日々の中にあるもの【感想文の日㊿】
こんばんは。折星かおりです。
第50回感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのはちんたらとろこさんです。
「日々感じたことを気ままに記しています」というプロフィールの言葉のとおり、ふと考えたことや身近なひとの言葉などを綴っていらっしゃるちんたらとろこさん。日々の中にある小さな驚きやときめきに、時に分かるなぁと頷いたり、時に未知の世界を想像したり。一週間、楽しく記事を読ませていただきました。改めて、ご応募くださりありがとうございます!
それでは、ご紹介いたします。
■学んだつもりの話
「大学では何を学んだの?」。こう尋ねられるたび、ちんたらとろこさんはうまく答えることができず戸惑ってしまうのだといいます。どんな研究をしていたのかは答えられるけれど、学んだ内容を細かく話すことは出来ない。結局自分は「学んだつもり」になっていたのではないか。こちらの背筋もぴしりと伸びる、謙虚な振り返りのお話です。
…何を学んだのだろう?
隠すことなく綴られる、ちんたらとろこさんの戸惑い。確かに大学には行った。研究もした。でも、私は「何を」学んだのだろう。もし同じことを尋ねられたら、と想像してみたけれど、私も上手く答えられる自信がなく、どきりとしました。
一生懸命学んだことは決して嘘ではないけれど、数年たって覚えていることなんてほんの少しです。誰かに説明できるほどの精度でとなると、尚のこと。
それって結局、学んだつもりになってるだけだよね。
自分、ダメダメだな。
そこでちんたらとろこさんは昨年の目標を「アウトプットを積極的に」にしていたそう。
誰かに伝えようとあらかじめ意識しておけば注意深くなるし忘れにくいでしょ?
自分自身とって「学んだつもり」という反省は、とても痛いはず。けれど、それを乗り越えるために「アウトプットを意識したインプット」を心掛ける。続けていればきっと、本当の「学び」が手に入るのだと私も思います。
■好きな理由を言葉にしてみました
パズルが好きだと言うと「どうして?」と聞かれることが多いというちんたらとろこさん。これまでは上手く答えることが出来なかったけれど、この理由をきちんと言葉にしてみるとしたら。感覚的な「好き」の気持ちを、じっくりと紐解きます。
誰かの「好き」に耳を傾けることも、自分の「好き」を伝えることも、とても素敵なこと。けれど、「好き」は自分自身の感覚に頼っている部分が大きく、その理由を突き詰める機会はなかなかありません。
でも、「好き」をことばで伝える場面って日常の中にものすごく多くあって、それをうまく言えないなんてなんだかもったいないなぁと思ったんです。
「好き」だからこそ、伝えたい。伝えられる自分でありたい。ふとした気づきだけれど、「好き」に丁寧に向き合いたいという気持ちがひしひしと伝わってきて素敵です。
そして、中でもぐっときたのはこちら。ちんたらとろこさんが、少しずつ「パズルが好きな理由」を探すシーンです。
パズルには作者がいて、作者が思うように自分たちは動かされてると思ってます。
作者が思うところで案の定つまづいたり、作者が思った通りのフェイクにまんまと騙されたりする。でも、ちりばめられてるヒントは必ずあって、それを見つけて紐解いていって答えに辿り着くことができたらすごく嬉しい。その駆け引きが楽しい。
「作者に動かされている」。これまでに一度も想像したことのなかった発想に、はっとしました。同じようにパズルで遊ぶとしても、ひとつひとつのピースの向こうに作者を想像するかしないかで、その楽しさはぐっと変わるはず。理由をきちんと言葉にした「好き」は、感覚的な「好き」よりもイメージがしやすく、強く輝きます。
すぐに根っこまでたどり着くのは難しいかもしれないけれど、私も自分自身の「好き」の理由を考えてみようと思います。
■ピンク色に染まる空と私
ある休みの日の夕方、窓を閉めようと外を見ると空の様子がいつもとは違っていました。ちんたらとろこさんは圧倒的な夕焼けの美しさを逃すまいと、非常階段を使ってマンションの上階へと駆け上がります。たっぷりと夕焼けを堪能し、SNSにも写真を投稿。そこに届いたもうひとつのプレゼントとは……。
もうワクワクが止まらなくなった私はこの絶好の機会を逃すまいと、スマホ片手に小躍りしながら玄関を出た。
いつもとは違う様子の空に、わくわくするちんたらとろこさん。ピンク色に染まった空を追って、「未知の世界」へと非常階段を駆けます。舞台は毎日暮らしているアパートだけれど、まるで冒険のような描写にこちらの心も弾みます。
そうして目の前に広がったのは、圧巻の夕焼け。ピンクと紫とオレンジが優しく交じり合う空の下では、街並みも幻想的に映ります。そしてそこに、嬉しい連絡が。
「みてみてー♪
夕焼けきれいやったからみせたかった!笑」
元同期から届いた、夕焼けの写真。綺麗だから共有したい、という純粋な感情への愛おしさと、その相手に自分を思い浮かべてもらえた喜びを想像すると、こちらの胸もきゅっとします。
すでにときめいていた感情をさらに揺さぶる瞬間だった。胸がギュッとなった。大袈裟かもしれないけれど、泣きたくなるくらいに嬉しかった。
この元同期とは「奇跡」のような瞬間を、これまでにも何度か共有しているそう。素敵なお話、またぜひ聞かせてくださいね。
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