち。
私の男の好みは時代もタイプも幅広かったようです。
百人一首、伊勢物語…。
次は紫式部を読んでみようかな。
あぁでも、新古今和歌集など勅選和歌も気になるな。
まずは誰がいるか思い出さないと!
山上憶良?
柿本人麻呂??
いやいや、詠み人知らずも捨てがたい!
次の推しを見つけ次第、ご報告いたします。